PHOTO YODOBASHI

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山岳写真に憧れて
vol.6 2023年8月・岩手山編

PHOTO YODOBASHIお盆休みに岩手県へ行ったので、念願だった岩手山へ登ってみました。岩手山は日本百名山のひとつであり、2,000mを超える標高は岩手県の最高峰でもあります。常時観測火山に該当する活火山で、最後の噴火は1998年(平成10年)と最近。7月の富士登山8月の蝶ヶ岳と高低差1,000mを超える登山ができたこともあり、「よい条件なら登れそうだ」と登山の準備をして岩手へ向かい、天候がよい日程で挑戦してみました。健脚の方なら日帰りも十分にできる山ですが、今回はあえて1泊。岩手山の8合目付近には複数の避難小屋があり、誰でも自由に宿泊が可能です。その中でも最も大きな「岩手山八合目避難小屋」は、夏期には管理人も常駐し、食事はありませんが1泊1,700円で泊まることができます。ただ山中で泊まるだけのためにテントを担いでいくのは大変ですが、避難小屋なら食料とシュラフさえあればいいので、ハイキングの延長で1泊の登山でも軽快です。この避難小屋では有料で毛布も用意されているため、夏期ならばシュラフなしでも何とかなりそうです。

普段はミラーレスカメラやGR III等のカメラを持って登山をしていますが、今回は常用しているスマートフォン「Apple iPhone 14 Pro」のみとしました。登山の荷物の中で最も重量があるものがカメラであることから、装備の大幅な軽量化を行えないかと、試してみた次第です。iPhone 14 Proは、超広角/広角/望遠相当の3つのカメラが搭載され、メインカメラは48MP、4K動画も撮影でき、防水、GPS内蔵とその性能はスマートフォンでもトップレベル。普段の登山でもメモ代わりとしてカメラを使用していますが、今回はそれをそのままメインとしてしまおうということです。果たして満足できる結果が得られるのか。撮影はJPEGで行っています。

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朝、盛岡市内を車で出発し、途中で朝食と昼食を調達してから隣接する滝沢市にある馬返し登山口へ向かいます。無料の駐車場は広々していて、登山客数に対して不足することはなさそうです。また、この登山口には無料のキャンプ場(トイレ使用時に協力金あり)も整備され、登山の前泊にも使えそうです。標高は登山口が633m、山頂との標高差は1,405mとなります。天候は雨が上がったばかりといった湿度の高い状況で、雲の中にいるような感じでした。登山口にある鬼又清水で2Lの水をボトルに詰め、9時に登頂開始。八合目避難小屋までのコースタイムは3時間30分とのこと。

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最初こそ緩やかでしたが、数分歩くと一気に斜度がきつくなります。展望のない樹林帯を45分ほど登ってようやく1合目。富士山のように5合目からスタートするわけではありませんから、単純にここまでの10倍上らないとならないのかと、気合いを入れ直します。とはいっても、実際にはそんなことはなく、この先2合目、3合目とテンポよく登っていけます。

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2.5合目から先は新道と旧道に分岐します。今回は新道で登ってみることにしました。時折木々の間から眼下の滝沢村が見渡せます。雲を抜けたのか、5合目を過ぎたあたりからは晴れ間に変わり、見上げると青い空も見えてきました。1枚目の写真は新道から旧道を写したもの。登山者と大きな岩が見事でした。

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時々溶岩の斜面を登るところもありましたが、登山道は狭いながらもよく整備され、ゆっくり登れば危険な箇所はありません。登山口から3時間20分で標高1,730mの7合目へ。ここから先は斜度も落ちつき、低木中心の植生に変わります。ここまで見えなかった山頂が見えてきました。その手前には避難小屋も。iPhone 14 Proの超広角カメラ。四隅の解像力は多少落ちますが、中心部の描写は素晴らしいですね。わずか1cmにも満たない厚さの端末に15mm相当の超広角が入っているのは驚きです。光が十分にある条件ならば「結構いけるな」というのが正直な感想でした。

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PHOTO YODOBASHI12時30分、八合目避難小屋に到着。持参した盛岡名物の「福田パン」を昼食にします。岩手山はこの8合目に「御成清水」という水場があるため、宿泊する場合でもこの場所までの水があればいいため、担いで登る重量を抑えることができます。持参してきた缶ビールの入ったビニール袋を大きな水桶に入れ、飲むときまで冷やしておきます。

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昼食を兼ねた休憩で40分。今日はここまでとし、明朝に山頂へアタックする予定でしたが、想定していたより順調で昼過ぎには辿り着いてしまったこともあり、何もすることがありません。それならば、天候も落ち着いている今アタックすることに計画を変更しました。

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8合目から見える山頂もスケールが大きく、まだまだ遠く感じます。再び急な斜面を登り始めたあたりで右脚の膝に違和感が生じ、次第に痛みを伴うようになってきました。富士山、蝶ヶ岳と3週続けての登山で気づかぬうちに疲労が溜まっていたのでしょうか。登りはさほど痛むことないものの、下りは明らかな痛みを感じます。山頂まであと少しということでトレッキングポールを頼りに続行します。

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山頂手前から見下ろすと、八合目避難小屋とその向こうに滝沢市と盛岡市が望めました。

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岩手山の外輪山は富士山ほどではないとはいえ、かなり大きく、お鉢巡りも相応の距離となります。1周は約1時間とのことですが、アップダウンで膝の痛みが悪化しないようゆっくり行ったこともあり、長い時間がかかりました。外輪山には6時の位置から入り、反時計回りで11時の位置にある最高峰の薬師岳を目指します。外輪山から見下ろす内側はさほど深くはなく、中に散策路も見えました。

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外輪山の内側、カルデラ内に見える妙高岳。人が少なくとても静かです。活火山らしい荒涼としたダイナミックな光景に圧倒されます。

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14時30分、標高2,038mの薬師岳に登頂。標高からすれば酸素が薄いということもほとんどない気はしますが、膝の痛みもあってなかなかしんどい登山となったこともあり、喜びもひとしお。山頂には数人いる程度。岩手山の北側に広がる八幡平も雲の間から望むことができました。

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内輪山の妙高岳の横に見えるのは御室火口。噴火は1686年とのこと。

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PHOTO YODOBASHI外輪山を一周して、16時前に八合目避難小屋へ戻ってきました。宿泊の手続きをして寝床となるスペースを確保し、外で早めの夕食を摂ります。夕方といっても夏の陽射しはまだまだ強く、西日に背中を焼かれる感じでした。避難小屋の中は上下3段となっていて、割り当てられたのは最上段。梯子で登り降りしますが、痛めた脚にはなかなかの負担でした。持参したエアマットと薄手のシュラフで寝床を作ります。冷やしておいたビールを飲みながら食べた夕食で、お腹が満たされるとともに眠気に襲われ19時頃には寝落ちしてしまいました。

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早朝4時、強い風と雨の音で目が覚めます。登山前の天気予報では、両日とも好天の予報でしたが、どうやら変わったようです。調べてみると日本海側から雨雲が太平洋側へ通り抜け、ところによっては大雨警報も出ている状況。窓から見えた雨は風に流され真横に降っているようでした。ガスバーナーで沸かした湯でフリーズドライフードを作って朝食を済まし、雨雲の状況を見ながら下山するタイミングを待ちます。3時間ほど待って雨が落ち着いてきた7時に避難小屋を出発しました。痛む右膝をトレッキングポールでかばいながら慎重に下りて行きます。幸いにも濡れた登山道はほとんど滑ることなく歩きやすい道のりでした。途中何組かの下山者を追い抜きつつ、10時過ぎに登山口へ。7合目から下は樹林帯に守られ、風の影響もほとんど受けずに済みました。

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下山した頃には天気も回復し、見上げた空には青空も。2日目は予想外の悪天候となりましたが、天気予報とは関係なく、防寒着を兼ねたレインウェアを持参していたことが幸いし、突発的な事態にも対処することができました。

今回はあえてカメラを持参せず、iPhone 14 Proのみで撮影してみましたが、スマートフォンのカメラとして期待以上の写真を得られはしたものの、やはり「自ら登ることで見られた光景をよりよい画質で残したい、重くても写真機は持っていくべきだ」という感想を持ちました。iPhone 14 Proのメインカメラでも光さえあれば十分な画質が得られるものの、12MPの望遠は風景を撮るには解像力が不足しているように感じます。またどのカットもシャープネスが強めですね。とはいえ、ポケットに入り誰もが持っているスマートフォンでこれだけのものが得られるのですから、ないよりずっといいのは確かです。


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最後に以前ドローンで撮影した盛岡市郊外から望む岩手山を。2018年5月に撮影したものです。岩手山は別名「南部片富士」とも呼ばれるとおり、東側(右側)は富士山のような裾野が広がり、反対の西側(左側)には山々が連なります。正面に見える南麓には小岩井農場をや雫石などが広がります。今回登ったのは、右側の斜面。

( Photography & Text : Naz )

( 2023.10.19 )

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