PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Find a landscape
vol.6 旭岳スキーハイク

Text & Photo by 中西 敏貴

夏山シーズンが終わったものの、なかなか雪の降らない時期が続いていた北海道。年末年始を境にやっと積雪が増え始めたことで、各スキー場のコースも続々とオープンするようになりました。今年の冬はしっかりとスキーに取り組もうと決意していた筆者ですから、12月はずっとソワソワして雪を待っていたのです。バックカントリーはまずどこへ入ろうか。その前にスキー場でトレーニングもしよう。そんなことを脳内でイメージできるのも、冬山で遊ぶ楽しみの一つですね。そう、スキーは雪の降る前から遊びが始まっている。専門店に並んだスキーを見ているだけで、もう気分はスキーをしているのですから、ある意味で「写真」とかなり似ている感覚です。

© TOSHIKI NAKANISHI

今回バックカントリーのフィールドに選んだのは旭岳。そう、編集部でも何度か登ったあの山ですが、今回はロープウェイを降りてスキーでハイクアップ。日の出前には丘で写真を撮影し、昼前には標高1600m以上の場所に立てるなんて、ちょっと次元の違う遊びができてしまうのがここのすごいところです。そんな1日を今回はお届けしようと思いますが、旭岳の前にスキー場でトレーニングをしようと、まずはゲレンデスキーの調達に店舗へやってきました。

© TOSHIKI NAKANISHI

訪ねたのは、いつもお世話になっている石井スポーツ札幌本店です。店内には所狭しとスキー用品が並んでおり、入った瞬間から気分が高揚してきます。これ、ヨドバシカメラの店舗に入ったときの感覚と似ているのですよね。ただ店内にいるだけで幸せ。そんな気分を味わえるのがこうしたショップの醍醐味だと思います。何でもネットで買えてしまう世の中ですが、実店舗の存在はいつの時代も大切なのだと実感できるのです。

© TOSHIKI NAKANISHI

今回は、店員さんとも相談しバックカントリー用のスキーと同じメーカーのスキーをチョイス。ブーツも共用できることもわかり、シチュエーションによってスキーを使い分ける遊びが可能になりました。こうしたアドバイスもリアルに伝えてくれるのはプロショップならではですね。

© TOSHIKI NAKANISHI


さて、話を旭岳に戻しましょう。前日から快晴予報が出ていたので、旭岳ハイクアップの計画を立てました。ロープウェイが動き出すのが午前9時なので、それまでの時間は美瑛周辺の丘で様子を見てから山へと向かうプランです。長い1日の始まり。車にスキーと三脚を積み込んで出発です。案の定天気は良い様子。気分が高まります。

© TOSHIKI NAKANISHI

© TOSHIKI NAKANISHI

© TOSHIKI NAKANISHI

午前9時過ぎ、ロープウェイ乗り場に到着しました。はやる気持ちをグッと抑え、食糧や水、機材などを準備します。冬山を歩くわけですから、このあたりの準備は入念に。忘れ物は命取りになりかねませんし、なにより楽しみが半減してしまいますから。今回背負っているカメラバッグは、機材とは別にアバランチギアも収納できる優れもの。その分重くはなってしまいますが、ここは大切な要素です。

© TOSHIKI NAKANISHI

いつものようにロープウェイに搭乗。一気に姿見駅へと向かいます。もうこの時点で視界には絶景が飛び込んできますから、気持ちがさらに高ぶってきます。この感覚、ゲレンデで朝一番にリフトに乗る時と近いようにも思います。ファーストトラックが一番気持ちがいいのは、スキー経験者なら誰しもわかると思いますが、まだ誰も踏みしめていない雪原を歩くというのは、どこかそれと似ているようにも思えます。

© TOSHIKI NAKANISHI

到着後はスキーにシールを貼り付けて、スタートです。スノーシューで歩くのとはまた違う感覚。これは実際に経験してみるとわかるのですが、浮力が違うのです。180cm以上のスキーを履いているわけですからとても楽。そして前進するスピードがこれまた速い。だから、行動範囲がさらに広がるというわけです。

© TOSHIKI NAKANISHI

© TOSHIKI NAKANISHI

© TOSHIKI NAKANISHI

まだ雪が少ないようで斜面はパウダーとは言い難く、割とカリカリの氷状態。それでもスキーのエッジがしっかりと雪面を捉えてくれるので安定して進むことができました。そして何より素晴らしいのは誰もいないこと。数本の跡はありますが、見える範囲には人はいない模様で、この大絶景をほぼ貸し切りで楽しむことができました。いつもながら旭岳はこうした感動を与えてくれるんですね。

少し歩くと、強い風の生み出したシュカブラを見つけました。山の上ならではの暴風が生み出した自然の貌です。こうした光景も平地ではなかなか見ることはできませんから、歩いた人の特権です。

© TOSHIKI NAKANISHI

© TOSHIKI NAKANISHI

旭岳の場合、天気が良ければルートを見失うことも少なく、比較的安全にバックカントリーを楽しむことができるエリアですが、そこはやはり自然なので甘く見てはいけません。しっかりと安全装備を用意し、滑る技術も磨いておかなければ命を落とすことにも繋がりかねません。でも、そんな労力を惜しまない人には、こうした大絶景が待っています。行かないという選択肢は、もうありませんよね。道具選びは石井スポーツのスタッフさんが何でも相談に乗ってくれますから、その点はご安心を。

© TOSHIKI NAKANISHI

山での時間はあっという間に過ぎ、もう夕方が近くなってきました。そう、冬の北海道は日没が早いのです。今回は山麓までスキーで降りる予定だったので、比較的時間に余裕はありましたが、ロープウェイに乗る人はその辺りの時間配分もしっかりと考えておかなければなりません。山での行動は全て綿密な計画が重要だということです。

© TOSHIKI NAKANISHI

麓の町に降りると、先ほどまでいた旭岳が夕日の色に染まっていました。下山後でもこうして写真が撮れる距離感。どうやら筆者は、本当に恵まれている場所に住んでいるようです。この周辺にはこうした冬遊びの山が沢山あり、いくらでも雪遊びができるので、次はどの山へ向かいましょうか。まだまだ北海道の冬は続きます。

( 2022.01.20 )