PHOTO YODOBASHI

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vol.11 富良野岳

Text & Photo by 中西 敏貴

© TOSHIKI NAKANISHI

PHOTO YODOBASHI6月になり、北海道でもやっと山開きを迎えました。麓では25度を超えるような日が多くなりますが、山では13度前後のことが多く、とても快適に歩けるシーズンでもあります。今年の夏山はじめはどこにしようかと悩み、最終的に富良野岳に決めました。花の百名山としても有名なこの山は、ちょうど6月の下旬ごろからたくさんの花が咲くので、砂礫の続く山に比べて変化に富んでいるのも特徴。高低差もそれほどないので小学生から楽しめるのも魅力の一つです。なにより今回は、富良野岳に決めたもう一つの大切な理由がありました。それは、向こう側に広がる原始ヶ原という平原を見たかったから。その場所は、「北海道」の名付け親として知られる幕末の人物、松浦武四郎が歩いた道として知られているのです。最近北海道の歴史に興味のある筆者としては、どうしてもその場所を俯瞰してみたかったというわけです。

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早朝4時30分、稜線に朝日が当たり始めた頃に、いつもの登山口から入山しました。駐車場には車が数台止まっていますが、まだ寝ている方が多い様子。周囲は明るいものの、まだ夜とも朝とも言えない時間ですから、当たり前と言えば当たり前ですね。

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案の定、入山届に記載されていたのは、10分ほど前に入山した一組だけでした。下山後に確認したところ、この日入山したグループは数十組。夏山シーズンとはいえ平日ですから、静かな1日だったと言えるでしょう。

© TOSHIKI NAKANISHI今日目指す富良野岳です。標高1,911m。出発点は1,300mほどですから標高差はそれほどありませんが、山頂からの高度感は随一。大雪山をぐるりと見渡せるスケールの大きさが魅力のひとつです。往復で6時間ほどの道程ですが、筆者の場合は撮影しながらなのでコースタイムよりはゆっくりめの計算をしてスタートです。

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D尾根と言われる場所を回り込むと、残雪が美しい光景が目に飛び込んできました。麓から見ているとほとんど雪がなくなっているように見えていたのですが、そこはやはり大雪山。まだまだ雪はしっかりと残されていました。そしてその様が美しいのです。緑と雪と青空のコラボレーション。山の良さが凝縮された風景に出会うと、歩いてきてよかったと、心から思えるのです。

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しばらく行くと、登山道の右側に美瑛の丘が見えました。いつも下からこの山を見ていますが、今日はその反対側から眺めています。物事を違う視点から見つめる大切さを普段から意識している筆者としては、こうした登山という身体性を伴うことで、それがより実体験として浮かび上がってくるような気がします。

© TOSHIKI NAKANISHI

© TOSHIKI NAKANISHI富良野岳への最後の急斜面。疲労の溜まってきた身体には堪える階段ですが、ここを登ればと思うと元気が湧いてきます。コースタイム的にはあと50分ほど。もう一息です。

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山頂への道は絶景のオンパレード。足元にはチングルマが咲き、中景には残雪、遠景には山並みが見渡せます。十勝岳の噴煙も、いつもと違う角度なので新鮮。今回目指した富良野岳は、古くに火山活動が終わっているらしく、十勝岳連峰で最も緑の多い山です。爆裂火口が剥き出しの十勝岳とはまるで様相が異なりますね。

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3時間ほどかけて山頂に到着。到着した時には無人の山頂でした。美瑛周辺の丘、十勝岳連峰、大雪山の山並み、そして原始ヶ原。この土地を形成する風景を一望できる感動は言葉も出てこないほど。少し強めの風が汗をかいた身体を冷やしていきますが、心は熱くなっていくのを感じるひととき。

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山のお供にはいつものラーメンを。時間にしてまだ7時半なので、言ってみれば朝ラーメンです。普段は朝からカップラーメンは食べないというのに、山は特別。最高の朝食になるのです。次々に到着する人たちも、思い思いに食事をしています。山頂のこの空気感、やはりいいものです。

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2023年の山旅のスタートにふさわしい富良野岳登山となりました。花の山として有名な山は、まだまだ花は咲き始めで山頂直下はこれからという感じでした。ただ、今回の目的の一つであった原始ヶ原を山頂から眺めるという目的は達成することができ、充実した山行となりました。幕末のころ、あの道を歩いた人々がいた。そう空想するだけで、心が熱くなってくるのです。レジャーとしての登山がまだなかった頃、彼らはなぜあの険しいところを歩かなければならなかったのか。その理由を想像してみると、そこに広がる風景の意味が見えてくるような気がします。さて、北海道の夏山シーズンは始まったばかり。近いうちに次の山を目指したいと思います。

© TOSHIKI NAKANISHI

( 2023.07.06 )

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