山岳写真に憧れて
vol.4 2023年7月・上高地編

7月の連休、2泊3日のキャンプで上高地へ。穂高連邦や槍ヶ岳等の北アルプスの玄関口となる上高地には、梓川沿いに小梨平、徳沢、横尾と3つのキャンプ場があります。キャンプといえば、一般的には車でアクセスして、テントとタープを張って、焚き火をして...といったものをイメージしますが、国立公園内にありマイカー規制が行われている上高地へは、バスやタクシーといった公共交通機関でしかアクセスすることができないため、キャンプをするにはテントや食料を含めた衣食住すべてを背負って行かなくてはならないという点が異なります（キャンプ場でレンタルできるものもあります）。上高地のキャンプ場は、登山をせずに登山でのテント泊ができるキャンプ場といったイメージでしょうか。

上高地バスターミナルから徒歩数分の小梨平キャンプ場ならば、気軽に訪れることもできますが、バスターミナルから約6km歩く徳澤園のキャンプ場や、徳沢からさらに4km歩く横尾野営場は、まさに北アルプスへの登山をする方たちのためのキャンプ場といった雰囲気。そうはいっても、上高地は日本有数の山岳リゾート。有名な帝国ホテル以外にも河童橋周辺には高級なリゾートホテルが複数あり、今回2泊した徳沢にもキャンプ場のほかに徳澤園や徳澤ロッジといった宿泊施設も存在しています。その徳沢のキャンプ場は、予約不要で1人1,500円/泊という手頃な価格や、山間のテント場のような雰囲気が気に入ったこともあり、2年連続で夏に訪れています。

徳澤園のキャンプ場。さすがの3連休、初日は雨から曇りに変わる天気でしたが、シーズン中でも人気の日だったようでテントはかなり密集していました。テントは担いでこられる軽量な山岳テントばかり。ほとんどは1〜2名用。キャンプサイトの横には小川が流れ、トイレや炊事場も完備。徳澤園には日中オープンしている食堂と売店があり、徳澤ロッジには入浴施設もあるため、不便を感じずにキャンプを楽しむことができます。

天気が回復した2日目は気持ちのよい晴天。どーんと眼前に迫る穂高連峰が美しいです。中日となるこの日は、上高地から比較的登りやすい山として蝶ヶ岳への登山を計画していましたが、前日から唸りをあげる強風の中で稜線へ出る危険や、体力的に1,000m超の高低差を日帰りで行けるのかがわからなかったこともあり、よりよい条件で再挑戦すべきと今回は断念。かわりに徳沢から大正池までの往復を散策しました。往復で20km程ありますが、ほぼ平坦な道ですから、楽しみながら散策することができました。

明神橋越しの明神岳。左が明神岳2263m峰、真ん中が明神岳5峰（2,726m）、そのすぐ右に見えるのが明神岳の主峰（2,931m、Google Earth）。これだけの高さのある山が吊り橋のすぐ向こうにまで迫る風景は上高地ならではのもの。多くの観光客が訪れるのは、上高地バスターミナルからこの明神まで。

明神から合羽橋までの梓川右岸にある岳沢湿原や上高地バスターミナルから大正池までの梓川左岸に広がる田代湿原は、変化に富んだ散策コース。時には猿の群れにも出会えます。

大正池越しに見える活火山の焼岳（2,455m）。上高地は約12,000年前に焼岳火山群白谷山火山の噴火により梓川が堰き止められ、生まれた湖の底にたい積物が積み重なってできた平坦な土地。深い緑が美しいです。大正池も観光客で賑わっていました。林間で持参した山飯を広げてランチとしました。

3日目。晴天の朝は放射冷却により冷え込みます。この朝の最低気温は13度。7～8月の真夏でも一桁まで下がることがあるため、薄手の夏用シュラフだと寒くて寝られないこともあるほど。ダウンやフリース等の防寒具を持参しましょう。3日間、上高地をたっぷり満喫できました。朝食を済ましてから撤収し、沢渡に近い中の湯温泉へ立ち寄って東京へ帰りました。

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( 2023.09.11 )