PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Find a landscape
vol.10 New Zealand

Text & Photo by 中西 敏貴

© TOSHIKI NAKANISHI

経験のないくらい雪解けの早かった今年の北海道。4月に入るとすっかり土が見え、いつもとは違う風景へと変化していきました。そんなタイミングに合わせるかのように、数年ぶりにニュージーランドへと。最後にこの地に降り立ったのはコロナ禍の前年でしたから、早いもので4年の月日が流れたことになります。その月日を経て、海外の観光地はどのように変化しているのでしょうか。今回の記事では、トレッキング大国でもあるニュージーランドで見つけた光景をお届けします。

© TOSHIKI NAKANISHI

今回目指したのは南島。日本からの直行便はないため、まずはオーストラリアのブリスベンへと向かいます。夜遅くに羽田を経つ便は途中で日の出を迎えることになりますから、必ず左の窓側席を確保。空の上からしか見ることのできない美しいグラデーションが撮影できるからです。今回は機内の電気は消されていたので窓ガラスに光が反射することもなく、夜と朝の間の時間を楽しむことができました。毎回のことですが、旅が始まる初日のフライトは興奮していてあまり眠ることはできませんね。

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ブリスベンでトランジット後、ニュージーランド南島にあるクイーンズタウンを目指します。着陸まであと少しというところで待望のサザンアルプスの山並みが見えてきました。季節は秋なので山に雪は少ない時期なのですが、アオラキ・マウントクックは真っ白な雪をたたえて聳え立っています。いつの日か歩いてみたい憧れの場所。きっと見えてくる風景が変わるのでしょう。

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ニュージーランドは北海道に似ていると言われますが、この迫り来る山並みの光景はこの地ならではだと感じます。この風景を気軽に楽しめるように、麓から山に至るまで多くのトラックが整備されているのも大きな特徴でしょう。そしてそれらのルートが本当に美しく管理されているのです。日帰りから数日かけたトレックまで、多くの人が気軽に歩く旅を楽しんでいるようで、この日も多くのトレッカーとすれ違いました。

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この赤い小屋が有名なグレノーキー。ここもそんなトレッキングの起点の町。グレノーキーから2泊3日をかけて、かの有名なミルフォードサウンド方面へと歩く、ルートバーン・トラックの出発地です。今回の旅では時間の関係で歩くことはできませんでしたが、1年以内に必ず実現したいと心に誓いました。

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© TOSHIKI NAKANISHI町の中は多くの人で賑わっていました。日本にいると未だにコロナ禍の影響を感じてしまいますが、この町にいるとそんなことはすっかり忘れてしまいます。ちなみにこの行列は、クイーンズタウンで有名なハンバーガーショップの列。注文するまでに30分、受け取るまでに30分もかかるという信じられないお店ですが、食べてみると人気の理由がわかります。大人の顔ほどもある大きなハンバーガーですが、みんな嬉しそうに頬張っているのが印象的でした。

© TOSHIKI NAKANISHI

女王が住むにふさわしい美しい町、という意味から名付けられたというクイーンズタウン。確かに素晴らしい場所に町が作られています。背後には屏風のように山が並び、美しい氷河湖が側にある。この町を起点に、色々なトレックルートを歩きたくなるところ。長く滞在したくなる、本当に美しい町です。

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そしてその周辺の町もそれぞれ魅力的。ゴールドラッシュで沸いたアロータウンやクロムウェルなど、どこへ行っても絵になるのです。最近ではワイナリーが有名になり、美味しいニュージーランドワインもいただけるようです。


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今回のもう一つの目的は、世界遺産ミルフォードサウンド。氷河に削り取られた岩盤に多くの滝が落ち、深い緑が森を形成している稀有な場所です。今では立派な道が整備されていますが、初めてこの地に向かった人々の苦労は計り知れません。その彼らが開拓したルートをミルフォードトラックとして整備し、多くのトレッカーが歩いています。世界で一番美しい散歩道と言われ、世界中のトレッカーの憧れの場所だとのこと。こちらもいつの日か歩いてみたいものですが、果たして4泊5日も歩き続けられるか少し心配ではあります。

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日本の山旅とは違い、ニュージーランドのトラックはある程度の体力があれば誰でも楽しめるように整備されている印象でした。もちろん基本的な装備や体力は必要ですが、できるだけ多くの人が歩けるように配慮されているように感じます。世界遺産の中を何日もかけてゆっくり歩くことで、風景の見え方もきっと違ってくるでしょう。

現地ガイドの話によると、山にまだ雪の残る12月ごろが最も美しいとのこと。極寒の北海道を離れて、初夏のニュージーランドを歩く旅を計画してみようと思います。その模様はいつかここでまたお届けできるでしょうか。歩くことで風景の見え方が変化するのは日本の山で実証済。今度はそれを海外で実践してみようと思います。

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( 2023.05.17 )

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