PHOTO YODOBASHI

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チャレンジ山登り 高尾山編
高度を上げてアングルを変えてみよう (1)

以前の記事のとおり(こちらをご覧ください)、かつての同僚である写真家・中西敏貴さんが何やら山登りしてる!?山登って写真撮って、写真集出して、写真展をやる!? 正直なところ写真集だの写真展だの、そのあたりはどうでもよいのです。山登りして写真を撮ってるという妙な(?)行動が気になるのです。ほら、ギター小僧が集まってテクニック自慢が始まることほどつまんないことはなくて、いま何にハマってるんだよね〜というのが結局おもしろいわけです。山登り?なんで??と、話を聞いてみるとちょっと楽しそう。「なんか新しいネタはねえか」「またココ??シ、シゲキをくれ〜〜」と常日頃ひたすらロケ地探しに奔走する編集部員達としては、高度を上げて、つまりアングルを変えて新たなロケ地を見つけることが新鮮に思えたわけです。おっしゃ一丁登ってみるか!と一念発起。皆の衆、東京と言えばの高尾山に向かうのでありました。

( Text by K )

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高尾山とは? まずは予習が肝要。用意周到にガイドさんを手配。

山登りの「や」の字さえ知らなくとも、初心者がわりとカジュアルに登れる山だということぐらいは知っています。しかし予習は必要でしょう。オフィシャル的なページを拝見して、ほほう、ずいぶん登山路が整備されていてほとんどハイキングだなあと感心。高尾山にたくさんの人達が訪れるのも納得。我々のようなメンツが登る第1号としては相応しい。とはいえ、無駄に長く生きていますので油断は禁物というのも身に染みています。そこで、かつての写真仲間の方がこの近所に住まい、まるで散歩のように高尾山に登っているということを知っていた私は、そのLさん(仮名)に「ガイドしてもらえませんか?」とお願いしました。Lさん「それじゃ、里山コースで行きましょう!」との提案。そんなコース、オフィシャルの簡略図には無いんですが。聞けばどうやら蛇滝口という所から登るようです。「ダラダラ登るより、ここから一気に登るほうが楽ですよ」と初心者向けのアドバイスらしいのですが、う〜んほんとに?ケーブルカーには乗らないのか。。と不安になりつつ、編集部員達にその旨伝えます。さて、いざ出陣です。

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一同、ウキウキ。登山道に辿り着くまでは・・・。

まずはコンビニで食料調達。おにぎり、水と、買う物はミニマム。いいねいいね、それっぽい。山頂でビールが買えるそうで、いま買っても仕方ないな〜日本酒にしとくかなんて軽口を叩いています。川沿いの、まさに里山のような光景の中を歩いて、ひとまず登山道を目指します。

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写真が趣味で得したなと常々思うのは、景色の中に身を置けることです。それこそ1日中外で太陽を浴びて、よい景色を見て、沁み入るような日の入りを眺めると、写真を撮るっていいよなあと本当に思います。登山道まで、まさに歓談。いや、気持ちいい!

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通称:里山コースの道すがらにある"休憩スポット"。ん〜マイナスイオン。もうここでくつろいで帰ろうよと若干思います。言ってましたけど。

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編集部最年長、「いや〜山岳写真にはやっぱりマキナかなあと」。※PLAUBEL MAKINA67 中判フィルムカメラ
大丈夫かいなというほど、いろいろ機材を持ち込んできております。先にバラしますと、山頂に辿り着いたのち無念のDNFと相成りました。

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ドカンと山に突き刺さるのは圏央道の高架橋。自然も凄いですけど、人も凄い。。初めて間近に見ましたがもの凄いスケール感。モノクロで15mmあたりで狙うと面白そうです。

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都心から電車で1本、この景色。心洗われます。


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汝、神や仏を頼るべからず。頼るべきは己自身なり。
いざ、登山道へ。

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蛇滝水行道場へ向かう道のりですが、いきなり結構な斜度の道のり。コンクリートをはつった道ですが、これがなかなか歩くのがつらい。

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道中、何カ所かお地蔵さんが出迎えてくれます。

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道場入口に辿り着いた頃、お地蔵さんが一体増えていました。若しくは燃え尽きた矢吹ジョーか。燃え尽きているのは矢吹さんだけではありません。思いのほかキツイ。キツイなんてもんじゃありません。

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次第に無口に。編集部員達が無口になるのはせいぜい締切前ぐらいです。記録係に任命されたZ IIも疲労が隠しきれません。手ブレ連発。EXIFを見るとシャッター速度は1/85秒、焦点距離は24mmです。これが止まらないとは疲労具合も激しい。先頭のLさんは、いまから学校に向かう学生の如き爽やかさを感じさせます。このコントラストや如何に。

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そして冒頭の画となります。皆、下を向き、思わず立ち止まり、そして歩を進める。その狭間のカットです。そんな年がら年中上を向いて歩けないさ。下を向いたっていいじゃん。歩を進めれば確実に前に進む。いえ、真っ直ぐすら向けませんでしたが。このような道のりで、つづらに何折れあったでしょうか。10近くあったような気がしますが、記録係のSDカードを見ると、もはや記録の意志すら感じられませんでした。しかし、いいカットだな〜これ。

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鬱蒼とした森から、いきなりドドン! もはや山頂に着いた感が。違うのです。まだまだなのです。上の簡略図で「展望台」に位置する場所です。それなのにも関わらずビール飲んで激しく後悔。

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蛇滝口から登る道とはうって変わって、薬王院までの道のりは何だかホッとしました。

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全国各地の景勝地などで同じような光景を見かけますが、高尾山も数多の人に愛されてきたのですね。

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さて、まもなく薬王院・本堂です。先ほどまで息を引き取りそうな雰囲気の編集部員達も心なしか足取りが軽くなります。そこから山頂までもう少しあるのですが。

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やって参りました!高尾山・山頂に到着です。これだけ登ってきたのに、実はスカイツリーよりも低いということを残酷に伝える銘板。しかしなんだろう、この達成感。

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いや〜疲れました。山頂で昼食です。ガイドしていただいたLさんは、みんなに冷たいワインとチーズを振る舞ってくれました。こんなところまで来てカメラの話? なんか変態みたいなレンズがついてますが、少しでも荷物はコンパクトにと沈胴レンズ!? いやはやご苦労様デス! しかし、おにぎり、水、ワイン、チーズ、なんともまあ美味いこと。話も弾みます。

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昼食を終えて、最年長者が膝の故障。無念にもプレーオフの城山縦走へ駒を進めることができませんでした。ここで離脱。記録係のZIIにとって師匠的存在が帰るというのに、冷徹にも見事なサヨナラ感のフレーミング。

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ここから城山までは、なが〜い下りがあったり。。

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急激に登ったり。何度か心が折れそうに。

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山の向こうに見える街並み。こんな景色を見ると日常が実にちっぽけだと感じると同時に、建物1つ1つに小さな社会が存在しているのを感じます。地上ではその日常の中に飲み込まれて暮らしているわけですが。

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城山山頂の茶屋にて。相模湖方面という看板が見えますが、日頃車で中央道を走り、その位置関係ぐらいは知っています。しかし看板を見るとあらためて「歩いて行けてしまうんだなあ」と思う次第。いまや地図を買わなくてもネットで地図を見て渋滞情報を掴み、カーナビに目的地をセットして、何もかもをパスして目的地に辿り着く。便利で悪いことではありませんが、まったく見ていない、通り過ぎてしまっている景色が多々あるんだろうなと、ぼんやり考えてしまいました。

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そんなこんなで、高尾山ー城山を渡る1日は終わりました。「(城山の麓から)高尾山駅まで歩く?バス?」と案内役のLさんが聞いてきたとき、編集部員一同「バス」と即答したのでありました。


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山を登って、新しいロケーションを探す試みを終えてみて。

まず、山登りそのものについて。登って、そして降りている最中は、正直なところ日頃無い疲労感に「もういいかな」と思うわけです。しかし降りきって少し時間が経つと、何故なのかじわりと達成感が時間差でこみ上げてくるのです。打ち上げでビールを飲んでる頃でしょうか。筋肉痛はちゃんと明日来るかなあ?と思いつつ。そして皆とは「また登りたいね」と話しているのですから、数時間前のことも忘れるようになった?と、少々笑ってしまいます。

初回が楽しかったからこそ、高尾山には実は2回登りました。2回目は、みなさんが一番選ぶであろう舗装路を登り、帰りはリフトで降りるというルートです。これはこれで楽しめるという印象です。このあたりの手軽さも併せ持っていて、みなさんが高尾山に登る理由がよくわかります。ただ、舗装路よりは土の上を歩く前回の方がある意味では楽だったかもしれません。2回ともに、普段の恰好に靴で登りましたが、登れないわけではありません。しかし、山登りに適した服装に装備は必要だなと感じました。

さて写真の方ですが、まず山に登ってみないことには・・という話で大して撮影はできませんでしたが、実際に登ってみて、少し撮ってみたい画が浮かんできました。記録係が撮影したカットの中でも、良さそうなカットは多々ありましたが、これはまたの何処かのタイミングで掲載したいと思います。高尾山に限らず、近郊の山々を少しずつ登って行く予定です。またお目にかかりましょう。

( 2020.12.08 )