PHOTO YODOBASHI

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vol.9 大雪山・沼の平

Text & Photo by 中西 敏貴

© TOSHIKI NAKANISHI

PHOTO YODOBASHI本州ではまだまだ残暑が残る9月下旬。北海道大雪山系では秋が深まり、まもなく雪が降ろうとしていました。北海道の山好きにとっては最もワクワクする季節。天気予報と睨めっこしつつ、毎週の山行プランを練るのは本当に楽しいものです。当然ですが、この時期はどの山も大賑わい。特に有名な黒岳、赤岳、旭岳などは駐車場の確保すら困難を極めるほどの人気です。もともと静かに山を楽しみたい筆者ですから、そんな時期はマニアックな場所を選ぶことにしました。山に詳しい読者の方ならすでにお気づきかと思いますが、沼の平といえばマニアックどころか、かなり有名な部類に入ります。では、どこがマニアックなのでしょうか。それは、沼の平に至るルートに秘密がありました。
(※地図をクリックすると広域の地図を表示します)

  • © TOSHIKI NAKANISHI
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時刻は6時半。日の出の時間は過ぎていますが、谷間の登山口なのでまだ薄暗さを感じる頃です。朝方に冷え込んだようで、霜が降りていました。今日は快晴予報ですからすぐに身体も温まるでしょう。準備を整え出発です。

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登山道は霜で真っ白。筆者の前には一人だけ入山記録があったので、少しだけ安心です。北海道の山は熊の生息域ですから、こうした時間帯はやはり緊張してしまいます。用心しているとはいえ、この道で出会ってしまったら、と考えると少しだけ心拍数が上がるような気がします。

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早速看板の登場です。入山者の多い山ならまだしも、ここは人気の少ない登山道。むしろ熊の方が多いかもしれません。

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もったいつけてしまいましたが、このルートは「松仙園ルート」と呼ばれている、長く廃道状態だったルート。地元団体の努力によって、14年ぶりに復活したという幻ルートなのでした。ベテランハイカーには有名だったルートですが、なにせ14年も使われていなかったわけで、知られていないのも頷けます。ところがこのルート、本当に歩きやすいのです。所々に現れる湿地には、こうして木道が設置されており、ほとんどストレスなく歩くことができました。復活のためにどれだけの苦労を地元団体がされたのか、想像するだけでも頭が下がります。

© TOSHIKI NAKANISHI道中にはちゃんとピンクテープも貼られており、道迷いの心配もありません。なによりこのルート、登りばかりではなく、平坦地も程よく現れるので、疲労感が少ないのもいいところです。

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入山から1時間20分ほどで、松仙園と呼ばれる場所へ到着しました。この場所へ到着したと同時に視界が一気に開ける感覚はとても新鮮。きっと誰しもがこの場所で感嘆の声をあげてしまうと思います。それくらい、世界が突然変化するのです。

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そして、真新しい木道がずっと続いています。この場所へ荷上げした方々の苦労を思うと、有料にしてもいいのではとさえ思えます。これらの登山道を実質無料で歩ける日本の山は本当に貴重かもしれません。

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ご覧の通り、ほとんどハイカーのいない静かなルートで、細い木道がどこまでも続いています。そしてこのルートは一方通行。すれ違うハイカーもいないためか、余計に静かに感じます。お気に入りの場所で立ち止まり、じっくりと自然と向き合っていると、ここが「神々の遊ぶ庭」と呼ばれる理由がわかるような気がします。神々がこの場所を庭に見立てて作り上げたと言われても、不思議ではありません。

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さて、ルートは松仙園を抜けて沼の平へと向かいます。所々に難所はあるものの、それもまた楽しめるくらいの余裕が持てるのはこの紅葉のおかげでしょうか。次々に現れる光景に、いちいち感嘆の声をあげているので喉も渇きます。

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沼の平というくらいですから、多くの沼が次々に出現するわけですが、その光景がまた不思議。まるで空が落ちているようです。これほどの山の上に静かに佇む水の光景は独特の世界観。神が作った庭園とは、まさにこの光景のことを言うのでしょう。歩かなければ絶対に出会うことのできない風景です。

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歩くためには軽量化は必須。いつもの相棒はもちろんのこと、少しでも軽いものを見つけたら積極的に取り入れます。ここには食糧も防寒着も入っているので、機材を軽くすることは常に考えておくことが大切です。

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午前11時頃、今回の最終目的地である六ノ沼に到着しました。入山から4時間ほどが経過してたでしょうか。ゆっくりとしたペースで歩いているので、コースタイムよりも長めの時間を要していますが、それは計画通り。いつものように山頂を目指しているわけではないので、それでいいのです。筆者がゆっくりランチをしていると、急足のハイカーが通り過ぎて行きました。どうやら山頂を目指しているようです。もちろんそれもまたよし。山の楽しみ方はそれぞれですからね。またいつの日か、山頂ルートを歩いてみたいと思います。

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( 2022.10.20 )

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