PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

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エリア510
Volume 3

65年ぶりのお正月

フォトヨドバシ読者の皆さま、明けましておめでとうございます。

切りの良い2020年は令和2年でもありますが、平成32年、昭和95年、大正109年、明治153年でもあります。それがどうした、と言われるでしょうが、ときどき元号が必要になる仕事もしておりましたので、毎年、会社のカレンダーにこれを追記しておりました。蛇足ですが皇紀2680年だそうです。華の女学生だった頃に国民総出で「皇紀2600年」を祝った母から聞いた知識です。そのときに歌わされたという「奉祝国民歌」を母から教わってなぜか覚えています。

さて、ニコンを退社して初めての正月を迎えています。これをお読みの方の中にはすでにリタイアされた先輩諸氏もおられると思いますが、それを承知でしょーもない文を書きます。

会社勤めの前には長〜い学生時代があった訳ですから、どこにも所属しない身分での正月は、幼稚園入園前からの65年ぶりということになります。しかし、未だに勤めている気分が続いています。講演会や原稿書き(フォトヨドバシもその一つ)はニコン時代と同じかそれ以上に増え、写真がらみの隠密行動、現役の若い連中からの問い合わせや愚痴、写真家からの質問(←もう現役じゃないっつ〜の)、親しい同期からの宴会のお誘い・・・つまりは未だにギョーカイとの縁が切れないからです。結局、退社した昨年6月から早めの夏休みが長〜く続き、現在はまさに長〜い冬休み・・・そんな気分です。

でも、まったく意外なことで「あ、会社を辞めたんだ」と思い知ります。それは「Suica」の残額。今でも頻繁に宴会へ呼んでいただき、心の故郷大井町や、それに比べると大して面白みのない品川へと出かけるのですが、毎回、往復の交通費だけでそれなりの金額が飛んでいきます。ニコン時代は、船橋〜品川あるいは西大井間という「使える」定期を支給されていたおかげで社用私用に関わらず、どこへ行くにしても交通費というものをあまり気にせずに済みました。それが今や精算して戻って来る訳でもなく、減っていく一方の残額を見て、やっと素浪人の自分を痛感するのです。

Photo by 510

退職したことを思い知らせてくれるのが、この小さなプラスチックの板とは。うっすらと見える「品川」の文字がなんだか物悲しい。さらに向こうには背後霊のように「西大井」…見えないか。

会社を辞めてから、心配になり始めたことがいくつかあります。