PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SORI - 新宿光學總合研究所

  • 本稿は、写真用レンズについてより深い理解が得られるよう、その原理や構造を出来る限り易しい言葉で解説することを目的としています。
  • 本稿の内容は、株式会社ニコン、および株式会社ニコンイメージングジャパンによる取材協力・監修のもと、すべてフォトヨドバシ編集部が考案したフィクションです。実在の人物が実名で登場しますが、ここでの言動は創作であり、実際の本人と酷似する点があったとしても、偶然の一致に過ぎません。
  • 「新宿光学綜合研究所」は、実在しない架空の団体です。

3群8枚目  ものづくりの最終工程で行われる試作とは
試作のプロフェッショナルたち (後編)

「試作」の後編です。前回は設計の段階での試作の話でしたが、試作はそれだけではありません。 もう一つ、極めて大事な試作がその後に待っています。われわれが商品としてレンズを手に取る、その瞬間にいちばん近いところにある試作。今回はそのお話です。

  1. 例によって、まったくどうでもいい導入部
  2. 「量産試作」とは?
  3. ここでも出てきた、シミュレーター
  4. 要求性能を満たせ!
  5. やっぱり大変だったコロナ禍
  6. 栃木ニコンで試作を担当されているみなさんから

例によって、まったくどうでもいい導入部

ふぉう〜、ふぉおおお〜

馬橋所長

あら、何かしらこの音は?

2号

尺八の音色ですね。

かーーーーーーーっ!

馬橋所長

これは?

2号

これはビブラスラップという楽器です。

馬橋所長

詳しいのね。

2号

ブラバン出身なんで。

馬橋所長

あら、なんで急に暗くなったの? ちょっと、誰か電気を。

2号

え? スポットライト?

しさくは木ぃを切るぅ〜、へいへいほー

原田

へいへいほー

町田

へいへいほー

原田
原田原田

しさぁくぅ〜、しぃさあああくぅ〜

馬橋所長

はい、しゅーりょー。新宿光学綜合研究所 勤務規定第6条。研究所内では、やむを得ない事情がある場合を除き熱唱してはならない。なんですか町田さんまで。

前回が試作の話だったんで、つい。

町田

で、今回も試作の話です。

原田
2号

前回は設計フェーズにおける試作の話でしたね。

そうです。設計を進める上で、レンズとしてのいろいろな機能を、実際に試作して確かめるという話でした。なのでこの試作は「機能試作」と呼ばれています。

原田

今回お話をするのは、もう一つの大事な試作、「量産試作」についてです。

町田
3号

その「量産試作」というのは、「機能試作」とはどう違うんでござるか?

それは、実際に携わっている方にお話を聞くのがいちばん。というわけでオンライン会議システムをぽちっとな。

原田

ぶいーん(テレビがつく音)

4号

おお、すでに勢ぞろいされている!

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「量産試作」とは?

ご紹介します。こちらは株式会社栃木ニコンの大島さん、神山さん、井上さん、山本さんです。

原田
今回お話をお聞かせいただいたみなさん:

株式会社栃木ニコン 技術統括部 第1生産技術部
大島 誠さん(生産プロジェクトマネージャー)
神山 克之さん(生産プロジェクトマネージャー)
井上 大輔さん(メカ技術担当)
山本 浩由さん(光学技術担当)
1号

栃木ニコンというのは?

株式会社栃木ニコンは光学や映像に関連するさまざまな事業を行っていますが、ここでは「ニッコールレンズを作っている会社」として覚えておいてください。ニコンは海外にも生産拠点を持っていますが、栃木ニコンは国内におけるレンズの生産拠点です。

町田
2号

そういえば以前、取材させていただいたことがありましたね。

ニコン100周年の時ですね。6年前です。

原田
3号

ナヌ、あれからもう6年も経ったでござるか!

4号

みなさん、本日はお忙しい中ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします!

こちらこそ、よろしくお願いします。

大島
1号

早速ですが、「量産試作」とはどんな試作なんですか?