PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SORI - 新宿光學總合研究所

  • 本稿は、写真用レンズについてより深い理解が得られるよう、その原理や構造を出来る限り易しい言葉で解説することを目的としています。
  • 本稿の内容は、株式会社ニコン、および株式会社ニコンイメージングジャパンによる取材協力・監修のもと、すべてフォトヨドバシ編集部が考案したフィクションです。実在の人物が実名で登場しますが、ここでの言動は創作であり、実際の本人と酷似する点があったとしても、偶然の一致に過ぎません。
  • 「新宿光学綜合研究所」は、実在しない架空の団体です。

2群1枚目  レンズとは、なんじゃらほい
凸に始まり、凸に終わるのであります。

馬橋所長

・・・というわけで、基本的なことのように思えるものの、実はカメラに詳しい人にとっても謎だったりするのがレンズの断面図です。今日はこの断面図の読み方について、原田さんと町田さんに教えてもらうことにします。こちら、一緒に参加していただく研究員1号さんから4号さんです。フォトヨドバシから当研究所に来られました。

1号2号3号4号

よろしくお願いします。

みなさんは、レンズの断面図をじっくり見たりしますか?

原田
4号

いちおう見ますけど・・・でも「ふーん」で終わっちゃうんですよ。あれを見て「ほほう」とか「おおっ」って本当は言いたいんですけどね。

そうですか・・・ちょっと残念だなあ。レンズの断面図を見て何かを感じるためには、そもそもレンズってどんな働きをしているの?というところから知る必要があります。みなさんはこんな景色を見たことがあると思います。

原田

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2号

ええ、よく見ますね。お風呂とか、プールとかで。

これが光の屈折、つまり光が曲がる現象です。レンズはこの「光の屈折」を作り出すものです。

原田
1号

光の屈折を・・・

光というのは直進する性質を持っていますが、それが水と空気の境目で曲がって、こう見えるのです。

原田
3号

どうして水の中だと光が曲がるのでござるか。

光が曲がった理由、それは「空気中と水中では光の進む速さが違うから」です。

原田
3号

光の進む速さが違う・・・でござるか。

この現象には一定の法則があって「スネルの法則」と呼ばれています。ここでは詳しく説明しませんが、興味があれば調べてみてください。簡単に言えば、異なる物質の中を光が透過する時、その境目で光が曲がるんです。「プリズム」って知っていますよね? これです。

原田

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2号

ええ、見たことあります。

これもさっきの水と同じです。光が空気中からプリズム、つまりガラスに入ったところでいったん曲がり、今度はガラスから空気中に出たところでもう一度曲がる。その理由は、さっきも説明したように空気中とガラスの中では光の進む速さが違うから。光がどのぐらい曲がるかは、ガラスがもともと持っている屈折率と、その物質に対して光が当たる角度によります。それを説明したのがスネルの法則です。

原田
4号

でも、プリズムじゃあ写真は撮れませんよね。写真用のレンズは、また違った原理なのでは?

ちっちっち。面白いものをお見せしますね。プリズムって、だいたい三角形をしていますよね。さっき話した「光がどのぐらい曲がるかは、屈折率と光が当たる角度による」を思い出してください。この「光が当たる角度」とはつまり、プリズムの頂点の角度のことでもあります。頂点の角度が開いているほど光は大きく曲がり、角度が閉じているほど光は小さく曲がるんです。

原田

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そこで角度の違うプリズムをいくつも用意して、こうやって順番に縦に並べて・・

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厚みを調整して・・

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さらに下側も同じようにして・・

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最後に、光があまり曲がらない、つまり角度があまりついていない中央部を加えると・・ほら、凸レンズになるんですよ。つまり「レンズはプリズムの集合体」なんです。

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1号2号3号4号

おおーっ

馬橋所長

凸レンズって、つまりコレね?

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そうです、そうです! それです。

町田
4号

所長・・いつのまにそんなものを。

馬橋所長

マイ虫メガネです。

2号

マイって・・