PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SORI - 新宿光學總合研究所

  • 本稿は、写真用レンズについてより深い理解が得られるよう、その原理や構造を出来る限り易しい言葉で解説することを目的としています。
  • 本稿の内容は、株式会社ニコン、および株式会社ニコンイメージングジャパンによる取材協力・監修のもと、すべてフォトヨドバシ編集部が考案したフィクションです。実在の人物が実名で登場しますが、ここでの言動は創作であり、実際の本人と酷似する点があったとしても、偶然の一致に過ぎません。
  • 「新宿光学綜合研究所」は、実在しない架空の団体です。

2群4枚目  あの数字の並びはいったいどこから来たのか
エフチの「チ」

先に答えを言っちゃうと「√2」を掛けていくと、あの並びになるというわけです。

町田

あいや、お待ちくだされ。「ルートニ」ってなんでござったっけ?

3号
2号

「ひとよひとよにひとみごろ」って、学生時代に覚えたでしょう?

久しぶりに聞いたでござるな、それ。

3号

√2とは、同じ数字どうしを掛け算(二乗)して2になる数のこと。つまり、√2 × √2 = 2となります。実際の数字に直すと「1.41421356…」となって、この語呂合わせが「ひとよひとよ・・」でしたよね。さて、ここに出てくる「1.4」という数字、何かピンときませんか?

町田
1号

あ、あの「1.4」って、その「1.4」なのか!

3号さん、円の面積の求め方を覚えていますか?

町田

えーと、「半径 × 半径 × 円周率」でござったな、確か。

3号

そうです。この公式に則って「絞り穴の面積を2倍にする」にはどうすればよいかというと、「半径 × 半径」の部分が2倍になるように、つまり半径を√2倍(約1.41倍)にすればよいのです。逆に「面積を半分にする」には、半径を1/√2倍(約1/1.41倍)にすればよいということになります。

町田
2号

うーん、だんだん見えてきたわ。

そんなことから絞り穴の面積を倍にしたり、あるいは半分にする指標として、√2倍ずつの数字が並ぶ・・・というやり方がどこかの時点で考案され、やがて定着したのだと思われます。それが現在のF値。

町田

なるほど。腑に落ちたでござる。

3号
F値 F1.0 F1.4 F2.0 F2.8 F4.0 F5.6 F8.0
光の量 基準値→ 1/2 1/4 1/8 1/16 1/32 1/64
64倍 32倍 16倍 8倍 4倍 2倍 ←基準値

F値と光の量の一覧表 - 1段絞れば、光の量は半分に。1段開ければ、倍になる。

4号

ところで、F値の「F」は大文字ですが、小文字の「f」もよく見かけますよね。

レンズの世界では、小文字の「f」は焦点距離を表します。紛らわしいですよね。レンズ名称で、F値をf/で示していることもあったり。F値の話を掘り下げていくと、レンズの明るさに焦点距離が絡んできたりして、かなりややこしい話になるので、またの機会に話をしましょう。

原田

ずいぶんアッサリ終わると思ったら、これにはまだ続きがあるのでござるな。

3号