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OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PRO, 1/250, F18, ISO 200, Photo by K

レース / OM-D E-M1 Mark II で到達した世界

カテゴリー:風景 | ポートレート | スタジオワーク | レース | スナップ

風景、ポートレート、スタジオワークでのOM-D E-M1 Mark IIのポテンシャルはご覧になって頂けましたでしょうか。今回は、OM-D E-M1 Mark IIをサーキットへ持ち出してみました。モータースポーツの撮影となると被写体は高速で動きますから、AFが速く正確であり、動体の追従性能が高いことなど機材に求められる性能について、ハードルは当然高くなります。これは即ちミラーレスの弱点とも言うべきポイントなのです。

風景、ポートレート、スタジオワークとこれまでのテストではどんなシーンでも高いポテンシャルを発揮してきたOM-D E-M1 Mark II。“なんでも撮れる”とは言っても、本当にミラーレス機でレーシングカーを捕捉できるのか? そこで、本モデルの動体追従能力を確かめるため、猛暑のなかサーキットでの撮影を敢行しました。サーキットでの撮影経験のある撮り手、そして今回初めてモータースポーツを撮影する撮り手、それぞれに対し、OM-D E-M1 Mark IIはどう応えたのか。作例をご覧になって頂きながら、そのポテンシャルを確かめてみましょう。

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PRO, 1/400, F11, ISO 64, Photo by K

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO, 1/500, F13, ISO 400, Photo by Rica

通常のレビューでは、動く被写体を狙うということは比較的少なく、レンズも標準域のズーム、単焦点がメインとなることが多いのですが、今回の撮影では35mm版換算で中望遠80mmから超望遠300mmまでの焦点距離域をカバーするM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO、超望遠600mmの画角で撮影できるM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PROの2本のレンズを使用しています。レースの現場では撮り手と被写体の間にかなりの距離があるため、こういった望遠域のレンズを使用することがほとんど。初めてのモータースポーツ撮影では、撮影位置によってさまざまに構図を整えることのできるズームレンズから始めるのがいいでしょう。腕に自信のある方、撮りたいシーンがある程度想定できている場合には単焦点レンズをオススメします。

ツインリンクもてぎのファーストアンダーブリッジからのカット、そしてS字カーブでのカットです。AFは追尾AF(C-AF+TR)に設定しました。コーナリングで加減速しながら走行してくる車を難なく捕捉するOM-D E-M1 Mark II。撮り手はメインに据えたい被写体とフレーミングを整えることに集中するだけです。

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO, 1/160, F18, ISO 200, Photo by Rica

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO, 1/100, F18, ISO 200, Photo by Rica

モータースポーツの写真では頻繁に目にする「流し撮り」。被写体の移動速度に合わせてカメラを動かし、シャッターを切ります。メインの被写体以外の背景が流れ躍動感のある仕上がりになるため、とてもよく使われるテクニックです。…と、書くのは非常に簡単なのですが、通常、この流し撮りでは走行ラインを予測して置きピンで連写を行うことが多く、さらに右から左に車を追いながら撮影しているため、手ぶれにも悩まされるのです。

そこでOM-D E-M1 Mark IIの追尾AFの正確さを頼り、置きピン、連写はせず、手ぶれ補正はS-IS AUTOで撮影しました。OM-D E-M1 Mark IIは一度ピントを合わせてしまえば、動いている被写体も逃すことはありません。車の動きと自分の動きをシンクロさせることに集中して、狙ったポイントでシャッターを切ります。流れる背景に浮かび上がる車体、その質感の再現力にも驚かされます。

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO, 1/1000, F4.5, ISO 200, Photo by Rica

ズームリングを目一杯回し、テレ端150mm(35mm版換算300mm)で撮影しました。これだけググっと被写体に迫っても、ファインダー内ではしっかりとこの動き続ける被写体を追従していますし、手ぶれ補正の効果でフレーミングもとてもしやすいのです。撥ねた泥や車のキズ、そしてコースのブラックマークまでその質感をしっかりと描きわけながら描写してくれているのも魅力的です。

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO, 1/250, F9, ISO 200, Photo by Rica

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PRO, 1/640, F4.5, ISO 200, Photo by K

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PRO, 1/50, F22, ISO 200, Photo by K

AFの正確さ、高い動体追従能力、そして強力な手ぶれ補正があれば、決定的瞬間を狙ったり、あえてスタンダードなフレーミングを避け、構図で躍動感を表現するなど、あえて動体を追うことに重きを置かず、自由な表現を楽しむこともできます。高速で走り抜ける車そのものの動きを被写体ブレを利用して撮影するのも一興。OM-D E-M1 Mark IIの高い性能があるからこそ、表現の幅は大きく広がります。

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PRO, 1/6400, F5.6, ISO 200, Photo by K

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4 IS PRO, 1/3200, F4.5, ISO 200, Photo by K

走行写真だけがレースではありません。トラブルのあった車両も立派なレースシーンのひとつ。また、日本国内のサーキットは山の中にあることがほとんどですから、緑がとても美しくフォトジェニックであることも魅力。OM-D E-M1 Mark IIと各PROシリーズレンズなら、その描写力もフルサイズ機に劣っているという印象はもはやありません。気がつけば心のおもむくままに、さまざまなシーンでシャッターを切っていました。

ミラーレス機が動体に弱い時代は終わった。

OM-D E-M1 Mark IIを持って、照りつける太陽のもと1日中撮影をしていました。撮影を終えてみるとよく耳にする「ミラーレスは動体に弱い」という点について、まったく何の心配も不満も感じることはなく、ただひたすらシャッターを切り続けていたことに気づきました。ファインダーの滑らかな表示は最高フレームレート120fps、タイムラグは0.005秒とほとんど遅れがなく、動き続ける被写体を逃すことはありませんでした。そしてPROシリーズレンズとの組み合わせでは、その高い描写力、解像力で、画に対する不安を抱える必要もありません。また、望遠レンズを使用するシーンが多いモータースポーツの撮影では、サーキット内の移動にも時間がかかります。超望遠300mmのレンズでも一眼レフのシステムと比べ大幅に軽量でコンパクトですから、撮影での肉体疲労は大幅に軽減できたと感じました。撮り手が不安に感じる点をほぼすべて、カメラの数々の機能がフォローしてくれ、さらにシャープでクリアな画を生み出すOM-D E-M1 Mark IIなら、撮り手のレベルに関わらず、常にベストな解を出してくれる。使ってみると、しみじみいいカメラだなと感じるのです。

撮影者からの一言。

オートバイを中心にレース好きなので、サーキットには数えきれないほど通っているのですが、実際にこうして走行シーンを撮影するのは、ほぼ初めてです。初心者とはいえ数々のレース写真を見てきたので、できるだけ前受けで撮影したいと思い、行き慣れたツインリンクもてぎのふたつ目のS字コーナー立ち上がり、90度コーナーで撮影を行いました。S字コーナーには60R、70Rとふたつのコーナーがあります。車は、まずひとつ目からふたつ目のコーナーに向かって加減速して、ふたつ目のコーナーの立ち上がりでは一気に加速します。ここでの撮影はその加速していく車のスピードの変化を追う意味でも、「動体の追従性能」を試すにはとてもいい場所ではないでしょうか。あくまで初心者ですから、まずはカメラのフォーカスモードを追尾AF(C-AF+TR)にセット。AFのターゲットモードは9点グループターゲット、C-AF追従感度はマイナス1、AFスキャン設定はmode1(OFF)に。手持ちでの撮影のため、手ぶれ補正はS-IS AUTOを選択し、とにかくほとんどのことをカメラに任せることにして撮影を開始しました。シャッターボタンを半押しして、まずは向かってくる車に向かいピントをざっくり合わせます。そのままファインダーを覗いていると、グリーンの枠が走り抜けていく車を右から左へしっかりと追従しているのが分かります。AFスキャン設定をmode1に設定しているため、追従している被写体がフレーム外へ出た場合でも至近から無限遠までのAFスキャンを繰り返さず、すぐに次に走ってきた車の追従を始めます。実は、撮り始めはこのファインダー内の動きに見とれてシャッターを押すことを忘れてしまいました…。位相差AFのみで動体の追従が可能になったというOM-D E-M1 Mark IIですが、確かに速いうえ、AFの食いつきがよく、本モデルではこれが「当たり前」だということに驚きました。私の腕では決してないのに、ピントがしっかり合った画、コーナリングで片輪がほんの少し浮いた瞬間などを撮れたときには、ものすごく気分が高揚するものですね。自分にできないことをカメラに任せられるだけでなく、自分の撮りたいもの、撮りたい気持ちをしっかりとすくい上げてくれるカメラだと実感しました。OM-D E-M1 Mark IIは特別な撮影のみならず、カメラそのものも初めてだという人にこそ強くオススメしたいモデルです。(Rica)

少し面識があるという程度ですが、F1を撮影しているカメラマンが知り合いにいます。スナップの「手ブレ限界」とされるような低速シャッターで、あのF1を流し撮りでバンバン止めてしまうのですから、もはや職人としか表現が見当たりません。曰く「流し撮りは一点止まってればよい」とのことですが、タイヤやリヤウイングが止まったところで・・(笑)その方のカットは背景はすべて飴のように流れ、ヘルメットが美しく止まっています。

F1は極端な話としても、箱のレースなんていわゆるスーパースポーツと呼ばれる車格以外、見てる分にはさほど速くないのです。しかし止めようと思ったら結構難しい。1/125あたりなら、カメラ任せにAFで手ブレ補正機構に任せていれば結構止まります。あまり流し撮りの経験がなければ、1/60あたりから確実に難度が上がってきます。・・・従来のミラーレス機なら、そもそもレース撮影に持ちだそうという気にもなりませんでした。こんな話をミラーレス機のインプレッションで書けること自体、大変な進化を感じます。

EVFを覗きながら車両を追尾AFで追い始めると、疾走する車両をスーパーインポーズ表示が追いかけていきます。シャッターボタンを押し込めば、タイムラグなくその瞬間の画面を切り取れます。スピードに不満なし、フォーカシングに不満なし。むしろ撮影結果そのものをファインダーで覗きながら撮影しているわけで、私のように"にわか"でサーキットに来ている者からすると、光学ファインダー搭載の一眼レフより確実に撮れる気がします。つまり、捕まえる力(AF)とスピードが伴って、デジタル特有のEVFのようなデバイスが本当に力を発揮し始めたと言えるでしょう。フィルムカメラにはじまり今日に至るデジタルカメラまで、作り手はいかに撮影を手助けするかを考えてカメラ作りを行うわけですが、考えてみてください。サーキットにはじめてやってきて、フィルムカメラでいきなり撮ったところで結果はひょっとすると全滅かもしれません。一連のOM-D E-M1 MarkIIのテストで、ミラーレスの進化を追っていたわけですが、カメラそのものの進化を感じました。最後に、今回私は600mm相当の画角である300mmの単焦点1本でテスト撮影を行いました。600mmなんて一脚に据えての撮影が妥当だと思いますが、コンパクトがゆえに手持ちで存分に撮影が可能です。このあたりも、マイクロフォーサーズの大きなメリットだと思います。(K)

( 2017.08.02 )

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新たに開発された、高速画像処理エンジン「TruePic VIII」、また、こちらも新開発の121点オールクロスタイプの像面位相差AFセンサーが動く被写体もしっかり捕捉。手ぶれ補正もしっかり効きますから、初めての動体撮影でもしっかりと撮りたい画を得られます。

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高い光学性能はもちろん、防塵防滴と高い堅牢性で、どんな状況においても高い画質を得ることのできるPROレンズシリーズ。今回の撮影では40-150mm F2.8というズームレンズを使用しています。35mm版換算80-300mmという中〜望遠域を使用でき、サーキットでも被写体にグっと迫ることができます。

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こちらも今回の撮影に使用したレンズです。オリンパス史上最高レベルの解像力に加え小型軽量ボディーの高い機動性。新搭載の5軸シンクロ手ぶれ補正は世界最強の最大6段分の補正効果を実現。超望遠600mmの撮影でも手持ちでの撮影が可能です。腕に多少の覚えがある方は、ぜひ超望遠単焦点レンズにチャレンジしてみて下さい。

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長時間の撮影では、予備バッテリーが必要ですが、バッテリーグリップを装着することにより本体側の電池にもう一本電池を使用可能になります。さらに、撮影時の安定感が増しますし、十字ボタンにより縦位置撮影時にも通常の撮影時と変わらぬ操作性を維持してくれます。

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