PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/4000, F8, ISO 400, Photo by Naz

スナップ / OM-D E-M1 Mark II で到達した世界

カテゴリー:風景 | ポートレート | スタジオワーク | レース | スナップ

カメラの小型軽量さが撮影の現場で仇(あだ)になることなど、まず無いわけでして。あらゆるシーンで、それは絶大な威力を発揮します。一方、すでにご覧いただいたスタジオワークポートレートのような、カメラにそこまでの機動性を求めない場面でも、E-M1 Mark IIは期待に完璧に応えてくれました。つまり、カメラというものが本来問われるべき「写りのよさ」の部分でも極めて優秀なカメラだということが、きちんと証明されたのです。

今回は「ストリートスナップ」。ストリートスナップの最大の魅力は、「偶然性」。これには、その偶然を予見したり、呼び込む力まで含まれるかもしれません。さらには、その偶然に対処するための「瞬発力」や、撮るべきものを見逃さない「観察眼」も必要です。それらストリートスナップを構成する要素の中に、このE-M1 Mark IIというカメラがどう絡み、食い込んでくるのか。今回はそのあたりをレポートしたいと思います。撮影を担当したのはNazとNBです。


OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/1000, F4, ISO 400, Photo by Naz

グラデーションを描く

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO, 1/6, F4, ISO 400, Photo by Naz

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/640, F4, ISO 200, Photo by Naz

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/1250, F5, ISO 200, Photo by Naz

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/1000, F8, ISO 400, Photo by Naz

オリンパス・マジックというべき、高い完成度。

OM-D E-M1 Mark IIを手にするとまずその精度の高さに感心しました。デジタルカメラの世界には「大きいフォーマットの方が画質に有利」という“共通認識”のようなものはありますが、それはレンズやシステムを共有しているフルサイズ機とAPS-C機のような関係での話しなんですよね。マイクロフォーサーズ機では設計から組み立てまで高い精度でシステム全体が造り込まれていますから、比較的小型のセンサーでも驚くほど高い画質を得られます。

またOM-D E-M1 Mark IIでは、コンパクトなシステムから生まれた“余裕”を上手に活かし、防滴性能を含め非常に頑丈なボディと大型のバッテリーによる安定した動作が魅力です。プロ機らしいキビキビとしたレスポンスも併せ、多くのプロカメラマンから高い支持と厚い信頼を得ていることを使い込むほどに納得させられます。

今回のストリートスナップのようなひたすら歩き回るロケでは、機材の機動性が撮り手の機動力に直結します。特に暑い最中のロケでは、小さく軽いシステムというのは実に有り難く、メインで使用したM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROとの組み合わせは、「他のシステムには存在しない!」と言い切れる強力なパッケージ。8倍を超える高い倍率ながらも、F4通しで手のひらサイズという扱いやすさと、性能重視の低倍率ズームをも凌ぎ単焦点レンズと肩を並べる切れ味は、PYのレビューで知っていても驚かされるものでした。(Naz)


OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO, 1/4000, F2.8, ISO 200, Photo by NB

巣鴨、上野、日暮里。非おしゃれ街道。

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO, 1/10, F16, ISO 200, Photo by NB

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO, 1/640, F2.8, ISO 200, Photo by NB

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO, 1/250, F2.8, ISO 200, Photo by NB

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO, 1/8, F2.8, ISO 800, Photo by NB

真摯に。謙虚に。そういう視点で街を切り取るカメラ

「したまち」の正しい定義は別にあるのだろうが、まぁ要するに「アッパーではない」という大雑把な解釈で捉えるなら、私は圧倒的に下町の方が好きだ。反対にアッパーはいけない。今の東京で言うと、六本木、赤坂、汐留、丸の内、お台場、広尾、代官山、表参道あたりか。間違ってこういうオシャレなところへ行くと、途端に体調が悪くなる。当然、ロケ先の選定でもついアッパーを避け、下町と呼ばれるあたりを選んでしまう。ただし、下町といってもいろいろある。今回は巣鴨、上野、日暮里を歩いてみた。

「下町風情」を探して東京を歩いてみると、そういう雰囲気を残しているところは、意外とまだある。とは言っても手つかずで残っているわけではなく、街並みを保存すると同時に、ある種の演出によって巧みに観光地化を図っていたりもする。手書き風のマップを作ったり、通りにヘンな名前をつけたり。要するに「プロデュースされてる臭」がプンプンしている。その点、同じ下町でも巣鴨や上野、日暮里はどうだ。プロデュース臭など皆無。あくまでも人間の事情に合わせて、街が自然に発展してきた感じがする。新築の家のとなりに煤けた町工場がある。そのとなりには外車のディーラーがあるかと思えば、その裏はホテル街といった「ごった煮」感。それはある意味、街というものの正常進化形。

前置きが長くなってしまったけれど、こういう気取らない街のスナップに最適なカメラは何か。フルサイズの大きな一眼レフではいかにも場違いだ。舶来の高級RF?そういうのはやはりアッパーな街か、あるいは上野は上野でもいわゆる谷根千エリアがお似合い。街に溶け込み、その佇まいや市井の人をマジメな視点で記録するには、小さくて、静かで、肩肘張らないカメラが必要。E-M1 Mark IIはその最有力候補のひとつ。そして、せっかくのレンズ交換式ではあるけれど、ここは12-40mm F2.8のような「使える」レンズ一本だけで分け入りたい。交換レンズを持ち歩くと、ここぞという場面で迷いが生じる。迷っている間に猫は逃げちゃうし、おばあちゃんはバスに乗ってしまう。(NB)


  • PHOTO YODOBASHIフルサイズセンサーにあてはめれば、8000万画素級の超高精細なセンサーは実に緻密。それに応えるように、手前の日除けから、砂浜と人、遠景の波まで、それぞれをしっかりと描き分けるレンズ性能もお見事。またレンズ+ボディそれぞれの“IS”を組み合わせた「世界最強の手ぶれ補正」は6.5段相当とのこと。(Naz)
  • PHOTO YODOBASHI35mmフィルム時代から写真を楽しまれている方には、マイクロフォーサーズの3:4というアスペクト比に違和感を持つかもしれません。最近では動画対応などもあり、横に長いアスペクト比も出てきていますが、その逆を行く3:4のアスペクト比は横位置のまま(縦方向の)奥行きを表現しやすく、どっしりと安定した構図を作りやすく感じます。また同じ横幅だと写真をより大きく見せられるなど、“縦スクロール”が主流のデジタルデバイスとの相性もよいですね。(Naz)
  • PHOTO YODOBASHI日暮里と見沼代親水公園の間(9.7km)を結ぶ「日暮里・舎人ライナー」の最前車両。日暮里駅を出てしばらくは、マンションとビルの回廊を行く。浅草の花やしきには民家の隙間をすりぬけるジェットコースターがあるが、あの民家は作り物。それに比べてこっちは本物だぜ(何の自慢か)。背景が流れるようにシャッタースピードは1/10。よく見ると手前の子供は少しブレているのだが、実際にはかなりの揺れの中で撮っている。手ぶれ補正は優秀。(NB)
  • PHOTO YODOBASHI見事な夕焼け雲と地上を歩く人、両方のディテールを殺さぬよう、露出にはかなり気を使った。それにしてもこの雲の描写や、背景の木々が真っ黒に潰れずに緑色がちゃんと残っているあたりを見ると、「センサーの大きさってそんなに大事か?」と真剣に思ってしまう。(NB)

(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)


PHOTO YODOBASHI

可能な限り、あらゆる状況に対応できるもの

冒頭で「ストリートスナップ最大の魅力は偶然性」であると書きました。とは言え、場所や時間帯ぐらいは事前にイメージするでしょうし、天気だって選ぶでしょう。でも基本的には、いつ、どこから何が飛び出てくるか分からないジャングルの中を、注意深く進んでいくような感じ、それがストリートスナップの正しい(?)あり方と思います。

では、その時に手にしているべき武器は何か?大きな散弾銃なのか。あるいは小型のナイフなのか。それは茂みから「何が」飛び出てくるかによります。今はそれが分からないのですから、答えは「可能な限り、あらゆる状況に対応できるもの」ということになります。

E-M1 Mark IIは、まさにそういうカメラです。場合によっては、フルサイズ一眼レフの方が好ましいこともあるでしょう。逆にもっと小さなボディじゃないと撮れないものだってあるはずです。でも、最大公約数的にあらゆる場面に対応しようと思ったら、自ずとそれはE-M1 Mark IIのようなカメラになると思います。

( 2017.08.02 )

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