PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SORI - 新宿光學總合研究所

4群2枚目  レンズ設計のその果てに
第1回 フード首脳会談

フードデザイン論争

1号

今のニコンのフードのデザインって、どうなんでしょう。率直に皆さんの好みを聞いてみたいんですが。

私は結構イケてるかなって思うんですけど。

デザイン・今水
1号

デザイナーさんがそう思っているのは頼もしいですね。どのあたりがポイントですか?

フードに求められる機能があって、余分な光のカットとか着脱の際の持ち方とか、力のかかりやすさとか・・・あるべき機能が形になって表れていますよね。そういう「理にかなっている美しさ」があると思います。

デザイン・今水
1号

つまり「機能美」ですね。今の主流って、花型か丸型ですよね。

そうですね。光線データを見て、必要な部分を合理的にカバーしようとすると花型になります。私は花型のラインが好きなんですよ。1号さんはどうですか?

デザイン・今水
1号

私、実は花型フードってあんまり好きじゃないんですよぉ。なんか格好よくない。

え〜そうなんですね。そうか〜。

デザイン・今水
4号

そもそもフードの形ってどうやって決まるんですか?

光学系が決まったところで光学設計から光線データをもらって、大枠のところをメカ設計で考えます。花型だとどうなるかとか。あとはレンズを立てて置いた時の安定性なども考えてからデザインに渡します。

メカ設計・今榮
3号

フードがかさばって邪魔、という話がさっきあったでござるが、それはフードが大きいからでござるな? もっと小さく作れないんでござるか?

今より小さく作ると、それこそフードの意味をなさなくなります。フードとしての効果だけを考えたら、逆にもっと大きい方がいいんです。でもそこはバランス。フードの大きさがレンズ本体の倍ってわけにはいきませんからね。

原田
2号

うんうん。

あとはラインの取り合いというか、なるべく格好よくなるように仕上げていきます。花型があまりに半端になったりすると丸型にしようとか、そういう判断がありますね。

デザイン・今水

いや〜角型が格好いいよ。NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VRのフード、良かったじゃん。

原田

あ〜、あれはね。苦労しましたね。

商品企画・堺

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NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VRは2024年5月にフォトヨドバシで実写レビューをしていますが、今見ると、ちゃんとフードについても触れていました。確かにカッコいい!「HB-114」というフードです。

4号

そう、この角型フード。これはどういう経緯で生まれたんでしょう?

花型フードを前提に進めていたんですが、画質に影響する光を遮ろうとするとサイズが大きくなって、着脱しにくくなったりしてしまって・・・。色々と考えて、「Zの統一感」という制約を外したら角型という選択肢があるな、と。

商品企画・堺
1号

うーん、これいい。めっちゃ格好いい。

Zでは初めての角型フードなので、実は社内でもいろいろ意見がありました。なぜこの形か、ユーザーの使い勝手というところを設計、品質保証、デザインなど多くの部門を巻き込んで考え抜き、最終的に角型フードにしました。

商品企画・堺

このフードのデザイン担当は、すごく苦労していましたよ。何パターン試していたかなあ。

デザイン・今水
4号

反響はどうでしたか?

それが・・・想像以上のリアクションでしたね。フードにこんなに反応があるんだなというくらい。

商品企画・堺

これね、ほかのレンズにも付くんですよ。ほら。

原田
2号

わあ、ほんとだ。

そうなんです。わざわざ単品で買われる方もいます。

商品企画・堺

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「メカもデザインも物凄くケアしてくれて、最高にいい仕上がりになりました。このあたりのラインとか本当にキレイなんですよ!」と熱く語る商品企画・堺さん

4号

フードが単品で売れる・・・もう、答えがひとつ出ている感じがしますね。