PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SORI - 新宿光學總合研究所

  • 本稿は、写真用レンズについてより深い理解が得られるよう、その原理や構造を出来る限り易しい言葉で解説することを目的としています。
  • 本稿の内容は、株式会社ニコン、および株式会社ニコンイメージングジャパンによる取材協力・監修のもと、すべてフォトヨドバシ編集部が考案したフィクションです。実在の人物が実名で登場しますが、ここでの言動は創作であり、実際の本人と酷似する点があったとしても、偶然の一致に過ぎません。
  • 「新宿光学綜合研究所」は、実在しない架空の団体です。

4群1枚目  100年間変えられないことを、考えて、決める
Zマウントはこうして生まれた

カチッとレンズがマウントされた瞬間の、あの悦び。それが買ったばかりのレンズであれば、その快感はさらに高まる。ふだん何気なくレンズを回転させてレンズを付けたり外したりしているこのマウントは、単にボディとレンズを繋ぐだけでなく、カメラシステムの核となる部分。6年前、幸運にもわれわれは新しいマウント誕生の目撃者となりました。しかし実際に産声をあげるまでには、いろいろなことがあったに違いありません。登場から時間が経過した今だからこそ、あらためてZマウントの誕生秘話を聞いてみたいと思います。スペシャルに長いです。

  1. 59年ぶりの・・・
  2. 発端は、「ニコンを輝かせる」だった
  3. センサーサイズを再定義する
  4. プロジェクト発足
  5. マウント=憲法
  6. ニコン1で得た知見

59年ぶりの・・・

ううむ。

2号

なんだか、毎回アナタの「ううむ」で始まっている気がするわね。で、今回はどんなお悩み?

3号

来月やる宴会の幹事を仰せつかったのでござるが。

2号

あらまぁ、それは大変。

3号

中華がいいだの、いやいや和食でしょだの、会費は幾ら以下にしてくれだの、みんな好き勝手なことを言って、まったく面倒臭いでござる。

2号

宴会に期待していることが、参加者それぞれ違うからね。それを踏まえて最終的に決めるのが幹事の仕事。ま、せいぜいがんばってちょーだい。

3号

こんなに悩んでいるのに、ずいぶん軽く言うでござるな。

2号

たかが宴会の幹事じゃない。世の中にはもっと大事なことについて、「考えて、決断する」をしている人がいっぱいいるんだから。

3号

例えば?

2号

アタシ、この間ふと思ったんだけど・・・2018年にニコンがZマウントを発表したでしょう? あれだって、新しいマウントを「考えて、決断した」人がいるワケよね? すごいなあって。

3号

それのどこがスゴいんでござるか?

2号

Fマウントが生まれたのは1959年。つまりFマウント時代が59年も続いた後に、ようやく新しいマウントが出たのよ。ということはZマウントも少なくとも同じぐらい、もっと言えば「100年変えない」ぐらいの覚悟で考えられているってことでしょう。この先100年間変えられないことを、考えて、決断する。そんな仕事、普通は出会わないよね。

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3号

それは確かに大変な決断でござるな。いったいどんな人が考えて、決めたんでござろうか。

2号

どんな人かしらねえ。でも実際に、その人が今もどこかにいるわけよ。

あのう、ちょっといいですか?

原田
3号

何でござるか? 今、大事な話をしているところでござるが。

Zマウントを考えたの、実は私がよく知ってる人なんですよ。

原田
3号

あー、そうでござるか。その話はあとでゆっくり・・・な、なぬぅ!

2号

ええー、早く言ってよお。