PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
4群1枚目 100年間変えられないことを、考えて、決める
Zマウントはこうして生まれた
センサーサイズを再定義する
そんな中、最終的に「マウントを変えるしかない」となったのは、何がきっかけだったんですか? |
センサーの大きさをどうするか? です。 |
どうするかと言っても、それはもう24mm × 36mmの、いわゆるフルサイズで決まりでござろう? |
いや、それに固執する理由は無いんです。ご存知の通り、24mm × 36mmというのは35mm判と呼ばれるフィルムの大きさです。フィルム時代からの流れで、今でもフルサイズと呼ばれてそのフォーマットが使われていますが、デジタルカメラでは、センサーの大きさはもっと自由です。 |
なるほど。ここでも「最初にフルサイズありき」ではなかったんですね。ということは、いろんな大きさのセンサーを考えてみたということですか? |
フルサイズより大きなセンサーも、逆に小さなセンサーも、いろいろ考えて試してみました。もちろんそこで大前提となるのは、かねてからわれわれが大切にしてきたもの、つまり画質。そこは絶対に譲れないねって。 |
画質のことだけを考えれば、センサーサイズが大きいほど有利になりますよね。それなのに、もっと大きくしなかった理由は何ですか? |
それこそ「これが現代の8 × 10だ!」とばかりにセンサーを思いっきり大きくすれば、ある意味最強なカメラにはなりますが、同時にそれが大きな制約も生み出してしまうことを考えたら最適解ではない。むしろ最悪。なので、バランスはきわめて重要でした。来る日も来る日も意見を出し合って、最終的に出た答えが「やっぱりフルサイズ」だったんです。 |
当たり前と思えることすらいったんリセットして、ゼロから考えてみたんですね。でも結局フルサイズに落ち着いたということは、今の24mm × 36mmというセンサーの大きさは、実はとても理に適っているってことなんでしょうか? |
どこかを尖らせれば、どこかが鈍るというのは必ずあります。センサーが小さければ、高速連写であったりとか、動画のハイフレームレートであったりとか、情報処理のスピードは圧倒的に有利になります。 |
わかります。 |
でも今度はダイナミックレンジが落ちる。で、最後はやっぱり解像力なんです。画質向上を図るための解像力、ダイナミックレンジ、それからフレームレート。これら3つの要素を念頭に置きながらセンサーの大きさを再定義してみたら、それぞれの要素をバランスよく高められるのがフルサイズだったんです。 |
そうやって「これからもニコンはフルサイズで行くぞ」ということを改めて確認したわけですが、で、その次は? |
ここでようやく、「ではマウントはどうあるべきか?」という話になります。 |
- 1群1枚目 設立趣意書
- 2群1枚目 凸に始まり、凸に終わるのであります。- レンズとは、なんじゃらほい
- 2群2枚目 だから「収差」というのです。- とっても収まらない話
- コラム:原田研究員からのメール - 「例のレンズタイプの件」
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- 2群4枚目 エフチの「チ」 - あの数字の並びはいったいどこから来たのか
- 2群5枚目 ガラス作りとコーティング - レンズの要を忘れるべからず
- 2群6枚目 謎の写真用語・説をめぐるアレコレ - あなたは「でっこまひっこま」を知っているか
- 2群7枚目 続・エフチの「チ」 - レンズの開放F値ってどうやって決まるの?
- 3群1枚目 レンズ設計ことはじめ - 設計者の描く理想とは
- 3群2枚目 シミュレータと設計者 - 完成レンズを見通す、見極める
- 3群3枚目 ズーム再考(最高) - そもそもは航空用語だったらしいです
- 3群4枚目 やっぱり単焦点が好き - 「単」とは言え複雑で奥深い
- 3群5枚目 続・やっぱり単焦点が好き - レンズに込められた設計者の想い
- 3群6枚目 「商品企画」というお仕事 - 商品が生まれいづるところ
- 3群7枚目 試作のプロフェッショナルたち (前編) - 設計図と完成品のはざまで
- コラム:原田研究員からのメール - 「交換レンズは3本まで」という法律について
- 3群8枚目 試作のプロフェッショナルたち (後編) - ものづくりの最終工程で行われる試作とは
- 4群1枚目 Zマウントはこうして生まれた - 100年間変えられないことを、考えて、決める
- 4群2枚目 フード首脳会談 - レンズ設計のその果てに
- コラム:原田研究員からのメール - レンズの楽しみ方案内