PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SORI - 新宿光學總合研究所

4群1枚目  100年間変えられないことを、考えて、決める
Zマウントはこうして生まれた

センサーサイズを再定義する

1号

そんな中、最終的に「マウントを変えるしかない」となったのは、何がきっかけだったんですか?

センサーの大きさをどうするか? です。

小濱
3号

どうするかと言っても、それはもう24mm × 36mmの、いわゆるフルサイズで決まりでござろう?

いや、それに固執する理由は無いんです。ご存知の通り、24mm × 36mmというのは35mm判と呼ばれるフィルムの大きさです。フィルム時代からの流れで、今でもフルサイズと呼ばれてそのフォーマットが使われていますが、デジタルカメラでは、センサーの大きさはもっと自由です。

小濱
4号

なるほど。ここでも「最初にフルサイズありき」ではなかったんですね。ということは、いろんな大きさのセンサーを考えてみたということですか?

フルサイズより大きなセンサーも、逆に小さなセンサーも、いろいろ考えて試してみました。もちろんそこで大前提となるのは、かねてからわれわれが大切にしてきたもの、つまり画質。そこは絶対に譲れないねって。

小濱
4号

画質のことだけを考えれば、センサーサイズが大きいほど有利になりますよね。それなのに、もっと大きくしなかった理由は何ですか?

PHOTO YODOBASHI

とにかく目力(めぢから)が強い小濱さん。お話をしていると吸い込まれるんじゃないかと心配になります。

それこそ「これが現代の8 × 10だ!」とばかりにセンサーを思いっきり大きくすれば、ある意味最強なカメラにはなりますが、同時にそれが大きな制約も生み出してしまうことを考えたら最適解ではない。むしろ最悪。なので、バランスはきわめて重要でした。来る日も来る日も意見を出し合って、最終的に出た答えが「やっぱりフルサイズ」だったんです。

小濱
4号

当たり前と思えることすらいったんリセットして、ゼロから考えてみたんですね。でも結局フルサイズに落ち着いたということは、今の24mm × 36mmというセンサーの大きさは、実はとても理に適っているってことなんでしょうか?

どこかを尖らせれば、どこかが鈍るというのは必ずあります。センサーが小さければ、高速連写であったりとか、動画のハイフレームレートであったりとか、情報処理のスピードは圧倒的に有利になります。

小濱
2号

わかります。

でも今度はダイナミックレンジが落ちる。で、最後はやっぱり解像力なんです。画質向上を図るための解像力、ダイナミックレンジ、それからフレームレート。これら3つの要素を念頭に置きながらセンサーの大きさを再定義してみたら、それぞれの要素をバランスよく高められるのがフルサイズだったんです。

小濱
1号

そうやって「これからもニコンはフルサイズで行くぞ」ということを改めて確認したわけですが、で、その次は?

ここでようやく、「ではマウントはどうあるべきか?」という話になります。

小濱