PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SORI - 新宿光學總合研究所

4群1枚目  100年間変えられないことを、考えて、決める
Zマウントはこうして生まれた

プロジェクト発足

2号

Fマウントに代わる新しいマウントを考えることになって、まず最初に着手したことは何ですか?

一緒に考えてくれる人を探しました。現代のマウントはボディとレンズを繋ぐだけではなく、他にもたくさんの役割を担っています。なので、それぞれの分野のスペシャリストに声をかけて回ったんです。

小濱
2号

頭脳を結集させたわけですね。

それにマウントの変更はカメラメーカーにとって一大事です。それを元に大きなカメラシステムが構築され、カメラ事業の根幹になるわけですから。当然、各方面からの意見やリクエストが反映されなければならない。そんなふうにしてプロジェクトチームを立ち上げました。

小濱
1号

きっと大きなプロジェクトチームだったと思いますが、単純に人の数が増えると、そのぶん、意見の集約は難しくなりますよね。

「新しいマウントを作る」ことについては全員が一致しているんですが、その先は、考え方や期待することがそれぞれ違いますからね。

小濱

PHOTO YODOBASHI

ニコンの人はいつも笑っている印象(それもわりと大笑い)。いい仕事の源ですね。

2号

どうやってまとめたんですか?

データ、つまり客観的事実の積み上げで仮説と検証を繰り返すことがやはり大事。でもこれに関して言えば、「真実はいつもひとつ!」ではないんです。冒頭の宴会の話で例えると、「中華か和食か」で最後のせめぎ合いになったとします。でもこれ、正解は無いじゃないですか。

小濱
4号

確かに。

どの意見も重要ですが、すべてを採り入れることは不可能。でも最後は納得してもらう必要がある。そして、それは可能である筈。ではどうしたら納得してもらえるか? そこに注力しました。

小濱
2号

相手に納得してもらう・・・他人と仕事をする限り絶対に必要だけど、いちばん難しいことですよね。最終的にどこがポイントだったのでしょう?

どうすればお客様に喜んでいただけるのか。それだけです。判断に迷った時にはいつもそこに立ち返るのがニコン。私自身も、その軸だけは1ミリもブレさせないぞと決めていました。そんな感じで険しい道のりではありましたが、最終的に皆さんの納得が得られたというわけです。

小濱
2号

プレゼン力だの、根回しだの、社会に出るといろんなテクニックが必要になるけど、やっぱり最後は「明確な理想」と、それを追い求める「熱意」なんだなあ。

そう言われると恥ずかしいですけど、確かに熱意だけはあったと思います。

小濱