PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY SEL24F28G FE 24mm F2.8 G
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
ソニーから、フルサイズ対応Eマウントレンズ「FE 24mm F2.8 G」「FE 40mm F2.5 G」「FE 50mm F2.5 G」の3本が同時発売されました。この3本のGレンズ、外径寸法やフィルター径が統一されており、コンパクト・軽量設計を特徴としています。いずれのレンズも外装にはアルミが採用され、クリック・デクリックの切り替えが可能な絞り環や、カスタマイズが可能なフォーカスホールドボタン、AF/MFの切り換スイッチを搭載しています。さすがはGレンズ、この辺りの作り込みに抜かりありません。本記事では、3本の中で一番広角にあたる24mmをご紹介。まず、このサイズ感でGレンズの広角レンズが買えるというのは、それだけで大変貴重なことだと申し上げておきます。なんてったって全長は45mm、質量は僅か約162gですから。標準ズームのワイド端でお馴染みの焦点距離でもある24mmは、風景や引きの取れないシーンでの室内、スナップと、撮影用途に富む画角。このうえ高い機動性と明るさが伴うとどうなるのか。また本レンズには、非球面をはじめEDガラスが採用されており、光学性能にも期待が募るばかりです。早速その実力のほどを、じっくりとご覧ください。
( Photography : KIMURAX / Text : TA )
同じ焦点距離・開放値F2.8という視点で考えた時、ズームレンズですと機動性や画質といった点で多少の妥協が必要になってくるかもしれません。本レンズなら、単焦点らしいクリアな描写と機動性のどちらも得られます。色乗りもよくコントラストも良好で、わざとらしくない仕上がりに好感が持てます。
フォーカスした中央部は、絞り開放から解像力はアクセル全開状態。それと見比べてしまうと四隅は若干甘さを感じますが（そもそも真俯瞰ではなく、若干の斜俯瞰。しかも被写体が完全な平面ではないので一概には言えませんが）、さほど目くじらを立てる程でもないかと。機動性に優れたコンパクトな広角レンズであることを勘案すれば、個人的には許容範囲ではないかと思います。（画像クリックで拡大します）
中央、一番奥の像にピントを置いています。24mmという焦点距離を考えても、デフォーカスエリアの大きなボケは期待できませんが、視線誘導するに十分なボケを添えることができます。しかもスムースで至って自然。立体感のある繊細な描写がひときわ際立っています。
フォーカスしたのは先を歩く女性。AF-Sで遠ざかる人をピタッと写し止められるのはAFの素早さの証左でしょう。ツインリニアモーターを2基搭載しており、気持ちよくサクサクAFが決まります。なかなかの眩しい日差しでしたが色収差の発生は見受けられません。
AF使用時の最短撮影距離は24cmとしっかり寄れます。広角レンズの余白を活かしてみようかと、あえてミニチュアの辞書を中央に据えて最短付近で撮影しました。乾いた質感、小口の汚れ具合まであるがままに描き切っています。滑らかなボケもさりげないですね。
被写体と距離を取れば、広角ならではの伸びやかな画が得られる一方、ぐっと寄れば迫力のある画が手に入ります。一本一本、表情の異なる細いステンレスがきめ細やかに再現さており、全体として見ると艶めくしなやかな布のようです。
こちらはMFでの接写。AFよりも寄れる最短撮影距離は18cmとなり撮影倍率は0.19倍となります。最短ともなれば諸収差が目立ってきても何ら不思議ではないのですが、その心配はなさそうですね。雨上がりの湿度を感じさせる描写。主役の立体感、背景の馴染み具合も実に自然です。
線の多い被写体を選んでみましたが実にシャープ。繊細な線を結びながらも、同時に力強さも感じさせる描き込みとでも申しましょうか。階調の連なりとコントラスト表現も上々です。
カメラ側のレンズ補正は全てON、掲載カットはJPEG撮って出しです。RAWデータとの違いが顕著だったのが樽型の歪曲収差でした。軽量コンパクトな広角レンズに仕上げるには、そういった割り切りというか、役割分担がしっかりなされているからこそアウトプットのクオリティが担保されるのです。
では、絞った画も確認しておきましょう。逆光のシーンにもなかなか粘りのある写りを見せてくれます。ビルのガラス面、雲の表情、光芒もいい塩梅です。
都会的シーンをスナップしてみると気持ちがいいレンズです。シャープで緻密な線はもちろん、シャドーからハイエストライトまで綺麗なトーンで再現しています。
ご覧のように厚めの雲が広がっていましたが、F2.8の開放値なら高感度に頼らなくとも対応できます。絞り開放で、遠景をここまで緻密に描き込むとは頼もしいばかり。人、木立、鉄塔、雲、それぞれの距離感がちゃんと伝わってくる。立体感というか奥行きの表現がお見事です。
やっぱり中距離でも立体感がいいですね。こういった仕上がり、ズームレンズでは得がたい雰囲気ではないでしょうか。描写も使い勝手もバランスが取れており、様々なシーンで大胆に振り回してみたくなるレンズです。
気分は上々。機動性、俊敏性抜群の広角24mm単焦点。
レンズのコンパクトネスを最大限いかすべく、コンパクトなボディにマウントさせて撮影を行ってきました。撮影前から気分は上々でしたが、気軽に振り回せるカメラ・レンズは撮影時の足取りをも軽くしてくれます。しっかりとした解像力、そしてボケの美しさの確認がとれてからは、さらにニンマリ。AFも素早くバシッと決まる。これ以上望みようがないというほどに、良くまとまっているレンズだと思います。光学性能とボディ側のレンズ補正で、高い描写性能を発揮するコンパクトなレンズは、近年各社から発売されています。しかしながらここへきて、さすがはGレンズ。ハードルを一段、いや数段上げてきた印象です。質感の高いアルミの外装に、多くの機能を搭載。AFは精度・スピード・静粛性のいずれもが完璧といった具合ですから。
今回のレビュー時には、現像ソフトが本レンズに未対応ということもあり、JPEGで撮影を行なっています。昨今のJPEGのチューニングはとても優秀ですし、時に最適解と感じるほど洗練されていますので、気軽にJPEG撮影というのも大いにあり。もちろんRAWから現像する場合は、現像ソフトが本レンズに対応していれば全く問題ありません。
機動性、俊敏性抜群の撮影用途に富む24mmのレンズ。振り回して遊ぶにはもってこいですし、荷物を極力へらしたい撮影シーンに良し、近接もいけますよ。こういったしっかりとした性能を持ったコンパクトなレンズは、本レンズはもちろん、シリーズで鞄に忍ばせておきたいですね。
( 2021.04.26 )
Gレンズの広角単焦点を、このサイズ感で。風景撮影はもちろん、スナップもこなせる機動性抜群の24mm。「嗚呼、広角レンズを持ってくれば良かった。」とならないためにも、鞄にしのばせておきましょう。
純正のZEISSR T＊（ティースター）コーティングの円偏光フィルター。同時発売の3本のレンズ、24mm、40mm、50mmのいずれにも装着可能です。
光学式ボディ内手ブレ補正機構を内蔵した、フルサイズミラーレスとしては世界最小のカメラ。コンパクトなレンズに似合う機動性抜群のカメラもご一緒に。こちらはブラックをご用意。
小型・軽量を実現するために、手ブレ補正機構やシャッターユニットを新開発。トップカバーやフロントカバー、リアカバーにはマグネシウム合金が採用され、耐久性という面でも考え抜かれた一台。こちらはシルバーをご用意。