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SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden

SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

なにはともあれ「コンパクトな50mmの単焦点レンズ」と紹介するのが正解でしょう。FE 50mm F2.5 G はソニー・フルサイズ対応Eマウントの50mmレンズで、2021年4月に発売となった小型軽量単焦点Gレンズ3本セットのひとつ。発売時点ではEマウントの標準レンズでいちばんコンパクトなモデルとなり、小さな標準レンズを求めていた方にはまず嬉しいニュースですね。開放F2.5と控えめな明るさながら、それ故に実現した軽快な使い勝手が魅力。肩肘張らない日常のスナップにはもちろんのこと、はじめての単焦点レンズにも良い選択肢になるはずです。動画撮影なども見据えた新時代のレンズ群、どうぞ兄弟である広角の「FE 24mm F2.8 G」、準標準の「FE 40mm F2.5 G」と併せてご覧ください。次にどの焦点距離を足していくか、防湿庫を眺めつつ考えるのも楽しみですからね。

( Photography : A.Inden / Text : Serow )

SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden

スマートフォンに慣れた昨今では少し狭く感じられるかもしれませんが、50mmという焦点距離が「標準」と言われてきた理由は使い込むことによってわかります。大きく写したければ被写体に近づき、広く写したければ被写体から離れる必要がある。真っ直ぐに写したければまっすぐに構える。極端な画角でないゆえに写真のキホンを教えてくれるのが50mmなのです。

SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden

まずもって本レンズの良さは、軽快なことですね。コンパクトゆえに機材が大げさにならず、日常的な撮影にストレスなく連れ出すことができます。お散歩にぶら下げて、ちょっとキレイなものを見つけたら切り取ってみる。そんな使い方が楽しいですね。F2.5という明るさもズームレンズに比べれば十分に明るいもの。ちゃんとボケますし、自然でいい具合です。

SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden

開放で撮影していますが画面の隅々までしっかり解像。スペックが控えめレンズということで気楽に構えていたのですが、素直で優秀な描写に正直驚かされました。なんと言いましょうか、「ふつうにいい」んですね。これ、褒め言葉です。常用レンズとしてボディにつけっぱなしになるのは、こういうレンズじゃないかと思います。

SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden


SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden

最短撮影距離はAFで0.35m、MFではもう少し寄れて0.31mです。このぐらい寄れると普段使いで困ることはありませんね。インナーフォーカス式を採用しているので使っているときにレンズの全長が変わることもなく、気になったものにグッと近づいて撮影することができます。路傍に咲く小さな花や波打ち際の貝殻、子どもが見つけてきた石ころだって、立派な被写体になります。

SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden

春を惜しむかのような桜の名残りを見つけました。被写体に近づけばボケが大きくなりますが、ボケ具合もスムースで好印象。生き生きした緑とのコントラストや、葉脈のディテールも良好です。こうした写真を撮れるようになるのが単焦点レンズの魅力なのですが、使っていくうちに絞りと描写の関係が身についていくという効果もあります。ピントの位置によってボケ具合がどうなるのか、絞りによってそれがどう変わるのか、といったことですね。

SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden


SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden

ウィンドウ越しの1枚、ガラス表面の写り込みも表現のひとつです。クリアな色が心地よく、街の光景を端正に切り取ってくれます。大口径レンズのような大胆さはないのですが、却っていい塩梅かもしれませんね。味付けの濃すぎないスープというか。

SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden

少し絞ればさらに画質も安定。とはいえ開放で撮っていても周辺に曖昧さを感じることなく、優秀なレンズだと思います。大昔の写真家と同じように50mmレンズ1本、F5.6〜F11ぐらいで日中をスナップするのもいいですね。敢えて絞って使うというのはオトナです。

SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden

お散歩途中のティータイムにも欠かさずシャッターを。50mmなので広角に比べてゆがみを抑えられ、モノの形が素直に写ります。スマートフォンで撮れない写真というのはまさにこういうカットでしょうか。

SONY α7R III, SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G, Photo by A.Inden


SONY SEL50F25G FE 50mm F2.5 G

これぞスタンダード。ベテランにもビギナーにも嬉しい "50mm"

欠点らしい欠点がなく、幅広いシーンでそつなく仕事をこなす優等生。こんな言い方をすると日本語の文脈では「面白みがない」と解釈されてしまいそうですが、決してそうではありません。優秀であるがゆえにどんなシーンでも、どんな使い方もできる。個性を押し付けない道具に徹してくれるからこそ、撮影者が生き、被写体が生きるのだと思います。切れ味の良いペティナイフと言えば伝わるでしょうか。

ズームレンズでは撮れないボケを単焦点レンズに求めるなら、たしかに大口径レンズが魅力的かもしれません。でもズームレンズにはできない軽やかさを求めるならどうか。被写体に意識されない外観だとか、路地裏を歩き回れる大きさだとか、一日持ち歩いても疲れない重さだとか。開放F値を抑えたコンパクトな単焦点レンズが新たに生まれるというのは貴重なことで、今回のGレンズ3本セットはEマウントユーザーにとっての僥倖です。なかでも本レンズは伝統的な50mm。如何様にも使えるユーティリティであり、撮影者を成長させてくれる相棒にもなってくれることでしょう。常用レンズに、動画撮影用に、あるいははじめての単焦点レンズに、強くおすすめできる1本です。

( 2021.04.27 )

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