PHOTO YODOBASHI

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SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ソニーEマウントにフルサイズ対応・開放F1.2の大口径レンズが登場しました。もちろん G Master です。大口径標準レンズといえば各時代・各マウントを象徴する存在ですが、フルサイズミラーレスの時代にあって開放値はF1.4を超え、いよいよF1.2という領域へ。ソニーが「最新技術を一切の妥協なく注ぎ込んだ」と謳うのですから、Eマウントの最高峰を見せてくれる1本と考えてよいでしょう。しかしながら、このレンズがすごいのはフィルター径・質量ともに Planar T* FE 50 mm F1.4 ZA と同水準に収めてしまったこと。重厚長大なシンボリックレンズとなるのを良しとせず、実践的に使えるものを目指したということです。超高度非球面XAレンズ3枚を含む10群14枚という贅沢なレンズ構成に加えて、XDリニアモーター4基搭載でAF性能にも抜かりはありません。本レンズの見せてくれる世界がどんなものか、早速確かめていきましょう。

( Photography : Z II / Text : Serow )

SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

まずは1枚。ボケよりも先に、淀みのないクリアな写りに目を奪われました。色収差を徹底的に抑えたことで生まれる気持ちの良い写りに、本レンズの根源的性能の高さが伺えます。被写界深度の薄さもご覧の通り。ピントの合った被写体に目線が誘導され、前後は絵画のように描かれていきます。ピント位置からわずかな距離の違いで大胆にボケていくさまは見慣れた写真のボケ具合を超えていて、どこか夢の世界のように感じられます。

SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

ピントを合わせた子供に比べ、2メートル程度後ろにいる子供は顔がわからない程にボケていく。この被写界深度ゆえに、おのずと主題がはっきりするわけです。手にした網までボケていますから、本当はもう少し絞るべきなのでしょうね。しかし今回は絞らずに行きますよ。だってF1.2のレンズですから。

SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

上の写真から切り出してみました。クリックで原寸大をご覧いただけますので、ぜひ細部を見てみてください。画面中央でなくとも驚異的な解像力で、まつ毛の1本1本、シャツの織り目までキッチリ描かれています。本レンズとα7R IVとの組み合わせ、いやはや恐ろしい描写力です。


SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

光の多いシーンだったのですが「ナノARコーティングII」のおかげもあるのでしょう、ヌケの良い写りで波が崩れていく様が明瞭に描かれています。水飛沫ひとつひとつが硬質のガラスにでもなったかのようで、こうした瞬間を留めおけるのが写真撮影の楽しさですね。

SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

遠距離にピントを合わせても、これだけの印象的な画を生み出すことができます。こうした画は超大口径レンズでなければ撮影できないもの。ピントピークの描写が精細なだけに被写体が際立つのですね。10〜20メートルぐらいの位置を積極的に狙うと、本レンズならではの表現が楽しめると思います。

SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II


SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

近接の被写体ではもちろん被写界深度の薄さが顕著です。最短撮影距離0.4m、最大撮影倍率0.17倍ということで近接撮影もかなり楽しめますね。F1.2ともなると周辺光量がドーンと落ちて、どこかおどろおどろしい雰囲気も生まれるものですが、本レンズは終始「気品がある」という印象を受けます。大胆に背景を溶かしながら、端正に被写体を描いてくれるのです。

SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

ふと見上げてワンカット撮るだけでもこのように。とろけるようなボケが雰囲気のある写真を生み出してくれます。私たちは両目で見ることで手前にあるものを透かしているように認識できるわけですが、まさにそんな具合に見えないでしょうか。F1.2の紡ぐ世界は、肉眼に映るそのままではなく両目の映像を脳内でつないだ認識、そしてその印象に似ているのかもしれません。

SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

とはいえレンズとして美味しいのはこのぐらいの距離のような気がします。前後を穏やかにぼかしつつ、被写体を繊細に描いてくれます。簡単に撮れそうでこうは写らない、このレンズを持っていなければ撮れない世界です。


SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

「ナノARコーティングII」の実力を確かめようと、思い切り逆光で光を入れて撮ってみました。この厳しい条件でこの写りですから頼もしいという他ありません。光の条件に囚われない、新しい写真が生み出されていくことでしょう。

SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

テーブルフォト用にこのレンズを選ぶわけではないと思いますが、参考までに近接カットをひとつ。料理にフォーカスしたいなら絞るべきですが、開放なら素材ひとつに焦点が当てられるということで。

SONY α7R IV, SONY SEL50F12GM FE 50mm F1.2 GM, Photo by Z II

日が落ちても ISO 100 でスナップを継続いただけます。はてさて今日の撮れ高はどうでしょうか。


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すべてのカットが楽しみになる、心浮き立つ魅惑のレンズ

すごい写りだろうなあと思ってはいましたが、すごい写りのレンズでした。美しいボケはもちろんですが、開放から繊細に被写体を描く解像力、ヌケの良いクリアな描写には舌を巻きます。超大口径レンズとはいっても極端な写りではなく、使い手次第でどうにでもなる万能なキャラクター。AFスピードも精度も使っていて不満なく、防塵防滴構造やフッ素コーティングの安心感、取り回しのしやすさも含めて「ガンガン使い倒す」のが正しいあり方だと思います。ポートレートやスナップ、風景撮影や静物撮影、動画撮影に至るまで、あらゆるシーンでクオリティの高い結果を残してくれるでしょう。

開放値F1.2とF1.4、数値のうえでは0.2ですが明るさにすれば半段の違い。おそらくF1.4の写りに慣れた方ほどその差が感じられるはずです。想像以上にボケるので、想像を超える結果になってしまうこともしばしば。F1.2の写りを使いこなすにはそれなりの修練が必要ですが、それこそがこのレンズを手にする楽しみだと思います。兎にも角にも撮ってみて、ひとつひとつの写りに驚くという、「はじめて明るい単焦点レンズを手にしたときのような経験」を味わってください。さんざん写真を撮ってきた方、一通りの機材を揃えてしまった方に、強くお勧めいたします。またワクワクできるレンズが出てきましたよ。

( 2021.04.26 )

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5年後10年後のボディにもついていけると思えば、レンズへの投資は健全な選択です。明るいレンズばかりは「持っていなければ撮れない」のですから。

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プロテクターがあれば一安心。よいレンズは長く使ってくださいね。

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