PHOTO YODOBASHI

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SONY a7R IV, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

SONY SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

フルサイズEマウント用のレンズラインアップがとても充実している昨今。中でも焦点距離35mmの単焦点レンズは各社から出ており、開放F値違いを入れると、マウントアダプターを介せずに使えるレンズの数はざっくりと見積もっても12本。さすがにこの辺で打ち止めかと思っていた矢先のこと、GMブランドを提げて「SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM」が堂々と登場しました。競合がうずめくこの市場に投じてくるあたり、本レンズがかなりの自信作であることがうかがえます。GMレンズならではのカスタマイズ可能なボタンやスイッチ、クリックで切り換え可能な絞りリングなどを搭載した高い操作性、そして長さ96mm、質量約524gの小型・軽量設計を実現しています。オートフォーカスの動体追従性、スピード、確度ともに最新の技術が詰め込まれており、高解像とボケの質を両立させた描写と、ライバル不在の一本と想像します。その実力のほどを、実写にてお確かめください。

( Photography : TAK / Text : TA )

SONY a7R IV, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

本レンズを手にして、ファインダーを覗いた瞬間に素性の良さが分かりました。美しくボケた背景の中に主役が克明にトレースされ、35mmとは思えぬほどの浮き上がり方です。歪みも認められず、直線も直線のままに描かれていますね。実に使いやすく、いかようにも振り回せる安心感があります。枝周りのフリンジもゼロではありませんが、これは相当少ない方です。階調幅にも余裕があり、ハイライトからシャドーまでの連なりも実にスムーズ。やはり「G Master」印は伊達ではありませんね。

SONY a7R IV, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

開放から極めてシャープなピント面に、被写体の形状に引っ張られない自然なボケ味。前も後ろも、心に引っかかるような雑味というものが感じられません。

SONY a7R IV, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

クリックで原寸を表示します。現場は少し雪が舞っていたのですが、探してみてください。ピント面では雪の形がぼやけることもなくクッキリと捉えられています。ピントから少し外れた海面の描写も柔らかく、自然が織りなす造形美をそのままに再現してくれました。


SONY a7R IV, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

ゴーストもフレアも滅多に出ません。このカットはただ出すためだけに粗探しを重ねてやっとのことで出したものですが、普通はこんな撮り方はしませんからご安心を。しかし、この悪条件でもここまでのヌケが得られるとは恐れ入りました。他のレンズではどうなることでしょう。

SONY a7R IV, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

突然遭遇した光景でしたが、XDリニアモーター採用の高速AFが音もなくフォーカス。一瞬のチャンスも逃しません。色もニュートラルでありながら情緒も感じられ、手を加える必要性も感じませんね。

SONY a7R IV, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

重厚なものはしっかりと重厚に。植物は植物らしくナチュラルに。忠実路線にありながら上品さも伴った、絶妙な色再現です。

SONY a7R IV, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

ちょっと普通の35mmでは拝めない、ピントとボケの見事な対比。「Eマウント35mmのエース見参!」といったところでしょうか。


SONY a7C SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

ボディを軽快なa7Cに変えてみましたが、面白いものでカメラがカジュアルだと気分も軽くなりますね。背景がわかる程度まで絞っていますが、うるさくなることもありません。35mmで524gは軽いのか。この超絶性能を考えると破格の軽さであると言わざるを得ません。全長もクラス随一の短さで、軽量ボディでもバランスは良好。スナップ撮影もはかどりますよ。

SONY a7C, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

周辺減光をオフにすることで、また違った表現も楽しめます。まさに一粒で何度も美味しい35mm。一度手にすると手放せなくなることは確実です。


SONY a7R IV, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

本レンズは、超高度非球面XA(extreme aspherical)レンズなどを駆使した最新の光学設計を採用。その威力を確かめるべく開放で星空を撮影してみました。下段、左のカットが本レンズで撮ったカットの一部原寸拡大、右のカットが「Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA」で撮った同様のカットとなります。本レンズにおいては、周辺部の人工光のサジタルフレアが見事に抑制されています。無論、中央部の解像ぶりは言わずもがなです。少しでもシャッター速度を稼ぎたい星空撮影。開放でこれだけ写ってくれるのは有り難いという他ありません。先ほどご覧いただいた雪粒の捉え方からも想像はついていましたが、やはり凄いですね。いや、ZAも本当に素晴らしいレンズなのですよ。通常の撮影では「これぞZEISS」と言わしめる、惚れ惚れする画を描いてくれるのですから。このほど大幅な値下げが実施され何とも悩ましいのですが、サイズ、重量、最短撮影距離においては本レンズに分があります。

  • PHOTO YODOBASHISONY SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM
  • PHOTO YODOBASHISONY SEL35F14Z Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA

SONY a7R IV, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

当然ながら、絞ればさらに鮮鋭になります。6100万画素なんぞ朝飯前。頼もしいレンズです。

SONY a7R IV, SEL35F14GM FE 35mm F1.4 GM, Photo by TAK

最短撮影距離です。カリッとシャープなピントに、とろけるようなボケの海。「グルグル」の気配もありません。嫌なリングボケも出ないところも、まさに「G Master」ですね。


PHOTO YODOBASHI

圧倒的な存在感を纏った35mmのエース

解像力、ボケ味、オートフォーカス、操作性、機動性と、どの分野にも優れていて、それらがとても高い次元でうまくバランスされている。現代のレンズ設計者が追求した世界があるとするならば、まさにそれを体現したようなレンズで、これほどまでに熟成されたレンズはもう後にも先にも出ないのではないか。それほどのインパクトを作例から感じました。スマートフォンでなんでも済ませてしまえる私たち世代にとって、35mmは馴染みのある焦点距離。この使いでに富む画角に、最大撮影倍率0.23倍(MF時は0.26倍)の高い近接能力とF1.4の明るさ、そして美しいボケを持つコンパクトなレンズ。オートフォーカスの確度、スピードと、ありとあらゆる面において何ひとつ不足を感じることがありません。これ以上画角が広くなるとパースなどにも気を使わなくてはなりませんが、本レンズなら気軽に振り回すことができます。日常に、旅行に、作品撮りにとヘビーユース間違いなし。これだけのレンズですから少し値ははりますが、元は十分、いやそれ以上に私たちにもたらしてくれるものがありそう。スチル用途にもムービー用途にも手放しでおすすめしたい一本です。

( 2021.03.18 )

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6100万画素なんぞ朝飯前。使いでに富む画角に、最大撮影倍率0.23倍(MF時は0.26倍)の高い近接能力。美しいボケと高解像のどちらも手にしたいという贅沢な悩みを、コンパクトなこの1本が解決してくれます。

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高性能なカールツァイス製MCプロテクター。長く使いたいレンズはプロテクターで保護してあげましょう。

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