ピックアップ製品

本稿の編集にあたり、どの機材が気になったか部員ごとに挙げてみることにしました。新しいものが気になるのは当然なのですが、ここでは「2020年・夏」に感じられる"潮流"という括りで取り上げてみたいと思います。

1. いまが1番美味しい、デジタル一眼レフシステムの両雄がモデルチェンジ

Canon EOS-1D X
Mark III
紹介ページへ »
Nikon D6
紹介ページへ »フィルム時代から長い間積み上げられた技術、レンズラインアップの殆どが気が付けばデジタル時代ものへと進化し、システムとしての完成度は当然ながらミラーレスシステムの数段先にあります。また、ミラーレスシステムで培われた技術やノウハウの還流もあり、いまデジタル一眼レフカメラはかつてない極みへと到達しています。忘れてならないのが、慣れ親しんだシステムであるということです。見えのよいキレのある光学ファインダーはレンズの向こうの気配を伝え、ミラーとシャッターの動作音が撮り手の心を鼓舞します。フラッグシップとなれば、ファインダーの像を見つめ、シャッターを切った瞬間に「撮れた」という確実な手応えを与えてくれます。このラグの無さを極めてメカニカルに、積み上げてきた技術・品質・歴史が作り上げています。この時代において、ある意味、趣味だからこそ手にして欲しいカメラ、そしてシステムであると思うのです。

2. ミラーレスカメラは今後ギヤがひとつ上がる。EOS R5登場。

Canon EOS R5
紹介ページへ »センサーから常時スルー画が得られるようになれば、当然ムービーカメラとの垣根は霞んでいきます。この10年近くその流れを見てきたわけですが、ついに8Kへと到達。デジタル一眼レフカメラとミラーレスカメラ、私たちはいま本当に面白い時代に撮っているのだと思います。ミラーレスカメラは言わばデジタルの申し子。「EOS R5」の登場を見て、ギヤの変わる音が聞こえるような気がします。レンズラインアップも主要どころは充実してきました。まずは手にして感じてみてください。撮り手のリミットを拡げてくれるものが確実にあります。

3. 「先鋭化」と「融合」。イメージングの愉しさをタテヨコに拡げてくれる機材の登場。

SIGMA fp
紹介ページへ »
SONY VLOGCAM ZV-1
紹介ページへ »「好きにしてください」と、これほどまでに居直った（？）プロダクトも珍しい「SIGMA fp」。これはカメラとしてだけではなく、あらゆるプロダクトを見渡してみてもユニークな存在と言えます。言わばユーザーが「何かを足して」使うことになりますが、徹底的にユニバーサルであることを目指したイメージングの箱。手にするあなた次第。

さすがのSONYというべき「VLOGCAM ZV-1」。引き出しに詰まったアイデアとマテリアル、今そこにあるニーズに対して一気に形にして投入できる力。カメラの形をした、ある意味のポッドキャストを作り上げてしまいました。

HASSELBLAD 907X
紹介ページへ »
Panasonic LUMIX S1H
紹介ページへ »「HASSELBLAD 907X」は、645ライクの中判デジタルシステムのHマウントレンズ、中判ミラーレス用のXマウントレンズ、往年のVマウントレンズを活かせるカメラとして登場。ミソなのは往年のVシリーズを模したフォルムを実現するということ。中判ミラーレスをリリースして大判センサーの前に横たわるハードルを下げてきたわけですが、さらにユーザーを誘う手を打ってきたということです。ぜひ、魔力ある大判センサーが紡ぐ世界へ。

もはや一眼レフ的な格好をしていることに抵抗すら感じる、「Panasonic DC-S1H」。これでもかと機能と実力を詰め込んで、結果として究極にコンパクトでお値打ち価格のシネマカメラが生まれたわけです。ポテンシャルは素晴らしく突き抜け感がハンパない。映像に興味がなかった人でも目に止まることでしょう。

ZOOM Q2n-4K
紹介ページへ »ギターキッズならお馴染みのあのZOOMがWEBカメラを作ると「ZOOM Q2n-4K」のようになります。ハイレゾで音を録れて、映像の収録能力も妥協がありません。これまでWEBカメラといえば、いわゆるカメラ側から作られた製品だったわけですが、音側からの融合でこうした機材が生まれる潮流にあります。

取り上げたい機材がたくさんありますが、キリがありません。これまで各ジャンルの枠内において、昨日よりも今日、今日より明日と、スペックが研ぎ澄まされて進んできた流れも少し変わってきています。ジャンル同士の越境で生まれるもの、そうした物事に触れることで、思わぬ楽しみのヒントに遭遇することもあると思います。全体を眺めて、ざっと俯瞰してみてください。