PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

2020夏・総括

早いもので今年もすでに半分が過ぎました。今、折り返し地点に立ってカメラ業界を振り返ってみますと、2020年はCP+とフォトキナが中止になるという、どう言葉を選んでも幸先がいいとは言えない出来事でスタートしました。その後も決して喜べないニュースがいくつかあり、「カメラ業界は今、元気がない」というのが世間の認識かもしれません。

ところが今回、こうしてカメラ関係各社の動向を俯瞰してみたところ、「かなり面白いことになっている」というのがフォトヨドバシ編集部が得た結論です。そりゃあ、世の中はいろいろ変わります。でもそんな変化などお構いなしに、未来永劫まったく変わらないのは、写真を撮ることの喜び。「写真って楽しいよね」という純粋な気持ちに今一度立ち返って眺めてみれば、その楽しみ方はさらに多様化し、深化し、むしろ今までになかった盛り上がりや、新しい局面を見せてくれているように感じます。

2020年、すでに各社からは大変に興味深い製品がたくさん出ており、またこれからも続々と出てきます。具体的な例は今回の特集をじっくりご覧いただきたいのですが、全体をひとことで言い表すキーワードを探してみると、2つ思いつきます。

まず一つは「突き抜け感」。「突き抜ける」とは、ピンポイントなニーズに対して最短距離で打ち返すことであり、何が生まれるかわからない卵のような新しい可能性を提示することであり、やりたいことをやりたいようにやるワガママを貫き通すことです。中途半端さがなく、振り切っている。写真(ここではデジタルイメージングと呼ぶべきですが)の楽しみ方がさらに多様化・深化している、と書きましたが、その点で印象的なのはやはりムービーです。Youtubeに代表されるムービーの盛り上がりは今に始まったことではありませんが、昨今はそれがさらに細分化され、その一つ一つが独自の方向性と目標をもって、日々脱皮を繰り返しているような印象を受けます。そうした変化に呼応する、さらにはもっと先を行って次の変化を呼び起こす、突き抜けた製品が次々と生まれています。発想の転換。誰も思いつかなかったアイディア。「こういうのが欲しかった」を通り越して、「なるほど!」と唸らせる。そういう製品が、これからは存在感を増していくと思います。

もう一つは「本質化」。先に「突き抜け感」を挙げましたが、実はこれ、決して突飛なことではなく、むしろ本来あるべき姿なのだと思います。意識的にせよ、無意識的にせよ、ユーザーはプロダクツというものに対して、常に突き抜けた部分を期待しています。つまり突き抜けた製品というのは、言葉の印象とは裏腹に、「より、らしく」なった結果なのかもしれません。スチルカメラはスチルカメラらしく。ムービーカメラはムービーカメラらしく。余計なものを捨て、研ぎ澄まされた結果、本質だけを残して世に出る。マーケットが今、転換期に差し掛かっていて、その向かう先が「本質化」なのだとしたら、われわれはそれを大いに喜ぶべきでしょう。だから私たちは今まで通り、何一つ態度を変えることなく、写真を心の底から楽しむことが大事だと思います。いつだって、楽しんだ者が勝ちなのです。