PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/4000, F1.4, ISO 100, Photo by NB

SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

2022年8月26日に発売になった、「SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art 」ソニーEマウント用のシューティングリポートをお届けします。同時に発売されたLマウント用のリポートはすでにご覧になられましたか? このレンズについての詳しいアウトラインはそちらをご覧いただくとして、やはり特記しておきたいのはその大きさと重さ。このレンズの先輩格とも言える一眼レフ用の「20mm F1.4 DG HSM | Art」を知っている方は、「ああ、また大きくて重いんでしょう?」なんて思われるかもしれません。「高性能だけど大きくて重い」がかつてのArtラインの代名詞みたいになっていましたからね。しかしこのミラーレス用は小型軽量化が為された新設計です。今回の撮影ではソニーαシリーズの中でも小振りな「α7C」を組み合わせましたが、違和感はまったく感じませんでした。では肝心の写りは? というと、はい、もちろん大丈夫です。「Art」の名に恥じない、いやそれどころか、これこそがArtラインでしょうという写りでした。そのあたり、どうぞご自身の目でお確かめください。

( Photography & Text : NB )

SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/4000, F1.4, ISO 100, Photo by NB

まずは「広い景色を広く撮る」をテーマに3カット。ファインダーの片隅でシャッター速度が音を上げているのを尻目に、敢えてというか、当然というか、とにかく開放F1.4での描写です。このぐらいのディスタンスがあれば手前にもじゅうぶんピントが来ますが、画面のどこを見てもケチのつけようがありません。「F1.4開放」という言葉の響きが想起させる、時にそれを「味わい」などと呼んでしまったりするあれやこれや。はい、すべて昔の話です。

SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/4000, F1.4, ISO 100, Photo by NB

こちらも開放です。というか、今回の作例は1カットを除いてすべて開放で撮っています。当然です。今となっては「超広角」とまでは言えないかもしれませんが、しかしそうは言っても20mm、じゅうぶん広いです。余計なものが写り込まぬよう、画面の整理に気を使います。これが15mmぐらいになるともう、「それも込みで!」みたいな感覚になりますが、20mmでは「構図をしっかり考える」という、写真のいちばん面白い部分がちゃんと楽しめます。しかもそれがすごく難しい。つまり撮り甲斐がある。

SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/50, F1.4, ISO 100, Photo by NB

前ボケの感じ、奥行きや高さの表現。どうですか。まっすぐ伸びた桟敷の足や、点光源がどう写っているかも注目ポイント。


SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/400, F1.4, ISO 100, Photo by NB

ここからの3カットは「近接・質感」がテーマ。まずこのレンズ、めちゃめちゃ寄れます。被写体と前玉がぶつかるんじゃないかと心配するぐらい。ここでは近接の浅い被写界深度がもたらす大きなボケもチェックポイントですが、ピントが合っている花の質感描写に驚かされたのも事実。

SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/2500, F1.4, ISO 100, Photo by NB

打って変わって渋めの被写体。木、鉄、塗料、ガラス、それらが気が遠くなるほどの時間を経て、風化しながら渾然一体となっていく様子が記録されています。鮮やかなものは鮮やかに。渋いものは渋く。いずれにしても細かいところまできちんと伝える。まったくいい仕事をするレンズです。

SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/640, F1.4, ISO 100, Photo by NB

ソファにかけられたカバーの質感。ちょっと厚手で、全面に刺繍が入っているけれど、指で撫でるとツルツルしている。そんな感じが伝わりますかね。回った光のコントロールも見事と言うほかありません。


SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/4000, F1.4, ISO 100, Photo by NB

歪曲の無さを見てみます。線が歪んでいたらまったく話にならない構図ですが、それが真っ直ぐであれば、今度は迫力が生まれます。写真的にはこの看板というか、造作に助けられました。その陰になっているシャドウの描写もゾクゾクします。

SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/1000, F1.4, ISO 100, Photo by NB

俯瞰パースを強調したカット。早くも身も蓋もないことを言っていいですか? このレンズならもう、何を撮ってもいい感じに写ります。ホンネです。

SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/30, F11, ISO 400, Photo by NB

このカットだけ、遠景までピントを合わせたかったのでF11に絞っています。まぁ実際にはビシッと絞り込んで撮ることも多いレンズです。

SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/400, F1.4, ISO 100, Photo by NB

まるでテストチャートのようなこの壁を見て、「いくら歪曲がないと言ったってさ、ふふ」と微かな笑いを浮かべ、思いっきり意地悪をしてやったつもりなのですが、相手は私に一瞥をくれただけで、何のダメージも与えられませんでした・・・というカットです。当然ですが一切の補正、加工はしていません。要するにこういうことなんです、このレンズは。


SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/2500, F1.4, ISO 100, Photo by NB

20mmという焦点距離は、優秀なスナップシューターでもあります。この場合は風景撮影とは反対に何も考えず、眼前の光景を「街の遊撃手」とばかりに縦横無尽に切り取る、そんな使い方がいいですね。

SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/1250, F1.4, ISO 100, Photo by NB

こってりとした色乗り、手前に迫り出してくるような描写、ご婦人の服の質感や背景から浮き立つ感じ、極細のサインペンでちょん、とやったような、遠くの赤信号の点光源・・・何気なく撮ったスナップですが、情報量はとても多いです。

SONY α7C, SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art, 1/4000, F1.4, ISO 100, Photo by NB


PHOTO YODOBASHI

なんかもう、まじすごい

われわれが撮っているのは、機材の特長をきちんと紹介するための作例です。機材の良さを余すところなく伝えられるように、そしてできることならヨドバシカメラでお買い上げいただけるように、慎重に計画を練って撮影しています(これでも)。しかし機材が本当に素晴らしいものであった時、まず最初に感動するのは当の撮影者自身です。ファインダーを覗いて「うおー!」。モニターに表示させて「うおー!」。拡大して「うおー!」。ずっと「うおー!」って言ってます。

客観的、かつ定量的なデータが無いのでこれは恐らくなのですが、今回の「SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art」は、私が「過去もっとも『うおー!』と言った回数が多いレンズ」だと思います。写真用レンズに求められる評価項目のどこを取っても、およそケチのつけようがない。ということはつまり、使い方にコツなんか要らないということです。本文のキャプションに「このレンズならもう、何を撮ってもいい感じに写ります」と書きましたが、これはそういう意味。

じゃあ、全方位に及第点の優等生くんなのか? と言われれば、それもまた違う。そこはシグマ。ちゃんと「シグマらしさ」を身に纏っている。ではシグマらしさとは何か? ひとことで言えば、

「誰にも真似できないことを、涼しい顔をして、スマートに」

はい、これが私がイメージするシグマらしさです(個人の感想です。また効果には個人差があります)。成績は常にトップだけど、メガネをかけたガリ勉ではない。ちょっとワルで、ちょっと気品があり、そしてちょっと優しい。そう、学校にいたらいちばん女子にモテるタイプ。ああ、なんか腹が立ってきた。

シグマのサイトを見ると、「究極の星景レンズ」とあります。こう書かれてしまったら、星空を撮らないわけにはいきません。実は2枚目のカットを撮った日の前夜が新月でした。1ヶ月に一度しか訪れないチャンス。風景よりもむしろ星狙いで、気合を入れてここへ出向いたのですが・・・空は無情にも曇り。近いうちにリベンジを果たして、また皆様にお見せできたらと密かに思っています。

( 2022.10.05 )

Loading..
Loading..

「買って損はない」とか「コストパフォーマンスが高い」という言い方を、われわれは今まで、いかに安易に使ってきたか。それを思い知らされるレンズです。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

つけっぱが前提のプロテクトフィルターですから、一緒に買っておきましょうね。レンズ購入の御祝儀みたいなもんですから、このぐらいのものを奢りましょう。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..