PHOTO YODOBASHI

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SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Naz

SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

メカニカルで秀逸なデザイン、総金属製の鏡胴をはじめとした高いビルドクオリティ。高い光学性能と小型軽量をバランスさせたシグマのContemporaryラインのIシリーズは、すべて単焦点レンズでラインアップされ、その趣味性の高さから多くのユーザーの支持を集め会心のヒット作となっています。その快進撃が続くIシリーズに新たに大口径超広角レンズが追加されました。今回ご紹介する「SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary」はフルサイズ対応のソニーEマウント版。同時発売のライカLマウント版の実写レビューも公開されていますので、ぜひそちらも参考にしていただきつつ、こちらのレビューではストリートスナップの密度高めにお届けしたいと思います。

先にスペックについても触れておきましょう。20mmレンズというと開放F2.8あたりが一般的な中で、こちらは1段明るい「F2.0」の大口径。レンズ構成は11群13枚、その中にSLDガラスとFLDガラスをそれぞれ1枚、非球面レンズは3枚(内2枚は高精度のグラスモールド非球面レンズ)使用と贅沢かつ凝ったレンズ設計です。最短撮影距離は0.22m、9枚羽根の円形絞りも採用していますから、超広角レンズながら大きなボケ量に加えて、ボケ味にも期待ができそうです。AF駆動にはステッピングモーターを採用し、インナーフォーカスにより全長の変化がなく高速かつ静粛なフォーカス制御を実現しています。またインナーフォーカス化により、防塵防滴性能の向上にも寄与しているでしょう。これらのスペックを備えながらフィルターサイズは62mm、全長70mm×最大径74.4mmに重量は370gと小型軽量に仕上がっています。

( Photography & Text : Naz )

SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Naz

20mmレンズは、超広角レンズの入口というイメージの画角でしょうか。両眼でパッと見えている範囲のほぼすべてが写り込むといった感じで、眼前の光景を余すことなく写し込みたい時に重宝します。ダイナミックなフレーミングにより、ストリートスナップとの相性も抜群です。

SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Naz

もちろん狭い空間を写し込みたい時にも重宝します。すっきりとしたハイライトの描写がよい雰囲気です。周辺減光補正は敢えてオフにしてみましたが、元々周辺減光が少ないこともあり、オンにした状態と比べてもその差はごくわずかでした。

SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Naz

冬の晴天、黒く締まった日陰と濃い青色の空が相まってハイコントラストな1枚となりました。少し絞って、停められたバイクにピントを置いていますが、前後に緩やかにボケていく様子がわかり自然な奥行きが描かれています。海へと続く細い路地を印象的な光景へと仕立ててくれました。

SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Naz

崖上から海を見下ろします。F8まで絞ると、ほぼパンフォーカス。「シグマらしい」というべきでしょうか、とにかくシャープに写ります。この隙のなさは風景撮影などにおいて、ここ一番というシーンで活躍してくれるレンズと言えるでしょう。


SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Naz

超広角レンズは、水平から上へレンズを向けることが多くなりますから、見下ろす光景を加えることで写真に変化を加えることができます。金属やガラス等の硬質なものと、湿度を含んだウッドデッキと乾いた木の枝、それぞれの質感の描き分けが見事です。

SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Naz

歪曲補正は電子補正前提となっていますが、それ故に軽量でコンパクトなレンズを実現できています。EVFを覗いてカメラを振ると、その補正されている様子が見えてきますが、出力されるJPEGはご覧の通り。隙を感じさせず直線が隅々までビシっと揃ってくれます。超広角レンズを手にすると、建築物のような直線の多い被写体を撮る機会も増えますから、歪曲がしっかり抑えられるのは有り難いですね。

SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Naz

太陽が斜光になる時間帯は、本レンズを活かせる時でもあります。光と影を撮るのがとても楽しいレンズでした。

SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Nazもう少し長いレンズを使っているかのような、空気感を捉えるのが上手なレンズです。被写体の人物が着ているフリースの質感再現も見事。絞り開放で撮りましたが、人物の奥にあるビルは被写界深度の外になっています。シャープなレンズだけにザワつきそうな背景でしたが、上手に処理してくれました。

SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Naz

カメラ側で倍率色収差補正をオートに設定しましたが、明暗差の大きなカットでも色収差が目立つものは皆無でした。実用しやすいサイズの超広角、F2という大口径だけに、日が落ちる時間帯でも撮影が捗ります。

SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Naz

SONY α7R III, SIGMA 20mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by Naz


  • PHOTO YODOBASHI22cmという最短撮影距離は、フード先端から数えれば10cm強という距離。ここまで寄れることができれば不足することはないでしょう。後ボケは滑らかかつ自然で美しいもの。そしてあまり出現しないであろう前ボケもご覧の通り美しいものでした。
  • PHOTO YODOBASHI三脚を立てて開放で撮影。コマ収差は良好に抑えられており、点光源は隅々まで同じ形を維持しています。情報量の多いカットですが、中心部から隅々までとてもよく写ります。こちらは画像のクリックで原寸カットを表示します。

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ウィークポイントはどこにもない。“自信作”なのは間違いない。

いかがでしたでしょうか。スナップから風景、大口径を活かした星の撮影、時にはポートレートにも、と使いでのある1本です。外観は先に発売となっているF2の24mm、35mm、65mmと共通の鏡胴デザインとなり、同じ操作感が得られるのも嬉しいところ。今回作例撮影に使用したソニーα7R IIIとのバランスもよく、フォーカスリング、絞りリングともに操作性の高いものでした。その絞りリングは1/3ステップ。AF/MFの切り替えスイッチは円周方向に操作するタイプのため、切り替えも容易です。

素の光学性能を追求したArtラインのレンズに対し、本レンズを含むContemporaryラインのレンズは新しい価値を私たちに提供してくれました。ご覧の通りArtラインに引けをとらない写りで、歪曲収差をはじめとした一部の補正を電子化することで、小さく、軽く、そしてリーズナブルなプライスを実現させています。そのうえ、手によく馴染む高品質なプロダクトは撮る喜びを増幅させてくれますね。レンズ選びに迷ったら、まずはこのIシリーズをお試しください。間違いのないチョイスだと思います。

( 2022.02.28 )

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前玉をしっかり保護しましょう。超広角レンズには薄枠タイプがおすすめです。

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