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SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

タムロンがソニーEマウント用にリリースした「35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053」のレビューをお届けします。35mmという焦点距離、画角はスナップやポートレート、風景までさまざまなシーンで活躍。汎用性の高さはピカイチではないでしょうか。本レンズはその高い汎用性だけでなく、最短撮影距離15cm、ハーフマクロという一面も有しています。レンズ名にさらっと記載される「M1:2」ですが、これが撮影シーンだけでなく、写真表現そのものの幅を広げてくれることは想像に難くありません。撮り手が「ズームレンズを使っているかのような感覚」を覚えるほど、被写体にグッと迫っていける一本。さっそく作例をご覧になっていただきましょう。

( Photography : TAK / Text : Rica )

SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

本レンズ最大の特長である「ハーフマクロ」。実写でどれほどの威力を持つのかを早速見ていきましょう。こちらは撮影距離50cm辺りで撮影したものですが、画像をクリックしていただくと、そのままググッと寄ったカットが表示されます。中央左の縮んだ紅葉に近づいてみましたが、一枚の紅葉が既に36mmx24mmより大きいのでハーフマクロ域に至るまでもなく、迫力たっぷりに捉えることが出来ました。画像を再クリックしていただくと、もう一枚の画像に戻ります。

※以下4枚も、同じようにクリック毎に画像を切り替えて表示できます。じっくりと見比べてみてください。

SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

ご覧の通り、開放から非常にシャープな広角単焦点レンズで、枝葉末節に至るまでビッシリと解像しています。マクロ域でのカットではボケも見てみましたが、広角でF2.8だとは信じられないほどの美しさで、複雑な背景でもざわつく印象はありません。色やトーンの再現力も昨今のタムロンの単焦点同様、グッと来るものがあります。

SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

石垣の表面に小さな植物を発見。出でよ、ハーフマクロ!(画像をクリック) 最短撮影距離15cmでフォーカスした中央の葉は数mmほどですが、このサイズで撮れてしまいます。よく見ると、葉の中にまた細かな葉のようなものが左上から這うように伸びているのがしっかりと確認できます。際立つ解像力は、寄っても引いても不変です。あまりに近いので少し絞り込んで感度も上げていますが、ボディ内手ブレ補正のおかげで手持ちでも問題ありませんでした。引いたカットの前ボケも良い雰囲気ですよね。

SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

AF速度は、マクロを謳っていない通常の35mmレンズには少し及ばない印象でしょうか。たまにハンティングする場面もありました。とはいえ、そもそも接写から無限遠という広範囲をカバーし、同じ現場でこれほどのバリエーションが撮れてしまうのです。しかも正確さはピカイチで、ハーフマクロ域でもしっかりと合焦してくれました。仕事が丁寧で、誠実なAFなんです。まあ、フォーカスリミッター搭載であればまた違ったかもしれませんが、そうなるとお値段がね。。。私個人は、接写した後、一度5mあたりにフォーカスしておいて次の瞬間に備えていました(セルフフォーカスリミッター?)。

SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

こちらもクリックして寄ってみてください。広角の中では長めの35mmですから、ブツ撮り的なアプローチでもアングルを工夫すればそれほどパースが付きすぎることもありません。しかし、革の質感をこれほどまでに克明に表現してくれるとは。表現のための一本としてはもちろんですが、学術的な記録などにも重宝しそうなレンズですね。ちなみに方眼紙を真上から接写してみたのですが、ほとんど歪みは認められませんでした。以上、切り替え画像はこれで終わりです。


SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

絞れば当然のごとく尖鋭度が更に増し、画面の隅にまで行き渡ります。接写のみならず遠景までこのシャープさを維持するとは、恐れ入りました。

SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

タムロンといえばレンズ自体の逆光耐性が非常に高い印象があるのですが、本レンズに関して言えば、フードの効果も大きいと推察します。このフードは独特の形をしておりまして、開口部がフレアカッターのように長方形になっています。相当に意地悪な角度から太陽光を入れてもご覧の通り、逆光に対して効果絶大です。また、花形のように出っ張ることがないので取り回しも良好で、バッグへの収まりも良いですよ。


SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK

昨今の広角レンズは優秀なものが多く、20cm台の最短撮影距離を持つものも少なくありません。しかし、本レンズはそこさえも軽々と通過し、更にググググッと被写体に肉薄することができます。その別格の寄り幅を体感しながら、単焦点なのにまるでズームレンズを操っているような自由な感覚を覚えました。これはただの35mmレンズではありません。製品名には「MACRO」ではなく「M」とありますが、伝説の「タムキュー」等と並べても全く見劣りしない、一人前のマクロレンズです。

SONY α7 III, TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053, Photo by TAK


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よく写るという言葉が陳腐に思える一級品の描写。

寄っても引いても、「とにかくよく写る!」という言葉しか出てこないほど、本当に、猛烈によく写るレンズです。控えめに言って、一級品の写り。タムロンの底力、恐るべし! といったところでしょうか。前後のボケも非常にクセがなく被写体を際立たせてくれますから、ハーフとはいえ本格派のマクロレンズとしても出番が多くなりそうです。全長64mm、重さ210gと軽量コンパクトでありつつも、開放値はF2.8と明るい本レンズ。特殊硝材LDレンズやGMレンズを効果的に配置し、各収差を抑制。作例からもお分かりになると思いますが、四隅までしっかりと解像し、被写体そのものだけでなくその場の温度や湿度まで捉えてくれるような包容力のある描写をします。タムロン独自のBBARコーティングが逆光時のゴーストやフレアを低減し、さらに簡易防滴構造、前玉には防汚コートも施されていますから、天候への不安もなく撮影に臨むことが可能です。最短撮影距離15cmという短さは、撮りたいものに寄れないというストレスがなくなるだけでなく、これまでじっと見ることもなかったような日常的なものにも目を向けるきっかけをくれるでしょう。常用レンズとしてもお勧めしたいコンパクトなこの一本が、撮り手に“新しい日常”を見せてくれることは間違いありません。

( 2019.12.11 )

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続々リリースされるタムロンのソニーEマウントレンズ。本レンズは35mmという汎用性の高い一本というだけでなく、最短撮影距離15cm、最大撮影倍率1:2のハーフマクロ。単に寄れるというのではなく、確実に写真表現の幅が広がるレンズです。

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本レンズにはちょっと変わった風貌のレンズフードが付属していますが、前玉保護にはフィルターの装着もおすすめです。ケンコーのゼクロスは特殊弾性緩衝材の採用でフィルターガラスへの負荷を可能な限りゼロに近づけ、レンズ本来の描写力を引き出します。

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