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SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK

SONY α7 III / SHOOTING REPORT

満を持して発売となったソニーα7 IIIのレビューをお届けします。α7R IIIが発売されてから約4ヶ月。スタンダードモデルの刷新を待っていたαユーザーも多いのではないでしょうか。今回発売となったα7 IIIは、新機能こそ持っていないものの、フラッグシップモデル「α9」と最新モデルであり高画素機の「α7R III」のいいとこ取りと言える仕様のベーシックモデル。

まず、センサーは裏面照射型のCMOSセンサーに刷新されており、画素数は2420万画素。画像処理エンジンBIONZ Xと組み合わせることで、α7 IIと比べ約1.8倍の高速処理能力を発揮します。もちろん5軸ボディ内手ブレ補正機構も搭載。感度は常用でISO 100からISO 51200(拡張ISO 50からISO 204800)。低感度で約15段分ものダイナミックレンジを持つという発表がされています。バッテリーがα9と同様の大容量「NP-FZ100」に変わり、これまで少々不満のあった電池の持ちについても大幅に改善されているのも嬉しいところではないでしょうか。特筆すべきはAFポイント。像面位相差AFで693点数、コントラストAFで425点。ファインダー画面のうち93%が像面位相差AFでカバーされています。また、液晶モニターがタッチパネルになったことで、ファインダーを覗いたまま背面モニターをタッチしてフォーカスポイントを切り替える「タッチフォーカス機能」も仕様可能になっています。連写についても、最高10コマ/秒のメカシャッター搭載。電子シャッターを利用したサイレント撮影も可能になりました。なんとα7R IIIに新たに搭載された「フリッカーレス撮影」にも対応しているというのですから驚きです。

さて、スペック表をご覧になれば分かることはここまでにして、さっそく作例をご覧になっていただき、新しいスタンダードモデルの進化、そして真価を感じていただければと思います。

( Photography : TAK / Text : Rica )

SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK春の訪れをそこかしこで感じられるようになった今日このごろ。暖かな色の花々を撮りたくなる季節です。小さな花に何のためらいもなくスっと合焦しますから、撮りたいときに撮りたいものを撮ることができます。ごく当たり前のことのようですが、実はこれが難しい。思ったところにピントが合うというのはAF性能の精度の高さがあってこそです。

SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK

感度は常用でISO 100からISO 51200。こちらはISO 1250でのカットです。これまでなら「高感度」と言える感度ですが、この写り。いかがでしょうか。ノイズも感じられませんし、何よりシャドーからハイライトまでの階調の豊かさは、高画素機でなくても十分に味わえると思いませんか?(※画像のクリックで等倍画像を表示します)

SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK


SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK

街へ出て、スナップを楽しむ。新しいカメラを手にしたときのいちばんの醍醐味です。α7 IIIではAF性能が大幅に向上したことで、α9同等レベルのAF速度を誇ります。また単色の被写体にもバシっとピントが合うのですから、スナップ撮影の軽快感が違います。

SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK

赤い靴のエナメルの質感、コンクリートが鈍く光を反射する様、そして薄く射す光。どれをとっても申し分のない写り。それぞれの質感の描き分けもしっかりとされており、そのリアリティは本当に触れられそうなほどです。

SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK

これ、白、黒、どちらの部分でも一発でピントが来ました。細かく見ると看板に汚れはありますが、普通のカメラで一発でピントが合うかなぁ?という画ではないでしょうか。

SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK

4Dフォーカス対応ですから、「空間」でピントが合うわけです。こんなショットもお手の物であります。また、歯切れのいい動作は上級機レベルと言えるでしょう。メカシャッターのソリッドな感触もとてもいいです。


連写はメカシャッターでも最高10コマ/秒(Hi+)が可能となっています。アオサギを追いながら連写してみました。いかがでしょうか。10fpsといっても一眼レフのフラッグシップ機レベル。十分に動体を狙える性能です。背景が単純であれば動体に反応して補足し続けるAFも手伝い(ロックオンAFワイドモード)、アオサギをしっかりと補足し続けています。


SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK

光の少ない場面での撮影、高感度での画作りの素晴らしさは特筆すべき点ではないでしょうか。こちらはISO 1600でのカットですが、もはや「高感度」ではなく、本当の意味で常用感度になってきていると言えます。

SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK

輝度差のあるシーンでもこの通り。鮮やかな朱色の再現にも驚きますが、遠くに見える山々、そして雲の質感もリアリティを伴った描写です。しっとりとした空気感も伝わってきます。

SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK

バッテリーが「NP-FZ100」に変わり、バッテリーの持ちが大幅に向上しました。朝から撮影を続けていても、陽が落ちるころのこんなシーンまで余裕で撮影を続けることができます。日帰りの撮影では余裕という印象です。使用状況次第では1泊2日でもイケそうです。

SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK

こんな風に人間の視覚では見えないショットは、手ブレ補正機構なくしては撮影不可能です。いまや手ブレ補正機構は撮影になくてはならないもっとも大切な要素。α7 IIIでも前モデルと同様に5軸ボディ内手ブレ補正機構を搭載していますから、三脚なしでもここまで撮れてしまいます。


SONY α7 III, SEL24105G FE 24-105mm F4 G OSS, Photo by TAK


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    AF/MF/AEL切り換えレバーがなくなり、マルチセレクター(ジョイスティック)を搭載。また、α7R IIIと同様にAF-ONボタンが独立し、AELボタンの並びに新設されています。
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    メモリーカードはデュアルスロットになっています。α9でも同じですが、ダブルスロットのカード位置が「1」が下、「2」が上にあるのですが、メニュー表示では上から「1」「2」になっており、若干迷いが生じるところです。

ベーシックの皮を被ったアドバンストモデル

α7初代を所有していた撮影者から見た印象は、“実家を出て久しぶりに帰って来た子どもが随分と成長していて驚いた”そんなカメラ。仕事も出来るし、ダブルスロットまで付いちゃって、「立派になったな、お前」みたいな。でも初代や二代目だってまだ「現行」(どれを買っても長くサポートしてくれる安心感もあります)。MFレンズを中心で使いたいというユーザーには現実的な選択肢ともなります。新たにαを買う、またはα9やα7R系のサブ機が欲しいという“本気”のユーザーは迷わず最新モデルのα7 IIIをゲットするべきでしょう。

最新モデルということもあり、作例はJPEG撮って出しとなっています。こうしてみるとJPEGの赤の再現がとても印象的。裏面照射型CMOSセンサーは高感度時のS/N比以外にはデメリットが多く、大きいセンサーではノイズなど画質低下につながる課題が大きいとされていたのもいまは昔。α7 IIIに搭載されている新開発の裏面照射型CMOSセンサーExmor Rは、画像処理エンジンBIONZ Xとの組み合わせで、高速な画像処理が可能になり、さらに高感度に強く、低感度での再現性にも何ら問題はありません。ダイナミックレンジは低感度で約15段分というスペックですし、これだけトーンの粘りがあると撮った画の奥行き感だけでなく、小さな輝度差や温度、湿度など写した空間にあるものすべてが深みを伴って再現できます。スタンダード、ベーシックモデルという位置付けの本モデルですが、これはもう、ベーシックをはるかに超えた一台だと感じました。あえて“ナマイキベーシック”と呼びたい「ベーシックの概念を打ち破る」モデルです。

( 2018.03.25 )

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新たに開発した有効約2420万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSイメージセンサーと最新の画像処理システムを搭載。高感度ISO204800、693点の像面位相差検出AF、高精度・高追従な瞳AF、最高約10コマ/秒の高速連写を実現。ベーシックモデルの新たな価値を提案する、新しいα7 IIIです。

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