PHOTO YODOBASHI

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SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

超広角レンズは、超望遠レンズと同様に撮影目的が明確である、またはある意味では覚悟を持って手に入れるものと言えるのではないでしょうか。今回レビューする「TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050」は、昨今では既にやや控えめとも思える焦点距離20mmの超広角単焦点レンズです。本レンズは「TAMRON 24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F051」「TAMRON 35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F053」に続く、フィルター径67mmのラインナップの1本。重さ220g、全長は64mmと非常にコンパクトな設計ですから、携行もラクなうえ、取り回しがよいのが魅力です。既に先の2本をお持ちの方でしたら、フィルターを共用することもできます。さて、本レンズが24mmと35mmとはどう違う世界が見せてくれるのか、さっそく作例をご覧ください。

( Photography : KIMURAX / Text : Rica )

SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

本レンズの開放値はF2.8と昨今においては特筆するようなスペックではないものの、その分、光学設計に無理が無いのでしょう。ご覧のようにピント面のキレは素晴らしく、これだけ明暗差の大きいシーンでもバランスよく手堅く粘って描き込んでいます。

AMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

同じく絞り開放で、今度は被写体との距離を取りながらの撮影。手前から奥までよくもまぁ丁寧に描き込んでくれるものです。かといってカリカリしすぎるわけでもなく、しっかりとエッジをあぶり出しているという印象。トーンの流麗さも手伝って、漂っていた清々しい空気感までもが写り込んでいるようです。

SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

ボディ側の歪曲補正機能があるとはいっても、超が付く広角にもなると多少の歪曲が残ってしまうレンズもあります。それらに比べても、この画の周辺の写りはかなり良好に整えられていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。もちろんJPEG撮って出しの画ですが、何ら不足を感じさせない仕上がり。シャドーエリアのトーン再現性にも目を見張るものがあります。


SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

冬の澄んだ空からの光は厳しいもので、露出を切り詰め気味にセット。本レンズの名前に「M1:2」と記されている通り、ハーフマクロ撮影ができる広角レンズです。レンズ先数センチのところまで寄れてしまうので、20mmの超広角で切り取ったとは一瞬思えない画が得られるのですから楽しいものです。シャープにトレースされた蕊、やわらかく溶けるボケ。超広角にしてこの表現力は武器です。

SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

F2.8ですからボケの発生は穏やかですが、実に自然な連なり。布の風合いや質感までもがきちんと伝わってくる、リアリティのある描写です。

SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

ふと目に留まった、雑居ビルに立掛けられていた2台の自転車。何でもないようなシーンでしたが、ファインダーを覗くと手前の車輪はワイドに、それとは対照に実際の視覚よりも奥の自転車は小さめにバランスされるではありませんか。超広角レンズならではのデフォルメがいい塩梅に加担してくれます。


SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

特段目を引くような空でもなかったのですが、開放での周辺落ちがなかなかいい雰囲気を醸してくれるので、低めの雲が映えるようにフレームしてみました。雲の表情や立体感がよく出ていますね。送電線までしっかり捉えているあたりもさすがです。

SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

タムロンらしいトーンの再現ですね。今回掲載していないカットにも木の枝を写したものがありますが、どれも拡大して見てもフリンジが出てないのですよ。これ、かなり優秀だと思います。

SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

開放の画がいいレンズは、大概絞ってもいい画が得られますからね。絞り要らずの使い方で十分ですが、このように光芒を添えたい時などシチュエーションに応じて活用しましょう。


SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

少々埃っぽいガラスの存在を感じさせながら、模型のディテールまでもきちんとトレースしています。

SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

質感、艶感にリアリティがあります。

SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX

LEDの一粒一粒まできっちりと描き切る筆力。雄大な星空の撮影にも活躍してくれることでしょう。

SONY α7 III, TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 Model F050, Photo by KIMURAX


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寄って、引いて、楽しみ方さまざま

驚いたのはその解像力の高さです(1カット目、3カット目の画像はクリックで原寸をご覧いただけます)。超広角レンズでありながら開放でも四隅までしっかり解像します。最短撮影距離が11cmと短いため、被写体にグっと迫って高周波なものを撮影してもそのディテールの再現力に舌を巻くでしょう。20mmという超広角ではありますが画面のまとまりの良さを感じます。目の前のシーンを丸ごと収めるような使い方と併せて、ハーフマクロが使えることから非常に幅広い表現を可能にしてくれるのが本レンズ最大の魅力です。さらにF2.8という開放値では、超広角でありながら柔らかなボケも画に生かすことができ、風景だけでなく人物撮影などでも、さまざまな撮り方にトライしていけそうです。本レンズはLDガラス、GMレンズを採用し、諸収差を抑制。タムロン独自のBBARコーティングによりゴーストやフレアも低減していますから、開放、逆光という条件で撮影してもイヤなフリンジが出ることはありませんでした。また、歪曲の補正についてはカメラ内のレンズ補正機能をオンに設定すれば、JPEG画像ではすっきりまっすぐな線が得られます。無限遠から最短11cmと幅広い距離に対応する本レンズ、AFスピードは爆速とは言えませんが必要十分。被写体に向き合い、ピントを合わせてシャッターを切るという一連の動作を邪魔するようなことはありません。これだけの描写力を持ちながらもお財布に優しい、非常にコストパフォーマンスの高いレンズですから、Eマウントユーザーにとっては歓迎すべき一本ではないでしょうか。

( 2020.02.05 )

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20mmで広々としたシーンを撮影できる一方、最短撮影距離は11cmと、非常に幅広い表現ができるレンズです。小型軽量ですから携行しやすいのも魅力です。

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現代のレンズは防汚コートや撥水性能がありますが、やはり物理的な損傷に対しては不安が残ります。保護フィルターを装着しておけば安心です。

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