PHOTO YODOBASHI

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SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/30, F1.4, ISO 100, Photo by TAK

SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

画角にして114.2度。超広角14mmでF1.4というスペックは、現時点で世界初となります(シグマ調べ)。Artシリーズには他にもF1.4やF1.2といったハイスピードの単焦点レンズがラインアップされていますが、本レンズは星空撮影に最適化されているという特殊性も帯びています。この分野でのF1.4という明るさは突出しており、より速いシャッター速度で被写体ブレの少ない星景を収めることが可能です。地球は自転しています。露光時間が長くなるほど遥か彼方の星も動いて見えるので、星を軌跡ではなく点として撮影する場合はレンズが明るいに越したことはありません。無論、建築や風景といった用途も想定していると思われますが、1160gという重量や三脚座(105mm F1.4 DG HSM | Art以来の驚き)まで装備していることも考えると、単に明るさ一等賞だけを狙って開発されたレンズではないでしょう。早速ご覧ください。

( Photography & Text : TAK )

SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 3.2s, F1.4, ISO 100, Photo by TAK

星空から見てまいりましょう。画像クリックで等倍カットがご覧いただけます。梅雨時の撮影期間での新月かつ晴天という条件は一度だけ。しかもうっすら雲がかかるという予報でした。結果的に市街地での撮影となり天の川は望めませんでしたが、星景撮影に最も大切な「開放時、点光源を点のままに写せる」能力は確認できました。画面中央はおろか画面端の星さえも点として捉えられています(直線状の光は航空機の光跡)。軽微なサジタルコマフレアは認められるものの、この粒立ちの良さ、ちょっと見たことがない眺めです。これまでの超広角レンズの開放F値はF2.8あたりが主流で、シグマの最速でも14mm F1.8 DG HSMのF1.8でした。F1.8でも相当に速いので、今回のF1.4には度肝を抜かれました。「たった2/3段しか変わらないでしょ」と考えるのはボケ量重視の考え方で、シャッター速度が気になる星空撮影においては大きな違いとなります。このカットは最低感度で3秒ほどで撮れてしまいましたが、これがF2.8クラスですとカメラの高感度耐性と相談しながらISO 1000〜3200あたりで二桁秒というところでしょうか。暗黒の有名星空スポットで感度を上げるとしても、上げ幅を最小限に抑えることができるのは革命的です。ちなみにF4、8秒、ISO 400という条件でも撮影してみましたが、星の描写は開放とほとんど変わりませんでした。

SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1.6s, F1.4, ISO 100, Photo by TAK

夜景と絡めてみましたが、やはり開放、遠距離で最高の結果を出すためにチューンされているようです。与えられたミッションを考えれば頷けることを差し引いても、ゾクっとするような解像性能です。ちなみにこのレンズ、撮影をアシストする機能も充実しております。マニュアルフォーカスロックスイッチを使えば、一度ピントを合わせた後も不用意にピントがずれることがありません。星空撮影には特にありがたいですね。星空メインの方は、そろそろこの辺で一足飛びにカートへお進みください。


SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/250, F1.4, ISO 100, Photo by TAK

風景も撮ってみましたが、まず色気を感じました。こういった風景も浅い被写界深度で捉えると、より生命力が際立つような気がします。周辺の落ちもまた良い具合で、中央部の存在感をグッと引き立ててくれます。

SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/100, F1.4, ISO 100, Photo by TAK

遠景主体とはいえ、星空メインでなければ寄って撮りたくもなるのが超広角レンズです。ピントもボケもなかなか良いじゃないですか。

SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/2500, F1.4, ISO 100, Photo by TAK

最短付近です。流石にここまで寄ると若干甘さも出てくるようですが、これは仕様ですからね。もちろん絞れば解決します。玉ボケ、美しいですね。円形絞りの採用で絞っても円さは保たれます。


SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/800, F1.4, ISO 100, Photo by TAK

歪曲収差を見てみました。実はこれ、ボディ内の歪曲補正をオフにしています。素の状態でここまで真っ直ぐなら補正量も少なくなる、つまり良いことづくめです。これだけの画角で、F1.4で、ですよ。Art万歳!

SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/25, F4, ISO 100, Photo by TAK

こちらは歪曲補正オンです。通常はこの状態で使うと思います。もちろん、気になるところは皆無です。左右の案内板まで入るほど画角が広いので、建築物の撮れ高も相当上がるでしょう。においまで伝わってきそうな畳の質感表現で、微妙な濃淡の再現もリアルです。被写体が生き生きとして色気さえ漂わせているところは絞っても変わらず、現場の雰囲気が脳裏に蘇ってきます。うーん、素晴らしい。

SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/2000, F1.4, ISO 100, Photo by TAK

これだけの画角では少しアングルをつけるだけで、強烈なパースペクティブ効果が得られます。正対して標準レンズのように撮るもよし、煽ってデフォルメさせて存在感を強調するもまた愉し、であります。

SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/8000, F1.4, ISO 100, Photo by TAK

調子に乗ってブラブラ撮り歩いてみたのですが、腰や膝に来ました。三脚座は取り外すこともできますが、それ自体軽いので劇的な軽量化は期待できません。とはいえこのレンズでしか撮れない世界があり、撮る者のアドレナリンがドバっとなるわけです。ロケハンをやって、決め打ちをする使い方に向いているでしょうか。


SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/3200, F1.4, ISO 100, Photo by TAK

並の広角ならここまでの立体感は出せないでしょう。独特の色気で、見慣れた世界が一変します。

SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/8000, F1.4, ISO 100, Photo by TAK

広い現場を広く。あえて引いてみるのも超広角の面白さです。

SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/13, F11, ISO 100, Photo by TAK

SONY α7 IV, SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art, 1/500, F1.4, ISO 100, Photo by TAK


PHOTO YODOBASHI

比較対象が無い、シグマらしさ満載の14mm。

このギョロ目、三脚座、存在感。ルックスからして只者ではありませんが、中身も徹頭徹尾オンリーワンでした。F1.4の開放の時点で、宇宙からの光を点のままに捉える鋭い切れ味、これだけで唯一無二の価値を放っています。それでいて日常の何気ない光景を収めても色気を漂わせてくれる、高い表現力を持ち合わせたレンズでもあります。ここぞという場面で、その務めをしっかりと果たしてくれるでしょう。便利なアルカスイス規格の三脚座を外した際に出来るスペースは、付属の「プロテクティブカバー」がしっかりと覆ってくれます。また、フード部(固定)直後の段差「レンズヒーターリテーナー」は、レンズヒーター(夜露や結露を防ぐためのアクセサリー)を取り付けてもはみ出してケラレを引き起こさないように設けられています。まさに至れり尽くせり。物を作ることは、思いを形にすることです。何が必要とされているのかも考慮しつつ、「こういうレンズを作りたいんだ」という強い信念があってこそのレンズなのかなと感じました。どうぞしっかりと受け止めて、撮影をお楽しみください。

PHOTO YODOBASHI前玉がフィルターの装着を許さない形状になっているので、マウント側のホルダーにシートタイプフィルターを装着する仕様となっています。ただそこで終わらないのがシグマで、レンズキャップ裏側にフィルターホルダーが2つ装備されています。「1」「2」の数字の内側にある突起を外側にスライドさせると、カチャッと盛り上がって下にスペースが生まれ、そこにフィルターを入れる構造になっています。無限の心遣い、ありがとうございます。

( 2023.07.05 )

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