PHOTO YODOBASHI

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SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA

TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

タムロンからソニーEマウント向けの超広角ズームレンズ「TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060」が登場しました。こちらはAPS-Cフォーマット向けとなり、フルサイズ換算で16.5~30mm相当の画角をカバーしています。他のEマウント向けタムロンレンズと同様のコンセプトにより、小型・軽量を維持しながらズーム全域F2.8を実現した1本。先に発売された「TAMRON 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD Model B070」と組み合わせれば、F2.8の大口径で15.5mm相当の超広角から105mm相当の中望遠まで切れ目なくカバーでき、高い画質とコンパクトなシステムを両立させることができます。

早速スペックを見ていきましょう。本レンズは10群12枚のレンズ構成となっており、ガラスモールド非球面レンズや異常低分散特性を持ったLDレンズ、XLDレンズ等の特殊硝材もふんだんに採用しています。最短撮影距離はワイド端で0.15m、テレ端で0.24mとなっており、被写体へ過剰なまでに"迫れる"ところも超広角レンズとして嬉しいポイント。どのくらい寄れるかというと、付属のフードを外さないと寄り切れないくらい、レンズの先端に指1本入るのがやっとの距離感です。また超広角レンズですから大きなボケまでは得られないものの、絞りは7枚羽根の円形絞りとなっており、ボケ味にも配慮されていることが伺えます。AFモーターは、動画撮影にも対応したステッピングモーターを採用し、高速で精密な制御が行えるとのこと。そして何よりも嬉しいのが、10万円を大きく割り込むプライス。超広角ズームレンズはどのレンズも高価なものが多い中、F2.8でこのプライスは驚きです。肝心な写りの方ですが、「期待以上でしたと」申し上げておきましょう。それでは実写レビューをご覧ください。

( Photography : TA / Text : Naz )

SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA

冒頭(ひとつ上)のカットはワイド端11mm(フルサイズ換算16.5mm相当)で撮影したもの。すぐ上のカットはテレ端20mm(同30mm相当)で撮影しています。30mmという画角は馴染みの35mmに近いものであり、目で見た光景に近く、自然な雰囲気で眼前の光景を切り取ることができます。ワイド端でダイナミックに風景を切り取ったかと思えば、テレ端で日常を自然に…。こんな芸当ができるのもズームレンズだからこそです。

SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA

線が硬くなりすぎずナチュラルに感じる優しい描写、ニュートラルでありながらも情緒を感じる色再現。そして階調の幅にも余裕があり、連なりも実にスムーズです。


SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA

ズーム全域でご覧のようなシャープな写りが得られます。都市光景などバシッとダイナミックに捉えたいとき、このシャープさは有り難いですよね。ファインダーを覗いて撮影していると、単焦点レンズを使っているかのような感覚になるのですが、それほどに解像力に優れ、キレのいいレンズを手にしている安心感があります。大口径の超広角ズームであることと、小型・軽量という点を鑑みると、この性能の良さに驚かされます。

SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA

こういった中景から遠景の被写体でしたら多少絞るのがセオリーですが、絞り開放でもその写りに何ら問題はありませんね。とにかく隙が見当たりません。

SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA

ボディ側によるレンズ補正は全てON(オート)の状態で撮影を行なっています。歪曲に関しては、全く見られないわけではありませんが、実写において歪曲が気になるシーンはほとんどないでしょう。むしろ画として自然に感じられる、過剰補正にならない程度にまとまっていまると思います。

SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA

日が落ちてからもスナップ感覚でサクサクと手持ち撮影が楽しめます。コンパクトな超広角ズームレンズながら、コマ収差もかなり高い次元で補正されています。α6500との組み合わせは、データサイズも軽く済みますから、その後の読み込みも処理も速い。撮影もトライアンドエラーを重ねられる気軽さがありますね。


SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA

SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA上のカットは、強い光源に対してほぼまっすぐにレンズを向けての撮影。レンズを向ける角度によってはフレアが出てくることもあり、それを意図してフレームしたものもご覧ください。いかでしょう?これなら表現のひとつとして利用しても良いかもしれませんね。このような悪条件でも、ヌケのよさやピントのキレは相変わらず。大したものです。

SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA

撮影していて感じたのは、「やっぱりタムロン」と思わせる柔らかなボケが印象的だということです。こちらはテレ端の最短撮影距離、絞り開放での撮影です。ピントを立たせながら前後に美しくボケていく様にご注目ください。

SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA

ピント面のシャープネスと柔らかいボケを巧く両立しているレンズですので、どんなものにも気軽にレンズを向けてみたくなります。とにかく使っていて楽しいレンズです。

  • PHOTO YODOBASHIワイド端:11mm
  • PHOTO YODOBASHIテレ端:20mm
  • PHOTO YODOBASHI20mm・最短撮影距離・開放

左のカットから11mm、20mm、20mm・最短撮影距離・開放での撮影。広角域での1mmの違いは大きいですから、本レンズ1本で11〜20mmまでの画角が自在に操れるというのはかなりのアドバンテージになるでしょう。その上これだけ被写体に寄れるのですから、使い勝手は抜群です。付け加えるとすれば、ワイド端・開放での最短撮影距離では周辺の描写がやや甘くなる傾向が感じられました。使いこなす上では、ある程度絞るか被写体の配置を工夫してあげるといいでしょう。

SONY α6500, TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD Model B060, Photo by TA


PHOTO YODOBASHI

全方位に優れた超広角ズームレンズ。

眼前の光景をすべて写し込むような風景写真や、ダイナミックな都市光景、被写体に迫るスナップ撮影など、視覚的にインパクトを作りたいときに超広角レンズは重宝します。加えて本レンズはズーム全域でF2.8を実現し、焦点距離が短いことに加えボディ内手ブレ補正を組み合わせれば低照度下での夜間撮影や室内撮影にも活かすことができるでしょう。タムロンレンズに一貫して感じるピント面のシャープさ、そしてボケの柔らかさは本レンズでももちろん健在。使い込むほどに「いいレンズだな」と思わせてくれるものでした。

最後に使い勝手についても触れておきましょう。AFの精度・速度・静粛性はいずれも良好。不意に出会った光景へカメラを向ければ、音もなくフォーカスし一瞬のチャンスを逃しません。もちろん瞳AFや動体追尾AFも対応していますので、被写体が自由に動き回る子供であっても楽に撮影することができました。超広角ズームというと、レンズ先端に向かって鏡胴が大きくなっていくレンズも多いですが、こちらはスリムなままですから、今回撮影に使用したα6500のようなコンパクトなボディとの相性もよく、カメラバッグ等への収まりも良好です。

ソニーEマウント向けの超広角レンズとしては唯一となるズーム全域F2.8を実現しながら、大人の男性の拳ほどの大きさ(全長:86.2mm)、缶ビール1本にも満たない重量(質量:335g)と驚くほど小型・軽量にまとまっています。もちろん、これまで通り洗練されたデザインと高品位な外装、そして簡易防滴構造やレンズ前面の防汚コートも施されていますから、このカテゴリーでは「向かうところ敵なし」とも言えるほど全方位に優れたレンズとなっています。どうぞ実際に手にしてその素晴らしさを体感してください。

( 2021.06.24 )

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APS-C向け超広角ズームの主力と言っていいでしょう。写りがよく、コンパクト、そしてリーズナブル。何か足りないものはありましたか?

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本レンズでも他のレンズとフィルターを共有しやすい67mm径を採用しています。

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