PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY α9 II, SEL100400GM FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS, Photo by K

SONY α9 II / SHOOTING REPORT

驚愕の秒20コマ(電子シャッター)、ブラックアウトフリー連写のα9が登場して約2年半。主にα7R IVのアップデート内容を反映して2代目の「α9 II(ILCE-9M2)」が登場しました。動き物を捉えるプロユースに応える細かなアップデートが多々行われた印象ですが、現場でのハンドリングに対する貢献は小さくないように感じます。αシリーズはニーズ別に各モデルがフルラインアップされていること自体が凄いことだと思いますが、交換レンズも充実し、比較的短いスパンで事細かなアップデートが施されるわけで、ユーザとしては心強い限りでしょう。カメラシーンはミラーレス百花繚乱といった様相ですが、ソニーが築き上げてきたシステムは確固たるアドバンテージを感じさせます。初代α9のテストを担当しましたが、その頃のことを思い返しつつテストに出かけてきました。

( Photography & Text : K )

相変わらずの韋駄天カメラ、Mシャッターまでもが秒間10コマへ到達

電子シャッターで秒間20コマは前モデルと変わりませんが、メカシャッターのコマ数が秒間5.5コマから10コマへとアップ。電子シャッターでもローリングを感じることはありませんが、韋駄天ぶりもここまで来るとアッパレ! 上の映像は秒間20コマで捉えた「1秒」を、10秒に引き伸ばして繋げています。この間AFはマシンを捉え続け、さらには手ブレを補正し続けているのです。手持ち撮影でテレ端400mm相当ですから・・・いやはや。サーキットの撮影でその筋のプロフェッショナルな皆さんは、「置きピン」でAFは「シングル撮影」の方も多いのかもしれません(もちろんケースバイケースだとは思います)。凄いなあと感じるのは、たまにしかこんな撮影を行わない私にもカメラ任せで適当に撮れてしまうこと。これこそが機材の進化というものでしょう。もうひとつ。今回α9 IIにセットアップしたレンズは好評の100-400mm。実はカメラにはストラップも付けず持ち歩いていました。撮影内容を限定していたので、必要に応じて取り付けようと思っていたのです。カメラそのものがかなりコンパクトで軽く、グリップの形状もかなり練り込まれていることもあって、まったく苦になりませんでした。レンズの描写も素晴らしいものがあって、どうしても単焦点レンズ・・とは思いません。本当にカメラの世界もここまで来たんだなあと感心しきりです。こんな動き物を撮る時には、鉄の塊のようなカメラに大砲のような単焦点レンズ、そして一脚といった組み合わせとなるのですが、持ち歩くだけでも大変だったのですが。。

SONY α9 II, SEL100400GM FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS, Photo by K

さて、レース撮影と言えばやはり流し撮り。日頃からの鍛錬の積み重ねがモノを言う撮影ですが、ちょっと「にわか」でやってみましょう。流し撮りといえば1/8あたりから画になる印象ですが、このあたりのシャッター速度となると、私の技量では車両とドライバーの何処か1点を止める撮影になります。そしてまさかの一脚無し・手持ち撮影。ナメきっているとしか言いようがありませんが、α9IIとこのレンズのパッケージだと、そこそこの歩留まりで撮れてしまうのが恐ろしい。。サーキットの撮影は、コーナー間をかなり歩くことになります。カメラを振り回すのも持ち歩くのも、従来的なパッケージだと本当に脂汗をかくのですが、なによりこの軽く小さなこのパッケージは撮影が楽しい! あまりに楽しく撮りすぎてしまい、家に戻ってからそのデータ量にゲンナリしてしまいましたが。

スピードだけじゃない、α9II の「真価」

SONY α9 II, SEL100400GM FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS, Photo by K

従来的な“サーキット仕様”であれば、その他のシーンを捉えるのには別のカメラを携帯したいところ。なが〜い玉をマウントして一脚に載せているわけで、レンズ交換して撮影を行うのは面倒極まりない。単焦点レンズと比較しても十分な写りの本レンズと組み合わせていれば、サーキットのタイムスケジュールの合間に周辺のシーンまで捉えることができます。

SONY α9 II, SEL100400GM FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS, Photo by K

画素数も35mmフルフレームとしては、スピード・高感度特性・画質と考えてちょうどよい落としどころであり、なによりデータハンドリングが軽くて助かります。レンズラインナップを見てもテレ側600mmまでありますので、システム面で不足はありません。マスターレンズのみでAPS-Cサイズあたりまでクロップを考えても1200万画素程度は確保できるため、プリントであればそれなりの処理を施すことでB0あたりまで十分対応できます。

SONY α9 II, SEL100400GM FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS, Photo by K

筑波サーキットで撮影を行いましたが、モータースポーツが真っ盛りの時代から比べれば何処か牧歌的な雰囲気で、1日のんびり楽しむことができます。コース長も2km程度なので移動も楽です。

SONY α9 II, SEL100400GM FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS, Photo by K

高画素機の「うへぇ」という画を見慣れると派手さはないかもしれませんが、むしろ無理のない、階調豊かで余裕を感じさせる画。

SONY α9 II, SEL100400GM FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS, Photo by K

パドックにて。当日は趣味の延長線上にあるレースも共催されていたこともあって、家族連れで参戦している方も多かったように思います。マシンを間近に観察できる規模のレースでは、レンズの向け先が多くて本当に楽しいのでおすすめです。

SONY α9 II, SEL100400GM FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS, Photo by K

焦点域のわりには、かなり寄れてしまうんですよね。この組み合わせは横着できていかんなあ。

SONY α9 II, SEL100400GM FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS, Photo by K

いや、いいな。キレのよさ、トーンのよさ、ドンとシャドーを締めてしまう詰めた露出がサマになります。初代RX1で感じたものが思い返されます。


  • PHOTO YODOBASHISDカードスロットは両スロットともUHS-II対応となりました。背面のAF-ONボタンの大型化やAFポイントを選択するジョイスティックがグリップしやすい形状へ変わっています。
  • PHOTO YODOBASHIα9に備わっていた有線LAN端子はIIでも健在。加えて1000BASE-T(最大1Gbps)対応へと高速化されました。また無線LAN(Wi-Fi)についてもIEEE 802.11acに対応し、2.4GHz帯に加えて5GHz帯の通信も可能に。USB-C端子(USB3.2 Gen1、最大5Gbps)が新たに備わっています。
  • PHOTO YODOBASHIAFセレクトスイッチはロック機構が備わりました。「II」の表記はこのエンブレムのみと、α7シリーズ同様控えめに。
  • PHOTO YODOBASHIボディ形状はα7R IV世代となり、グリップが大型化したほか、軍艦部の露出補正ダイヤルにはロック機構が備わりました。背面にあったリヤのサブダイヤルは軍艦部の露出補正ダイヤルの横へ。

PHOTO YODOBASHI

大きく重い機材を本当の意味で置き換えられる、孤高のミラーレスカメラ

かなり語弊があるかもしれませんが、「α9 II」はミラーレスのαシリーズにおけるスタンダードモデル α7 III の究極形といってよいでしょう。なぜか。まずこのシステムサイズと機能がもたらす撮影の気軽さと易しさです。もちろんスタンダードモデルに比べればスピードも違いますし、α9 IIが視界に捉えるニーズやユーザ像から、それに寄り添った機能などの違いもあります。しかし、それらが盛り込まれたかといって大きくサイズが変わることはありません。ミラーレスカメラには、物足りないポイントが3つありました。1つはファインダー、そしてスピード、それにシステム拡張性です。ファインダーについてはブラックアウトフリーという、これまで一般的ではなかった新たなメリットすら付け加えて文句のないレベルに仕上がり、システム拡張性、特にレンズラインナップも実用上まったく問題が無いレベルにまで発展。そしてこのスピードがもたらす数多のメリットと利便性と操作性の向上は、一部のプロユースのみならず、今日初めてカメラを買う人にとっても確実にメリットがあります(従来型のデジタル一眼レフ・フラッグシップの姿を想像してください)。そうそう、サーキットへ向かう前に少し海辺にも寄ってみたのですが、押し寄せる波を捉えるのにファインダー像がシャッターを切っても消失しないことに感心したのです。絶え間なく押し寄せる波を捉えるのは結構イメージ通りに撮ることが難しいため、ファインダー像が消失しないことは大きなメリットを感じました。どんなメーカーも目論む「これまで撮ることができなかったものを撮ることができるように」このことへの確実な進歩について実感した次第です。α9の登場と、システム全体の"気がついたら"の完成度に当時驚かされましたが、ここに来てプロユースに沿ったアップデートを施し、それに本当の意味で応えるカメラとしてリリースされたことにも感じ入りますが、それがそのままデイリーユースに使えて、ましてカメラの世界に入ったばかりの方にもおすすめできる、この事実に感じ入ります。もちろん価格はそれ相応なのですが。ともかくこの1台を手にすれば、あらゆるシーンを下支えしてくれる、そんなカメラに仕上がっています。

( 2019.11.03 )

Loading..
Loading..

マイナーチェンジのようですが、新型は細部までチューニングが施されています。AFの食いつきのよさ、動作のキレなどα7系とは異なる、ソニー最速のまさにキングオブミラーレス。いよいよ登場です。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

縦位置での撮影だけでなく、連続撮影時の電源の安定化、ボディ重量増加による大型レンズ装着時のバランスなど、そのメリットは多岐に渡ります。α9 IIではもはや必須のアイテム。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

このクラスのカメラを使うのなら、スペアバッテリーは複数個保ちが必須です。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

バッテリーの個数に合わせて追加のチャージャーもお忘れなく。(本体に1個付属しています)

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

今回のレビューで使用しました。超望遠便利ズーム。4倍ズームの高い利便性に加えて、単焦点と遜色ない写りを手に入れられます。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

GMクラスの大口径標準ズーム。まずは、これ1本持っていないと話になりません。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..