PHOTO YODOBASHI

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SONY α7R IV / SHOOTING REPORT

6100万画素。画素数は被写体をどれだけ細かく捉えるかを示す指針であり、画質を決める重大要素のひとつです。必要画素数は使用する目的次第ではありますが、目的自体も変わるのも現実。結局のところ、画素数が多いほど出力サイズの自由度が上がり、トリミング耐性も高まりますので、画素は出来るだけ多いほうが1カットの汎用性が高くなるのです。ただし高画素化が受け入れられるためには、画素ピッチの縮小に起因するノイズ性能や連写能力の低下などの弊害を克服せねばなりません。ご存知の通り、ソニーはCMOSイメージセンサーで世界トップのシェアを誇りますが、画素数に関して非常に柔軟な考えを持っています。高画素化、低画素化、双方のメリットを熟知しているからこそ、それぞれの方向に振ったモデルも提案することが可能なのですね。高画素モデルのRシリーズに関しては、4240万という途方も無い画素数をシリーズ2代目の「α7R II」で早くも実現。先代の「α7R III」にいたっては完成の域に達した感があり、当時「これ以上の画素数は理論限界なのでは?」とさえ感じたものです。しかしそれは当然一素人の考えでありまして、「It's a SONY」の進化は止まることを知りません。初代と比較すれば倍近くとなる6100万画素のセンサーを載っけてきたということは、ソニーはまたもや限界を突破したということなのでしょう。最大記録画素数は9504x6336ピクセル。もはや中判カメラの境地ですが、テレビに置き換えて考えてみますと、「8K」をも軽々と超えてしまっていることが判りました。そんな豪腕投手の奪三振数のような超高精細センサーが紡ぐ世界とはどのようなものなのか。5本のレンズをお借りして、試写してまいりました。

なお、今回は全カットにおいて原寸大サイズ(画像クリックで表示)をご用意していますが、その際モニターにピクセルの洪水が降り注ぎます。モバイル通信の「ギガ」にもご注意ください。

( Photography : Z II / Text : TAK )

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6100万画素という未知の世界を体感するために、細かな装飾が美しいモスクの天井を最初の被写体に選びました。シャッターを切った直後に見た液晶の画からも、「これはヤバい!」と言わざるをえない写り。ある程度すごいのは予想できましたが、文字通り、舌を巻きました。もちろんレンズの性能も素晴らしく、本機との組み合わせでも全く不足を感じません。

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α7R IIIの記事同様、水の描写も試してみました。高速シャッターで時が止まったかのようなカットですが、凝視すると音までも止まったような錯覚に陥るほどの、リアリティ溢れる描写です。

PHOTO YODOBASHI 圧倒的画素数は、ダイナミックで高周波な被写体を捉えるのにも威力を発揮します。細かな葉の描写、いかがでしょう。逆光でも枝のシャドウ部が潰れることなく立体感を残していますね。「そんなに画素数いらないよ」という方もこんな画を見ちゃうと木だけに気になってしまうのではないでしょうか。(あまりの凄まじさに思考力を失っています)


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6100万画素は人物撮影においても、異次元の表現力をもたらします。これも原寸でご覧いただけばわかるのですが、まつ毛の本数を数えられるほどの解像力です。瑞々しい肌の質感、艶々した黒髪の描写も素晴らしいの一言。画素数が567万ドットに増えたEVFも非常に見やすく、欲しいところに自信を持ってフォーカスできます。

PHOTO YODOBASHI 瞳AFも進化しています。フォーカスする瞳を左目、右目を指定することさえ可能なのです。ちなみにこれは動画にも対応しています。とんでもないカメラですね。


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硬く、つるっとした被写体も見てみましょう。ボンネットのグラデーション、またフロントガラスに映り込んだ空の表情も素敵に仕上がっています。画素をふんだんに使って丁寧に紡ぎあげることでしか再現できない、極めて繊細な階調表現です。原寸大でヘッドライトをご覧ください。中の中までしっかりと解像しています。

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こちらは24-70mmのレンズを装着しAPS-Cモードにクロップしての撮影です。クロップしても2620万画素が確保できますので、少しでも寄りたい際にも積極的に使っていただけます。AFも動体を素早く補足しますし、手ぶれ補正もバシッと効いてくれますよ。また、これだけの画素数でも秒間10コマの連写能力を備えているのも驚きです。

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でもやっぱりフル解像度の破壊力が本機の肝でしょうか。絞り開放ですが奥の奥まで写っています。あまりに写りすぎて、気が遠くなりそうです。当然1ファイルあたりのサイズも相当なものになりますので、メモリーカードやパソコン周りはしっかりと備えたいところですね。


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再びクロップモードで撮影。並のカメラなら遠くて小さな被写体がグズグズになってしまうようなシーンですが、カリッと描写しています。よく見るとロープまでしっかり解像していますね。波の立体感の再現も素晴らしい。

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最近のカメラはISO 3200やISO 6400は当たり前のように使えます。ならばISO 12800の超高感度はどうかと夜の街に出ると、ちょうど夏の夜まつりをやっていました。町内会の重鎮達が町の未来を眺めているかのようなシーン。パソコンのモニターで見ても十分な解像力です。ノイズ処理の次元がまた一段上がった印象ですね。しかもシャッタースピードは1/800秒ですから、更に暗いライブハウスなどでも重宝しそうです。

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さすがにISO 32000になるとノイズが目立ち始めますが、それでもこのクオリティを堅持しています。手持ち撮影でも絞る余裕さえあるのですから、心強いことこの上なしです。


  • PHOTO YODOBASHI先代と並べてみました。各部ほんの少しだけ大きくなりましたが、グリップの大型化は大歓迎。フルフレームカメラとしては依然としてコンパクトです。
  • PHOTO YODOBASHIAF-ONボタンも更に押しやすくなっており、マルチセレクターの形状も変更され操作性が向上しています。
  • PHOTO YODOBASHI露出補正ダイヤルにはダイヤルロック解除ボタンが新設されました。後部ダイヤルも露出した分、指がかりが向上しています。
  • PHOTO YODOBASHIカードスロットは両方とも「UHS-II SD」に対応。並びもようやく一般的になりました(笑)。

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スリル漂う至高のリアリティ。死角も無し。

全ては作例が語ってくれていますが、私はそれを見た当初、恐怖と興奮を足して2で割ったようなスリルを感じました。「素晴らしい」「高画質」などと評価する以前に、本能的にゾクッと来てしまったのです。そして、本物とはそういうものなのかなと思います。カメラマンのZ IIもいつにも増してダジャレにキレがありませんでしたが、それほどα7R IVの画作りに心を奪われたのです。このアウトプットなら300dpiでB2サイズも余裕で印刷できますし、トリミング耐性も非常に高いものがあります。

ここまで画質を極めるためには犠牲も多かろうと考えるものですが、α7R IVは他の35mmフルフレームカメラと同じように扱えるイージーさも、ちゃんと持ち合わせています。俊敏で食いつきの良いAF、動体撮影にも十分な連写能力、パワフルな手ブレ補正、豊かな階調性、十二分な高感度耐性、そして格段に見やすくなったEVFなどのおかげで、6100万画素であることを特段意識しなくても、あっけなく撮れてしまうのです。高画素は手ブレも気になるところですが、新開発の低振動・高耐久シャッターも効いているのでしょうね。

ちなみに、冒頭のモスクのショット。実は「ピクセルマルチシフト」でも撮影しているのですが、カメラマン曰く「合成すると変になった」とのこと。なんと、僅かな風でシャンデリアが揺れていたのです(笑)。ソニーに電話で確認したところ、一部の商業撮影を主な用途に考えているとのことです。無風、無振動の状況での静物撮影となると、例えば博物館の貴重な所蔵物などの撮影が思い浮かびます。私にこんな機会はないですが、若冲の絵や西陣織などはこのカメラで記録したいものです。

動画に関してひとつ。連続記録時間がα6400同様、無制限になりました。今までは30分を超えるとEU圏内ではデジタルビデオカメラと分類され、その分の関税上乗せを避けるために30分に限られていました。その制限が今年めでたく解除されたのです。これは大きいですよね。

α7R IVがあれば、シャッターを押すだけで、6100万個の画素たちが総出で丹念にキャプチャしてくれます。一日も早く、その底しれぬ画力に酔いしれてください。

( 2019.09.08 )

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泣く子も黙る、怒涛の6100万画素。画質を追求する人への究極のソリューションが、ここにあります。α9クラスのお値段ですが、リターンも大きいでしょう。

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言うまでもなくスペアは必要です。何個でもどうぞ。

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2個のバッテリーを装着可能。親指AFボタンやマルチセレクターも搭載しています。

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背面液晶は第二のファインダー。守ってあげましょう。

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α7R IVは「デジタルオーディオインターフェイス」も搭載。こちらのマイクと組み合わせると、音声をデジタル信号のままカメラに伝送してくれるので、音質劣化がありません。

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外付けストレージも必要かもしれませんね。SSDなら大きなデータも快適に扱えます。

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