PHOTO YODOBASHI

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売るためのジャケットデザイン

「本が売れるかどうかは、結局、表紙のデザインにかかっているんですよ」と、出版社に勤める知り合いが言っていました。もちろんいちばん大事なのは中身でしょうが、それは大前提。その上で「この本をどうやって売るか」を考えた時、タイトルも含めた表紙の果たす役割は極めて大きいはずで、まったく頷ける話ではあります。いや、中身がぜんぜん大したことなくても、人目を引くタイトルと表紙デザインがあれば売れちゃうかもしれない。レコードやCDもまったく同じで、「売るためのツール」としてのカバーアートが求められるのは当然。デザイナーが仕事をする目的だって、最終的にはその一点に帰結します。

ヒプノシスのカバーアートについて、「レコードジャケットを単なる販促用のデザインから芸術の域に高めた」みたいな評価をよく目にするのですが、それはちょっと違うんじゃないかなあと思います。ヒプノシスが手がけたものだって「販促用のデザイン」に変わりないんですよ。ただ「?」という要素を入れただけ。「何だコレ?」って、疑問を抱かせる。そうやって強く印象付ける。合理的で、とてもよくできた販促です。「芸術性が高い」というより、「売る気まんまん」のデザインに私には見えます。レコード会社としても、「このレコードを売るためにはヒプノシスのカバーアートが必要だ」、さらに転じて「彼らに任せておけば間違いない」みたいな状況だったことは、なんとなく想像がつくというものです。

PHOTO YODOBASHIヒプノシスのお三方。左から(たぶん)ピーター・クリストファーソン、オーブリー・パウエル、ストーム・トーガソン。

「売るためのカバーアート」についてさらに付け加えると、彼らは中身の音楽を聴かずにジャケットをデザインするのが普通だったようです。きちんと音楽を聴き込んで、なんならそのアーチストの精神世界までも理解した上で、もっとも適切なデザインを起こすのがプロの仕事じゃないの? という意見もあると思いますが、いちいちそんなことをしていたらあの仕事量はこなせなかったでしょうし、彼らがユーミンを聴いて「この曲の歌詞が切なくていいんだよな〜」なんて言っているところは、ちょっと想像ができません。「よくわかんないけどさ、売れりゃいいんでしょ?」という、ゴールまでを一直線につなぐ割り切り(あるいは開き直り)もまた、まさしくプロの仕事だと思うのです。

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ヒプノシス自身が語るデザイン秘話。おー、こんな本が、しかもちゃんと日本語訳であったのか。欲しいけど、いいお値段しますなあ。

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「狂気」ぐらい、さすがに聴いてますよ。ま、教養ですよね。フフ・・・なんて言ってみたくないですか? お若い人。

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このジャケットめっちゃ好きです。でも、もし私がレコード会社の重役だったら、やっぱり反対しますね。

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「ヒプノシス」で検索するとやたらいっぱいコレが出てくるのですが、こっちのヒプノシスとあっちのヒプノシスは、何の関係もありません。

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