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じゃんけん ジャケ買い ムール貝

じゃんけん ジャケ買い ムール貝
第4回

Roberta Flack “Quiet Fire”
(2022年7月、埼玉県さいたま市にて発見)

今回のジャケ買いはロバータ・フラックです。はい、大御所来ました! 米国が産んだ偉大なディーヴァのお一人でございますね。1937年生まれの85歳、現在でもお元気に活動中であります。「名前は聞いたことあるような気が・・」、あるいはもっとストレートに「そんなヤツは知らん」という人でも、おそらく「KILLING ME SOFTLY WITH HIS SONG」(邦題:やさしく歌って)という曲を聴けば、「あー、はいはい、アレねー」となるに違いありません(さすがに10代、20代の読者には通用せんかも)。

どこにいても大抵ラジオをつけっぱなしにしておるのですが、そこから流れてくる最近の米国のヒットチャートをぼんやりと聴いていて、「ロバータ・フラックっぽいな」と思った曲が、ここ何週間かの間にいくつかあったんですよね。いや、実はぜんぶ同じ曲だった可能性もありますが。「っぽい」というのは、曲が、ではなく、歌唱法が。パワフルではなく、かといって繊細でもなく、そのちょうど中間。声が一つずつゆっくり、丁寧に口から出て、すーっと尾を引いて消えていく感じ。張り上げるところも、声をただ遠くまで飛ばすのではなく、イチローのヒットみたいに然るべき場所に正確に置いていく感じ。まぁ、彼女たちがロバータ・フラックを意識しているか(もっと言えば、知っているか)どうかはともかく、直接的、間接的に影響を受けていても何ら不思議はありません。そのぐらいの大歌手であります。

と、ロバータ・フラックについて偉そうに語っておりますが、実はあまりよく知らんのです。なので今回のジャケットをレコード屋さんで見つけた時、それは彼女のオリジナルアルバムではなく、あとから(それも彼女の預かり知らぬところで)作られた企画盤、あるいはブートレグの類だと思いました。だって、そうとしか見えなかったんですもの。しかしこれが、れっきとしたオリジナルアルバムだったのですね。

それがこちらです。