FUJIFILM XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

非球面レンズ3枚、EDレンズ2枚を採用した9群10枚のレンズ構成。こう聞いてこの大きさ？と驚くほどコンパクトなレンズ「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」のレビューをお届けします。本レンズは全長44.2mm（電源OFF時）、135gと文字通り軽量コンパクトな標準ズームレンズです。また、出番の多い広角23mmから中望遠69mm相当の画角をカバーしていますから、風景からポートレートまでなんでもこなせるオールラウンダーと言えるでしょう。フジフイルムのXAシリーズ最新ボディでは、カメラ本体の背面液晶が180度回転しますから、本レンズの広角側を使用すれば、セルフィだって簡単にできます。また、沈胴構造を採用した電動ズームレンズですから、電源をOFFにした際には非常にコンパクトでカバンに入れる際にも場所を取らず、付けっ放しの常用レンズにはもってこいです。こんなに小さくても光学式の手ブレ補正機能も搭載していますから、さまざまなシーンで安心して手持ちでの撮影を楽しむことが可能です。さっそく作例をご覧いただき、そのポテンシャルをご確認ください。

( Photography : KIMURAX / Text : Rica )

陽に照らされている部分はちゃんと抑制され、一方で陰の部分は自然な階調を保ちながら、その細部をしっかり描き込んていますね。絞り開放から明暗バランスよく描き分けつつ、ヌケのよさを感じさる画は好感が持てます。フルサイズ換算でおおよそ50mmあたりでの撮影。電動ズームということで、焦点距離を決め打ちでということには向きませんが、液晶モニターを見ながらいい塩梅のフレームを見つければいいだけのこと。そこも含めてズームレンズの自由さ楽しさではないでしょうか。

カメラのセンサーサイズに負う部分もありますがトーンも豊富ですね。メリハリの効いた色再現で空の奥行きをより深く感じることができます。AFも十分にテキパキと反応するので快適です。

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白ペンキで塗りつくされた壁、ドア、窓枠。白は白ですが、多分に空の青が影響し、色づき始めた陽の色もどことなく感じさせる色合い。いいと思います。

照明が近かったこともあり、カメラの背面液晶では少々白く飛んでいたように見えていたので「ま、雰囲気で」という気分で撮っていた一枚。ところがどっこい、しっかりと淡いピンクのトーンが粘っているではありませんか。

最短撮影距離は広角側で13cm、望遠側でも35cmと、かなり寄れるのは本レンズのアドバンテージでしょう。ワイド端（23mm相当）での撮影ですが、被写体にしっかり寄ればそれなりに背景も柔らかくできますから、これは表現の幅が広がるというものです。最短付近の撮影でもまったく収差を感じさせず、この解像感はなかなかのもの。いやかなり大したものだと感心した次第です。

本レンズの解像感は遠景でも存分に得られます。曖昧にならずに、平坦にならずに、よくも絞り開放からトップギヤの写りを見せてくれるものです。

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小さく軽くよく写る！

「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」は、Xシリーズ用のズームレンズとして最小・最軽量。手のひらにのせても余るくらいのコンパクトさでありながらも、何ら不満のない非常にバランスのとれた描写をします。最短撮影距離は広角側で13cmとグっと被写体に迫った撮影も可能ですから、旅先での食事や小物などの撮影にもぴったりです。高い解像感、またコントラストも良好で、どんなシーンを撮影しても引き締まった描写が得られ、シャドーからハイライトまでのトーンの連なりもなめらかですから、ポートレート撮影にもチャレンジしたくなります。動画向けともいえる電動ズームは、電源をONにすると撮影可能な位置までレンズが繰り出すため撮影を始める際に若干の時間を要しますが、これだけコンパクトなレンズですから、そこはゆったりとした気持ちで撮影に臨んでいただければと思います。もちろん、AFの精度はまったく問題なくしっかりと狙った被写体に合焦しますのでご安心ください。小さくて軽く、これだけの描写力ですから、いつも持ち歩いて気負わずにいつもの日常を撮影するのにぴったり。XAシリーズのキットレンズとなっている本レンズですが、キットレンズだからと侮ることなかれ。必要十分、いや、それ以上の描写で頼れる相棒になってくれるはずです。

( 2019.12.27 )