PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM XF16-80mmF4 R OIS WR
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
フジフイルムの新たなズームレンズ「XF16-80mmF4 R OIS WR」のレビューをお届けします。本レンズは、ズーム全域でF4通し、35mm判換算で24-122mm相当の画角をカバーする光学5倍のズームレンズです。レンズ構成は12群16枚。非球面レンズ、EDレンズを採用し、画面の中心だけでなくすみずみまで高い解像力を発揮するため、その形状と配置を最適化。球面収差や像面湾曲も抑制されているとのことです。また、最短撮影距離はズーム全域で35cmと短く、最大撮影倍率は0.25倍。近接での撮影も可能で、24-122mm相当のズーム域と併せ非常に幅広い撮影が可能となっています。光学5倍のズーム域を持ちつつも、全長88.9mm、重量は440gと軽量コンパクトですから、常用レンズとしても高い機動力を発揮してくれそうです。ではさっそく作例をご覧になっていただきましょう。
( Photography : KIMURAX / Text : Rica )
テレ端の画からご覧いただきましょう。絞り開放での撮影ですがF4ですからね、背景は大ボケしてくれません（笑）。とはいえ少年の足元をご覧いただくと、そこから半径5～60cmのあたりからデフォーカスエリアが始まっています。先を歩いていたお父さんに呼ばれ急に走り出したところでしたが、AFはシャッターボタン操作に瞬時に反応し、確かなフォーカスで捉えてくれました。ところでこの場面、手持ち、テレ端122mm相当、被写体急に動き出す、という手振れを誘発する要素満載ですが、そんなこは微塵も感じさせない端正な写り。内蔵の手振れ補正の効きはかなりのものですよ、これ。
こちらもテレ端。このあたりの画角はポートレートにはうってつけでしょう。絞り開放からビシッとシャープな像を結びますが、硬すぎないところがいいですね。日焼けしてちょっと乾燥気味の肌だけど、若々しい張り感はちゃんとあるよ、ということが伝わる質感表現、いいですね。
左の女性にピントはきていません。なぜなら、天気はよかったものの切れ切れの雲の流れが速く、路面に落ちたシャドーの表情がみるみる変化していたところをじ～っと狙っていたものですから。それなら動画で撮りなよって突っ込まれそうですがね（笑）。そこへ女性が偶然フレームインしたところ。等倍鑑賞なんてしなければピントが来てる来ていないと一喜一憂しなくても済むのでは？ それはさておき、柔らかいシャドーのトーンも巧く表現しているあたりには好感が持てます。
手振れ補正の効きを確認すべく、少々ラフに右手だけで数枚撮ったうちの一枚ですが、まぁとにかくよく止まるものです。
錆の質感、じんわりと広がる赤茶のグラデーション。おしゃれでも、きれいでもない被写体ですが、絞り開放からあるがままの様子を克明に描き込んでいます。
役目を終えた椅子たちですが、これはこれでアートの雰囲気すら漂います。
ごちゃごちゃした周辺を少々整理したので焦点距離21㎜での撮影ですが、歪曲も感じられませんね。
ワイド端のパースペクティブ表現は、肉眼で見上げた時に思わず「ワァ～」と心が動かされた瞬間の感覚を画で表現しているかのようです。
輝度差のあるシーンですが、明暗バランスよく写し込んでいますね。こちらも当然のごとく絞り開放なのですが、鉄柵の一本一本までキリっとシャープに解像しているのには驚きます。絞り要らずとはまさにこのことでしょう。
テレマクロ風を狙ってみました。最短＆開放となるとボケもそれなり大きくなり魅力的ですが、前後のプルンとした水敵の表情もこれまたよく、欲張ってF8 まで絞っての撮影。ピント面のシャープさも手伝いこれまたなかなかの立体感ではありませんか。どれどれとパソコンで原寸表示してみると、蘂の解像感に思わずドキッとさせられました。
この一本であらゆる被写体に挑める万能レンズ
本レンズは6段分の強力な手ブレ補正を搭載しており、特にブレてしまいがちな近接撮影や望遠側での撮影も、手持ちでカジュアルに行うことができます。暗い屋内や夜間の撮影でも力強いサポートとなってくれるでしょう。描写は非常にシャープでコントラストも良好。さまざまな被写体の質感をしっかり描き分けた上で、シーンごとの空気感も捉えてくれますから、本当に何でもない被写体を撮っても、雰囲気よく仕上がります。8割がた開放F4での撮影カットとなっていますが、解像感にも何ら問題は感じません。望遠側で前ボケを生かした撮影をするもよし、ググっと被写体に迫って背景ボケを楽しむもよし、ボケ量もほど良くナチュラルで、どんなシーンでも扱いやすいと思います。絞れば非常にキレのある引き締まった描写で、ビル群や大自然のランドスケープ撮影にも良さそうです。インナーフォーカス式を採用しているため撮影時の重量バランスも変わらず、静かで正確なAFも手伝って、リズムよく撮影することができるのも魅力です。もちろん、「WR」の名の通り、鏡胴の10ヶ所にシーリングを施した防塵・防滴、マイナス10度の耐低温構造を採用していますから、多少の天候の変化もへっちゃらです。ズーム域も広く、ググっと寄れて、不安定な天気にも安心な万能レンズ。旅先への携行にもオススメの一本です。
( 2019.09.26 )
F4通しのコンパクトな5倍ズームの登場です。ミラーレス史上最大6段手ブレ補正機能を搭載。マクロ撮影にも強く、動画適性にも優れ、これ1本で幅広い撮影領域をカバーできます。
衝撃や汚れに強く、「強化ガラス」「ジュラルミン枠」「ダストフリーコート」「ZRコート」「ガラス外周墨塗り加工」の5つの主要な機能を持つ保護フィルターです。汚れ・キズ・衝撃からレンズを保護し、無色透明ですから可視光に影響を与えることもありません。