PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden

Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

富士フイルムXマウント専用として設計されたMACRO APO-ULTRON 35mm F2を紹介します。画角はフルサイズ換算で52.5mm相当、最短撮影距離0.163mで最大撮影倍率1:2のマクロレンズ。開放値F2とマクロとしては大口径なレンズですが質量265g、全長54.8mmとコンパクトにまとめられています。描写は、異常部分分散ガラス3枚を含む6群9枚のレンズ構成、アポクロマート設計により軸上色収差及び倍率色収差を徹底的に抑制することで開放から高解像度を実現。フロントフォーカス方式(前4群6枚を前後させる)により全ての距離での高画質を担保しているとのこと。また丸いボケを考え10枚の絞り羽根を持ち、大口径のクローズアップ撮影で気になるボケにも配慮されています。マニュアルフォーカス(MF)、そして絞りを直接操作できるマニュアル絞り(1/3クリック)を装備し、操作感をダイレクトに味わうことができる本レンズでマクロの世界から日常の風景まで、使い心地、写りをじっくりと試してきました。

( Photography & Text : A.inden )

FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden

絞り開放、最短撮影距離0.163mで撮影。撮影倍率は1:2ですが、センサーサイズがAPS-Cのため数値より倍率が高い印象を受けます。開放でここまで寄るとピントはかなり薄くなり慎重なピント合わせが要求されますが、フォーカスリングの回転角度が大きいため、余裕を持ってピントを合わせることができました。

FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden

細部まで丁寧に加工された金属の質感が感じられる繊細な写りです。開放での描写は解像感を強調したものではなく、豊かな階調で丁寧に描いていく印象です。

FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden

発色は目に見えている色をそのまま再現しており自然な印象を受けます。

FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden

開放では周辺に口径食が見られます。本レンズは絞り羽根10枚と丸い絞りにこだわった作りです。周辺まで丸いボケが必要な場合は少し絞ることで綺麗な円が得られます。

FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden


FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden

コントラストはそこまで高くない印象ですが、豊かな階調で描かれた立体感のある描写ではないでしょうか。マクロとネーミングされていますが、引いた画も開放からクリアな写りです。

FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden

マクロ領域以外でも大きなボケ量が得られます。柔らかでクセのないボケ味なので画面構成のアクセントの一つとして使いやすいのではないでしょうか。

FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden

FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden

本レンズの特徴は軸上色収差及び倍率色収差を徹底的に抑制したアポクロマート設計とのこと。自分なりに考えられる様々な条件で試してみましたが、色の滲みを出すことはできませんでした。完敗です。

FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden

若干湿気を感じるウエットな写りがいいスパイスになり、日没間近のゆったりと流れる時間がうまく表現できています。

FUJIFILM X-T4, Voigtlander MACRO APO-ULTRON 35mm F2, Photo by A.Inden


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独自の描写を持つマクロレンズ

滑らかな階調で画を紡いでいく、しっとりとした写りのレンズ。かなり好みの描写でした。レンズの描写は条件によって変わることが多いですが、本レンズは作例の通り異なる条件でも「しっとり」とした描写は変わることなく、それがスパイスとなりレンズの味になっているのではないでしょうか。レンズ設計のことは分かりませんが、同じ描写のレンズを選ぶ参考になるかとレンズ構成を確認してみると2つの特徴がありました。それは非球面レンズを使っていないこと、アポクロマート設計であること。非球面レンズが一般的でなかった時代、球面レンズだけで構成されていたレンズで撮られた写真から感じた温もりが思い出され、筆者の琴線に触れたのかもしれません。レンズの味というのは感覚的なものですが、本レンズは分かりやすく感じられると思います。オールドレンズをふとイメージさせる写りですが、そこは2022年発売のレンズ。クリアで抜けの良い描写は最新のデジタルカメラにも対応しています。

デジタルになりRAW撮影で現像することで、写真に雰囲気を出すことはできます。しかしながら、そこはあくまでも雰囲気。光学設計でもたらされた、じんわりと心に響いてくるような味のレベルには追いつかないでしょう。35mm、F2の単焦点としては一般的な仕様のレンズですが、後処理要らずで写真にスパイスを加えられる個性があります。この先、写真ライフを楽しむ貴重な1本になることでしょう。

( 2023.01.19 )

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ボケ味にもこだわった開放値F2の大口径マクロレンズ。

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被写体にグッと寄るマクロレンズ。レンズ前にプロテクトフィルターがあれば安心です。

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