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FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAK

LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO vol.1 vol.2

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「LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO」はフルサイズ換算で50mm相当の画角を持つ標準レンズで、APS-Cフォーマットに対応しています。むろん最大の特徴はF0.95を誇るハイスピードです。今回ご紹介するのは富士フイルムXマウント用ですが、同マウントでは最も明るいレンズということになり、相当量のボケが期待できます。33mmという焦点距離では、純正の「XF33mmF1.4 R LM WR」とトキナーの「atx-m 33mm F1.4 X」が存在します。本レンズはマニュアルフォーカス専用で、サイズや価格をフレンドリーにしつつボケを最優先させた製品といえるでしょうか。早速作例をご覧ください。オール開放です。

( Photography & Text : TAK )

FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAK

やはり、さすがのボケ量ですね。そして予想以上に柔らかくとろけるような味わいです。人物撮影でソフトな雰囲気にしたい場合など、うってつけではないでしょうか。インナーフォーカスの採用でピントを変えてもレンズ長は不変なので、取り回しが良いのもポイントです。

FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAK

少し距離を取ってみましょう。前後をぼかして主役を引き立てる力もF0.95ならではですね。色収差が効果的に抑えられていることも貢献しているのだと思います。大口径ゆえの「危うさ」が皆無だとは申しませんが、うまく残してくれていると言えます。古い公園の退廃感。草花の生命力。本レンズの特性によって、その両方が描かれているように思います。色再現やコントラストはニュートラルで、誇張がないぶん使いやすい印象です。

FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAK

複雑な造形でもうるさくなることがなく、まさに「ふわっふわのとろっとろ」です。深度の繋がりも自然で、ピントまでの距離感もしっかりと伝わってきます。液体の中に浮遊しているような感覚もあり、この中にいたら気持ち良いだろうなと思ってしまいました。見たままを伝えるレンズも必要ですが、夢を見させてくれるようなレンズがあると交換する楽しみも増えますよね。

FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAK

逆光で開放という条件では、日輪のような美しいフレアが出ます。これは飛び道具として積極的に活用したいものです。フレアが出るか出ないかではなく、出ても美しいかで勝負するレンズがあってもよいのではないでしょうか。なお、F1.4からF2あたりからフレアは消えてピントもコントラストもしっかりしてきます。

FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAKまさに「blessed」という言葉が似合います。周辺減光は思いのほか控えめです。


FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAK

ピントを見ていきましょう。元々低光量下での撮影を想定して設計されているぶん、開放、晴天という条件では若干甘めになるようです。ただこれはこれで絵画的で面白い描写です。ピント位置もあえて中距離にして限界を探ったのですが、前景や後景から浮かび上がるのが分かるレベルには十分達しています。F0.95で大暴れすることもなくしっかり撮れるという事実を評価すべきでしょう。電子シャッターの超高速シャッターを活用すれば日中でも開放撮影が可能です。

FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAK

こちらは光量もだいぶん落ち着いたシーンです。やはり「のけぞるほどシャープ!」というより、十分に解像しながらも雰囲気を柔らかく出していく路線のように見えます。実際このカットを撮影中、「幽玄」という言葉が心に浮かびました。物事を明確に定義し説明し尽くすというよりは、何かを示唆するような表現において本領を発揮してくれるレンズなのかもしれません。

FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAK

こちらも十分にシャープでありながら、柔らかさも伴っています。屋内のディスプレイにもかかわらず、どこかしっとりとした雰囲気です。細かく見ていくとフリンジが認められますが、ボディ側補正非対応レンズの結果としては出来過ぎではないでしょうか。価格も考慮すると、もはや文句のつけようがありません。


FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAK

見ていて気持ちの良い、豊かな階調表現です。光がなくなるほどに、硬すぎないことがプラスに作用してくるのかもしれませんね。

FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAK

夜間のこんなシーンで、最低感度で1/30秒が切れました。まさにF0.95の真骨頂です。目で見たままかと問われても自信を持って「そうです」とは言えないのですが、どう解釈してくれるかを試すのが楽しいレンズであり、このレンズでしか写せないものがあることは確かです。

FUJIFILM X-T4, LAOWA Argus CF 33mm F0.95 APO, Photo by TAK


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コスパ高し。楽しみ拡がるF0.95。

絞りリングの必要性すら疑いたくなるほど、絞りを開けるのがとにかく楽しいレンズです。今の時代にここまで柔らかな表現ができるレンズは貴重ですよね。ご覧になっている方はメインの50mm相当を既にお持ちかと推察しますが、「もう少し優しさが欲しい」「写りすぎなくていい」「暗いところも撮りたい」といったニーズに本レンズはぴたりとハマってくれるのではないかと思います。また、現代的描写とクラシカルな描写がうまく融合していながら、オールドレンズほどの扱いにくさはないのも好材料です。全科目満点の優等生ではないかもしれませんが、写真ってそれだけではありませんよね。クリアで洗練された表現もあれば、個性でもって心に訴えかけるような世界もあります。そのどちらも選べたら、写真はもっと楽しくなるのではないでしょうか。もちろん絞ればシャープに写ってくれますよ。ただ、F11までしか絞れないのはご愛嬌ということで。そもそもこのレンズで絞っても、ね(笑)。あともうひとつ。絞りリングにクリックがありません。動画撮影には不可欠な仕様ですが、いつの間にか回っていて気付かぬまま撮影していたことが何度かありました。開放オンリーでお臨みの際はテープ等で固定されることをお勧めします。備えあれば憂いなし。本レンズの美味しいところを心行くまでどうぞご堪能ください。

( 2022.06.23 )

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Xマウント最速の標準レンズ。それだけで使う価値があります。富士フイルムXマウントのほか、ソニーEマウント、キヤノンRFマウント、キヤノンEF-Mマウント、ニコンZマウント用がございます。

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フィルター径は62mmとなっております。

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日中、開放でアンダーで撮影する場合は、1/32000秒でも足りないことが結構ありますので。

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絞りリングの固定にどうぞ。定番の堀内カラー製です。

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