PHOTO YODOBASHI

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FUJIFILM X-T4, SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary, Photo by TA

SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

SIGMAから、富士フイルムXマウント用のレンズがついに登場しました。先陣を切って登場したのは、かねてより他マウント用で人気を博しているContemporaryライン16mm、30mm、56mmの3本。いずれも開放F値は1.4の大口径で、ミラーレスカメラの利点でもあるカメラ内補正を利用することによってコンパクトなレンズを実現しています。他マウント用のレビューは、既にPYでもご覧いただいているかと思います。いずれのレンズも開放からキレのあるメリハリの効いた描写と、ボケの美しさが際立つレンズばかり。この3本で、おおよそシステムとして完成してしまうところも嬉しいポイントではないでしょうか。今回はその中で標準域を担う30mmをご紹介したいと思います。Xマウントで本レンズを使用するとフルサイズ換算で45mm相当の画角となり、軽量さも手伝って常用レンズに良さそう。発色の良さが印象的な富士フイルムのカメラにマウントさせるとどんな化学反応を見せてくれるのか楽しみです。

( Photography & Text : TA )

FUJIFILM X-T4, SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary, Photo by TA

35mm〜40mmの画角なら、画面にきっちり収まるようにフレーミングしたくなる衝動に駆られますし、50mmの画角だと一歩踏み込んだり、引いて広角的な捉え方をしてみたくなります。45mmは不思議なことに、そのどちらでもないような気がしました。難しいことは考えず、軽快に日常を切り取っていくのが楽しいのです。目にした光景をそのまま写し込んでみたのが上のカット。それぞれの質感がよくわかる写りで、ガラス、年月を経た紙、フリンジの柔らかい手触りまで伝わってくるようです。

FUJIFILM X-T4, SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary, Photo by TA

ワーキングディスタンスは焦点距離30mmレンズのそれそのもの。頭の中でイメージする45mmの画角よりもパースは強めに出る印象で、これがなかなか面白いのです。このあたりも、気負いのないカットを撮りたくなる要因の一つかもしれません。硬質なものにレンズを向けてみると、精緻で画に厚みを感じます。

FUJIFILM X-T4, SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary, Photo by TA

AFのレスポンスも良好。軽量さも手伝ってテーブルフォトもお手の物です。着席したまま「さっと撮ってさっと仕舞う」ができるレンズかと。

FUJIFILM X-T4, SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary, Photo by TA

ピントピークのキレの良さはシグマならではでしょうか。雑味がなくクリアーで抜けの良い描写です。コントラストも良くまとまっているのですが、シャドーの描き方が極めてリッチ。その場の湿度まで写し込んでくれるレンズです。

FUJIFILM X-T4, SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary, Photo by TA

画面左側に写っている木々の葉と、画面右側の葉の含有している水分量の違いまで見てとれますね。この一枚から緩やかな「動」を感じるのは、F1.4の開放値と45mm相当の画角あってのことかもしれません。

FUJIFILM X-T4, SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary, Photo by TA

少し絞り込んでみました。寸分の隙もない写りで、濃淡の描き方も素晴らしいの一言。雲の表情までよく描かれていると思います。

FUJIFILM X-T4, SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary, Photo by TA

フレームいっぱいに詰め込んでも面白いのです。

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被写体にぐっと近づいてマクロ的な使い方も。オーリンズの刻印の凹凸まで再現されています。


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見せたい部分はキリッとシャープに。アウトフォーカスになった部分は流麗で画に彩りを添えてくれます。暑からず寒からずの清々しい日和でしたが、その様子がよく伝わる描写ではないでしょうか。色収差もよく補正されていると思います。

FUJIFILM X-T4, SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary, Photo by TA

拡散された光の下で強烈な煌めきに対してレンズを向けています。淡く色が抜けてしまうようなこともなく隙が見当たりません。距離に関わらず前後のボケも優美なもので、ともかく何を写しても優秀です。

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このようなシーンで歪曲があると水平垂直も出し辛くなるものですが、本レンズは真っ直ぐに線を描いてくれるので画が決まりやすいと思います。後からソフトで補正する手間もかかりませんし、このあたりもカジュアルに扱える所以でしょうか。シャドー側にも粘りが感じられ、本レンズのポテンシャルの高さがうかがえます。

FUJIFILM X-T4, SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary, Photo by TAハイライトに透明感があるので人物撮りにも。浅い被写界深度が、見せたい部分を引き立たせながら全容を柔らかく描いてくれます。ボケすぎないという点も扱いやすさに一役買っているのでしょう。

FUJIFILM X-T4, SIGMA 30mm F1.4 DC DN | Contemporary, Photo by TA

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何よりカジュアルに扱えるのが心地良い

軽量かつ軽快。カジュアルに扱えるのが良いなあと撮影中は思っていたのですが、帰宅して描写を確認してからは、"カジュアルに扱ってすみません"と猛省した次第です。これはカメラ側の性能も相まってのことかもしれませんが、シャドーの描き方がリッチでハイライトに透明感がある。全体として画に厚みを感じるのです。そして表現の振れ幅が大きい。これは撮り手に従順で、一歩踏み込んで撮れば、それ相応かそれ以上の結果をもたらしてくれるレンズだということです。シグマらしい切れ味の良さは健在ですし、そのうえ優美なボケが印象的。ともかく何を写しても優秀です。使い心地はカジュアル。でも仕事は一級品。このシグマ節を一度でも味わうと、もう戻れないかもしれません。

( 2022.06.06 )

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使い心地はカジュアル、でも仕事は一級品の大口径標準レンズ。もはや万能です。価格は、、、なんと4万円を割っているではないですか。ご決断はお早めに。

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カジュアルに扱えるが故に、うっかりがあるかも。しっかりとプロテクターで保護しましょう。

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