PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporary

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

シグマからいよいよと申しますか遂に、富士フイルムXマウント向けレンズが登場しました。しかも、16mm、30mm、56mmの3本をドンと同時に。早速今回レビューをお届けするのは、その中で最広角ポジションの「SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporary」です。かねてよりソニーE、マイクロフォーサーズ、キヤノンEF-M、ライカLの各マウント向けがリリースされている16mm F1.4。リーズナブルながらその優れた描写性能から、コストパフォーマンスの高さが話題となりました。もしかするとXマウントユーザーの中にも、本レンズの存在が気になっていたという方もいらっしゃったのではないでしょうか。フルサイズ換算で24mm相当となる本レンズの光学系にはFLDガラス3枚、SLDガラス2枚、非球面レンズ2枚を使用。柔らかなボケ味が期待できる9枚の円形絞り。ステッピングモーター採用のAFにおいてはXマウント化に伴い、駆動や通信速度を最適化する専用のアルゴリズムを開発したとのこと。全長92.3mm、重量405g。マウント部にはゴムシーリングを施すという念の入れようです。

( Photography & Text : KIMURAX )

いきなりですが絞り開放で逆光という、かなり厳しい条件。これはもう悪意と受け取らても仕方ありませんね(笑)。 ところがどうでしょう。どちらかと言えばコントラスト高めの描写をする印象ですが、明暗の均衡をしっかりと保っています。解像感たっぷり、空の階調もしっかり豊かに再現しているではありませんか。ゴーストやフレア、周辺減光が盛大になっても何ら不思議ではないシチュエーションですが、破綻の欠片もないほど。強いて言えばわずかにフレアが感じられる程度で、そのさりげなさが春のほんわかとした空気感を巧く醸し出しているようにも感じます。

主役に近づいて行けば、広い画角を適度に抑えることができます。自然で滑らかな前ボケとも相まって、キリっと解像された花弁がより立体的に浮かび上がってくるようです。その一枚一枚の表面の微妙な起伏までも緻密に描き込んでいるのが見て取れます。

本レンズの最短撮影距離は25cmと寄れますが、こうやって見ると近接性能の高さが窺えます。金属の質感表現、潤いをほとんど失った花びらの表情はリアルそのもの現実。片や超広角レンズらしいデフォルメとF1.4のふんわりとしたボケ味は、不思議な世界観をもたらしています。


開放絞りがF1.4と明るいレンズなので、暗いシーンでも高感度に頼らず手持ち撮影が可能です。主役に近づけないという状況だからこそ空間を呑み込む広い画角を活かし、主役と静けさに包まれた空間というプラスアルファを一枚にしたためることができました。

超広角レンズは狭い空間や、これ以上下がれないという場所での撮影にも威力を発揮します。肝心な描写は、木の艶感とマット感といった風合いや、色合いも目の前にあるが如く。説明は不要でしょう。

広角系で気になる歪曲もしっかりと補正されており、単焦点レンズらしく綺麗にアウトラインを描いてくれます。


最短撮影距離での撮影ですが主要被写体の描写に綻び無しです。すこぶる立体感。よい塩梅のボケ量が、キリッと端正に捉えられた桜を引き立てています。花びらの淡い色合いも見事。

絞り開放でも四隅が乱れるようなこともなく、全面に渡って解像感たっぷり。


純正に劣らぬAF速度、精度。厳密に比較したわけではないのですが、とにかくストレスフリーな応答性でサクサク撮影が進みました。開放から周辺減光もまったく感じられず、直線は直線としてビシッと通します。

それにしても絞り開放からメリハリのある描写をするレンズですね。絞る必要すら感じません。

とはいえ念のため絞った画もお見せしておきましょう。感覚としてはすでにF4あたりで解像力のピークに達してる印象でした。複雑なものを複雑なままにきちっと捉える。これはこれでありです。


軽快なレンズなのでストリートスナップにもってこいでしょう。超広角ながら被写体に最接近せずにボケを味方にできるのですから、表現の幅が広いので楽しめます。

金属は金属らしく、ネオンはネオンらしく。輝度差はかなりありますがシャドーエリアはベタっと潰れることもなく、ちゃんと奥行きを感じます。

ラベルの紙自体の凹凸まで見事にキャプチャ。落ち着いたシーンでは、それに相応しい品のあるボケ味を添えてくれるので感じ入ります。


PHOTO YODOBASHI

ますます身近になった、表現豊かな超広角レンズ。

他のマウントのレビューもフォトヨドバシにて既にお届けしておりますが、今回の富士フイルムXマウント版も例外なく会心の写りを見せてくれました。フルサイズ換算で24mm相当の画角になるとはいえ、レンズ特性そのものは超広角16mmのそれです。レンズによっては随分と誇張された画になるなんてこともあり、超広角の使いこなしにはちょっと不安がという声もちらほら。その点、本レンズはそういった違和感がなく素直で自然なパースを表現してくれます。しかも明るい開放F1.4という隠し味までそなえているのですから、表現の幅までもが広いわけです。ところでXマウント純正レンズにおいては「XF16mmF1.4 R WR」の存在がありますが10万円オーバー。そこを超えるか超えないかというのは心理的なハードルだったりします(潤沢な軍資金があれば話は別ですが)。また、比較的リーズナブルな「XF16mmF2.8 R WR」が控えていますが、F値の明るさがもたらす表現の幅という点においても、今回試写した「16mm F1.4 DC DN | Contemporary」はかなり魅力的な一本に感じられるのではないでしょうか。それならズームレンズで、というお考えもあるでしょうが、作例カットのヌケ感を見てしまうとそこはやはり単焦点レンズだよなぁと思わざるを得ないのも確かです。そのあたりも色々と考え合わせると、F1.4の超広角レンズが描き出す世界を気軽に楽しめる一本として、本レンズの即買いは大いにありだと思います。

( 2022.04.26 )

Loading..
Loading..

シグマから満を持して富士フイルムXマウント用レンズの登場です。広角でもボケをあきらめたくない人へ。AFサクサクの大口径レンズで遊びましょう。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ホコリが付きにくい薄型タイプ。汚れやキズからもしっかり守てあげたいですね、シグマ純正で。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..