PHOTO YODOBASHI

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FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden

FUJIFILM XF23mmF1.4 R LM WR

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

富士フイルムXマウントに新たに加わった「XF23mmF1.4 R LM WR」は2013年発売のXF23mmF1.4 Rを大幅にリニューアルした第2世代モデルです。35mm判換算35mmという焦点距離は、日常的に使いやすい単焦点レンズ。富士フイルムは使用頻度が高い、ある意味ありふれた画角に、まったく新しい描写を持つレンズを送り出してきました。一番のポイントは極限まで収差を抑えるためレンズ構成が一新されたこと。描写の違いは作例だけでなく、評判の高かった初代との比較も交えてご紹介します。そして、使いやすさも向上しました。AFはインナーフォーカスになり、駆動には静音・高速に優れているリニアモーターが搭載されました。さらに防塵防滴機能も備え、最短撮影距離も短くなり、さまざまなシーンでその瞬間を撮り漏らすことがないようにブラッシュアップされてきたように感じます。撮影ニーズに合わせてフルモデルチェンジされた本レンズのレビュー、じっくり確認していただきたいと思います。

( Photography & Text : A.Inden )


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写真の左側が初代の「XF23mmF1.4 R」、右側が新たに登場した「XF23mmF1.4 R LM WR」となります。ご覧の通りフォルムが大きく変わっています。大きさ以外に外観からわかる変化は、初代についていたフォーカスリングの前後操作でAF/MFを切り替えできる機構が省略され、被写界深度目盛がなくなったことです。初代を使っていた身としては、この切り替えが機能あると便利だと感じてはいたものの、実の所、開放近くで三脚を使用しない時は使っていませんでした。描写に関わる変化は、レンズ構成が大きく変わったことと、絞り羽根が7枚から9枚に増えたことです。詳しくは下のスペック表をご覧ください。

製品名XF23mmF1.4 RXF23mmF1.4 R LM WR
発売時期2013年10月2022年2月
レンズ構成8群11枚(非球面レンズ1枚)10群15枚(非球面レンズ2枚、EDレンズ3枚)
焦点距離23mm(フルサイズ換算35mm相当)23mm(フルサイズ換算35mm相当)
画角63.4度63.4度
絞り7枚羽根(円形絞り)9枚羽根(円形絞り)
最短撮影距離0.28m0.19m
フィルターサイズ62mm58mm
サイズ最大径72.0mm × 全長63.0mm最大径67.0mm × 全長77.8mm
質量300g375g

実際の描写を比較してみました。本棚が解像度、ミニカーがボケ味・最短撮影距離の変化です。全て開放で撮影しています。(クリックで拡大されます)

  • PHOTO YODOBASHI[ XF23mmF1.4 R ]
  • PHOTO YODOBASHI[ XF23mmF1.4 R LM WR ]

開放での解像度を見ると新しいレンズの描写に驚かされます。初代も素晴らしいレンズで気に入って使っていただけに、ここまで違いを見せられると唖然とします。開放撮影ですが、中心から周辺まで同じ描写で極めてシャープ。そしてシャープさに透明感があるのです。例えるなら子どもの瞳のようなクリッとした吸い込まれるような透明感。レンズ設計でどういうマジックを使ったのかわかりませんが、確かに新しい表現を見せられたなと感銘を受けました。

  • PHOTO YODOBASHI[ XF23mmF1.4 R ]
  • PHOTO YODOBASHI[ XF23mmF1.4 R LM WR ]

ボケ味は初代の最短撮影距離0.28mで比べてみました。この距離でのテストを見る限りボケの傾向はほとんど同じようですが、ボケの量は新しいレンズの方が大きく感じられます。そして、四隅を細かく見ていくと新しいレンズは滲みが少なくスッキリとまとまっています。

FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden

新しいレンズの最短撮影距離は0.19mになりマクロのような撮影が可能になりました。開放での撮影ですが、ピントピークはシャープです。ボケ味も柔らかで、焦点距離23mmで撮ったとは思えないぐらい自然な描写です。


FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden

抜けの良い綺麗な発色です。青空と満開の菜の花のシンプルな構図で、春の訪れを感じさせる写真を狙ってみました。少し肌寒い陽気でしたが、柔らかい色合いで全体がまとまっており、春のようなポカポカさをうまく表現していると思います。

FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden

開放撮影ですが、ピントピークは砂の一粒一粒が感じられる素晴らしい解像感です。ほぼ逆光の条件のため、かなりオーバーな露出で撮影していますが、ハイライトは飛ぶことなく透明感を感じる絶妙な残り具合です。

FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden

ほぼ最短撮影距離でガラスのボールに張った氷を撮影しました。寄ることができるだけで、普通にそこにあるものが魅力的な被写体に変わります。

FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden

まだ湿気が残っている花びら、光沢のある少し厚みを感じる葉っぱ。この被写体に触れるとこう感じるだろうなというイメージが写真から伝わってきます。


FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden

35mm判換算35mmという焦点距離は標準レンズに近いパースと思われがちですが、ローアングルから被写体にグッと寄って撮影すると、広角らしいパースが得られます。この表現の自由度がこの焦点距離の魅力ですね。鉄板の道を強調するためかなりアンダーな露出ですが、暗部は潰れずに残っています。

FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by ”.Inden

F5.6まで絞ると手前の木々から遠景の街並みまでしっかりとピントがきます。遠景の描写もクリアで建物一つ一つの立体感が素晴らしいです。

FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden


FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden

高感度で撮影したい条件ですが、暗部のノイズを考え感度を抑えめで撮影しています。開放値がF1.4だと、手振れのことはあまり気にしなくてよいシャッタースピードで撮影できますね。本レンズには手振れ補正は搭載されていませんが、眼で感じられる夜景やイルミネーションを撮影するのであれば問題ないと思われます。夜景撮影で気になるコマ収差ですが、周辺までうまく抑えられているようです。

FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden

ひとつ前の作例と同じ場所でちょっと上を向いて、吊るされていた小さな蝶のクリスタルを撮影。最短撮影距離が短くなると、格段に撮影の自由度が広がります。背景のボケはクリスタルとブルーのイルミネーション。液晶で確認しながらレインボーの煌めきが感じられるカメラ位置でフレーム。透明なガラス、暗所とAFの迷う条件でしたが、狙ったところにスッと合焦しました。

FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden

ガラスのポットに入った小さな観葉植物。マクロのような撮影が可能とわかると、小さな被写体を探してしまいますね。色収差もうまく抑えられ色の濁りのないクリアな描写です。開放では周辺に口径食が見られます。

FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden

すっかりと日の暮れた路地裏。街灯の光だけではISO 800でもシャッタースピードが1/4秒。流石に手振れが心配なのでX-T4のボディ内手ぶれ補正をONにして撮影しました。シャープなのはもちろんですが、猫の毛一本一本が逆光で輝いていて、美しい描写にゾクっとしますね。

FUJIFILM X-T4, XF23mmF1.4 R LM WR, Photo by A.Inden


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徹底した収差の抑制が見せる新しい次元の描写

「収差を極限まで抑えた新設計」と謳う本レンズ。ならば先代よりもさらシャープになって、周辺まで均一な描写で輪をかけてよく写るようになったんだろうなと、まずは周辺までの解像度を確認すべく本棚を撮り比べたわけですが驚きました。作例はこれ一枚でいいんじゃないかと感じたくらいシャープなのはもちろんですが、なんとも言えない透明感のある描写でした。収差を徹底的に抑えるということは、描写から雑味が消え透明感につながっていくのだなと。おそらく、澄んだスープを作るには丁寧に調理して徹底的にアクを取る、それに通じるものがあるのかと。

本レンズはAFが高速で静かになり、最短撮影距離は縮められ、防塵防滴機能が搭載されたと機械として格段に進化を遂げています。でも一番の進化は、透明感のある描写に尽きると思います。この描写には、今まで出会ったことのない高解像度の新しい表現力を感じました。

( 2022.02.28 )

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初代からレンズ設計を一新し、新たに防塵防滴対応を備え全く新しい一本に生まれ変わりました。

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レンズフードは同封されてますが、スタイリッシュに決めたい方は、この別売の四角いレンズフードを。

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新しい23mmの描写に惚れた方は、同じ描写傾向のこのレンズもいっちゃってください。

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どうしても手ぶれ補正が欲しいと思われる方、使いたいレンズのためにボディを変えるのも正解です。

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小道具のミニカーも紹介しておきますね。

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