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FUJIFILM X-T4, XF16-80mmF4 R OIS WR, Photo by Z II

FUJIFILM X-T4 / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2

フジフイルムのX-Tシリーズ最新モデル「X-T4」は2610万画素APS-C「X-Trans CMOS 4」と映像エンジン「X-Prosessor 4」を搭載。実はこれは前モデルである「X-T3」と同じものです。つまり、ここを変える必要がないほど両者の性能は成熟していると言えるでしょう。前モデルからの最大の進化はなんといってもボディ内手ブレ補正を搭載したところです。X-H1に搭載され話題となりましたが、X-Tシリーズでは初搭載。最大で6.5段分もの補正効果を有するとのことで、X-H1の5.5段を上回っており、夜景や屋内での撮影、動体などさまざまなシーンを手持ちで撮影することができそうです。また、バッテリーの大型化に伴い、ボディ自体は前モデルと比べ68g増の607g。幅が2.1mm、奥行き(厚み)が5mm増えており、見た目からは分かりにくいのですが、少し大きくなっています。液晶モニターも前モデルのチルト式からバリアングル式に変更されており、これはムービー撮影も意識したものかもしれません。さらに、フィルムシミュレーションには新たに「ETERNA ブリーチバイパス」が追加されています。さて、スペックのおさらいはこのあたりにして、作例をご覧になっていただきましょう。

( Photography : Z II / Text : Rica )

FUJIFILM X-T4, XF16-80mmF4 R OIS WR, Photo by Z II

柔らかな光で質感の描写をテストしてみました。生地の凹凸やボタンの質感は申し分なく、早朝の静けさや、しっとりとした空気感も伝わります。

FUJIFILM X-T4, XF16-80mmF4 R OIS WR, Photo by Z II

明るさが少し足りないところではISO感度を上げればよいのですが、このような「質感が命」の被写体はできるだけ低感度で撮影したくなります。ここはあえてスローシャッターで手持ち撮影をしてみました。1/10秒というスローシャッターでも、強力な手ブレ補正によりブレずに撮ることができます。


FUJIFILM X-T4, XF16-80mmF4 R OIS WR, Photo by Z II

フィルムシミュレーション「Velvia」で撮影しました。ベルビアらしい鮮やかなブルーです。これまでのフジフイルム各モデルに共通して言えるのは、撮って出しのJPEGがとてもよく、これで十分、むしろこれだけでいいというところではないでしょうか。フィルムメーカーらしく、画はとてもよく練られており、色味も素晴らしい。シーンやその場の直感に応じてフィルムシミュレーションを選択できるのもフィルムメーカーの強みですね。

FUJIFILM X-T4, XF16-80mmF4 R OIS WR, Photo by Z II

AFの追従もこの通り。一度ピントをつかめば、あとはしっかりと動く被写体をとらえ続け、連写と合わせれば良いシーンを取り逃がすという失敗をかなり減らせるのではないかと思います。チャンスは戻っては来ませんからシャッターチャンスにすぐに反応できるのは頼もしい限り。

FUJIFILM X-T4, XF16-80mmF4 R OIS WR, Photo by Z II

建物のすき間から一瞬だけ姿を現す電車を狙ってみました。どんなカメラでも少々難しい流し撮り。X-T4のAFと連写性能があればかなりの確率でこうしたシーンをとらえることができます。でも、失敗してもいいんです。デジタルカメラの恩恵をフルに使い、何度でもトライしましょう! うまく決まったときの快感は撮れた者にしかわからないものです。

FUJIFILM X-T4, XF16-80mmF4 R OIS WR, Photo by Z II

高感度撮影時は、ノイズだけでなくシャドウ部のカラーノイズも気になるところです。こちらはISO 3200での撮影カットですが、ほとんどノイズは感じられません。また高感度にも関わらず、ベンチの艶感もしっかり感じさせるあたりにX-T4のすごみを感じます。

FUJIFILM X-T4, XF16-80mmF4 R OIS WR, Photo by Z II

こちらはX-T4で初搭載のフィルムシミュレーション『ETERNA ブリーチバイパス』で撮影したカットです。鮮やかな赤い鳥居でしたがご覧の通り。『ETERNA』とはまた違った色と雰囲気なのですが、いわゆる“銀残し”を再現したもので、フィルムメーカーならではの発想だと思います。動画で使用してみても面白いかもしれません。

FUJIFILM X-T4, XF16-80mmF4 R OIS WR, Photo by Z II

波立つ海面をメインにとらえたカットです。きらめく海面や岩のシャドウまで高精細に描写しており、その水面の描写もお見事。APS-Cセンサーを採用するX-Tシリーズですが、レンズ性能の高さも手伝ってフルサイズセンサーに匹敵する描写性能を持っているといえるでしょう。

FUJIFILM X-T4, XF16-80mmF4 R OIS WR, Photo by Z II


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ユーザーの声を真摯に受け止め、大きく進化したフラッグシップモデル

実際に手に持つと確かに少しだけボディが大きくなったことを実感できます。厚みが増している分、ホールド感が増し、撮影時の安定感もアップしているように感じました。バッテリーの持ちもよく、このレビューのロケのために1日撮影をしていてもバッテリーを交換する必要がなかったのも大きなメリットです。また、センサーや映像エンジンに変更がないことにガッカリすることはまったくありません。前モデルから同じセンサーと映像エンジンを引き継いでいるということは、それだけのポテンシャルがあるということです。しかもX-T3ではできなかった『ETERNA ブリーチバイパス』のような表現や、ムービーでいえば240fpsのスーパースローモーション撮影など、新しいことを追加しています。さらに、X-H1に搭載された手ブレ補正機構ではなく、X-Tシリーズのための新しい手ブレ補正が開発されており、フォトグラファーだけでなく、ビデオグラファーにとっても、ジンバルを使わずに手持ちで撮影できることで表現の幅は広がっていくでしょう。AF性能の向上は素晴らしく、被写体の動きを予測するアルゴリズムの改善によって、ほぼ狙った通りにピントが合います。撮像素子の画面全域に位相差画素が配置されていますから、画面内のすみからすみまで、どこにでも素速くピントを合わせることが可能です。少し暗い場所でも思ったところにピントがしっかりと合っていて、使ってみると、このフォーカシングの速さと正確性は本当に快適でした。前モデルから2倍に向上したという顔瞳AFのみならず、トラッキングAFを使えば、被写体の色だけでなく形の情報を検知してくれるため、狙いたい被写体をフォーカスエリアポイント内に入れてしまえば、あとはカメラがずっと追従してくれます。撮り手の私たちは撮りたいもの、表現したいことを決めてシャッターボタンを押すだけでいいのです。おまけに防塵防滴ですから屋外で生き物や競技を撮影するなど、天候面に不安のあるときでも安心して使うことができます。どんな被写体にも、どんな表現にも、かなり高いレベルと精度で応えてくれるX-T4は、Xシリーズ史上最強のモデルとなっていることは間違いありません。

( 2020.11.05 )

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世界最速15コマ/秒の高速連写と、最短約0.02秒という素速く正確なAF。5軸、最大6.5段のボディ内手ブレ補正機能をX-Tシリーズとして初搭載した、シリーズ最新モデルX-T4です。

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こちらはX-T4に標準ズームレンズ「XF16-80mmF4 R OIS WR」がセットになったレンズキットです。本レビューでもこちらのレンズを使用して撮影しています。

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X-T4はバッテリー容量がアップしていますが、長時間の撮影や旅行などでは予備バッテリーがあると重宝します。

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大型化したバッテリーを2本同時に充電できる、デュアルバッテリーチャージャーです。液晶パネル部で電池残量、充電の経過が一目でわかるもの便利です。

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