PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

FUJIFILM X-T3, XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, Photo by A.Inden

FUJIFILM X-T3 / SHOOTING REPORT

裏面照射型2610万画素「X-Trans CMOS 4」センサーと、現行比約3倍の処理速度の画像処理エンジン「X-Processor 4」を搭載して登場のFUJIFILM X-T3。現行のAPS-Cサイズセンサーを搭載した同シリーズの中で、最高の画質とAF精度を実現。画素数は若干のアップに留まっていますが、それ自体が目的ではなく、総合力アップを狙ってのアップデートなのでしょう。位相差画素数を現行比約4倍の216万画素に増やしたことで、像面位相差AFエリアを画面全域(約100%)に拡大。しかも、AF自体は-3EVまで喰うとのこと。これはありがたいアップデートです。センサー&画像処理エンジンのアップデートで標準感度がISO 200からISO 160へ低下したのも嬉しいトピック。FUJIFILMのレンズラインアップは魅力的、積極的に開放付近で撮影できるのはありがたい限り。その他にも、EVFをはじめ、ありとあらゆるアップデートが施されていますが、このあたりについてはオフィシャルサイトを参照してみてください。今回の「X-T3」のアップデート、これは車のイヤーモデルのような熟成のアップデートで、それも内容の濃いものです。FUJIFILMのカメラをチョイスするということは「それでなければならない」という明快な理由がユーザーの皆さんにはあるのでしょう。それは発色しかり、魅力的で趣味性の高い交換レンズ群しかり。そして、それにしっかと応えるための、相思相愛的なモデルチェンジ。そんな予想の元に、実機をもってテストに繰り出してみました。

( Photography & Text : A.Inden )


FUJIFILM X-T3, XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, Photo by A.Inden

チューンナップ(調律)のほどを探る

FUJIFILM X-T3, XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, Photo by A.Inden

FUJIFILM X-T3, XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, Photo by A.Inden

FUJIFILM X-T3, XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, Photo by A.Inden

若干グリップの掛かりが深くなったかなと感じるぐらいで、手に持った印象、撮影に関するダイヤルの配置はX-T2と全くと言っていいほど変わっていません。新しく、X-T3とネーミングを変えて出すのであれば、多少の変化はつけたいと考えるのが普通かなと思うのですが、デザイン、操作性はもう完成しているから大きな変化は必要ないという自信の表れでしょうか。この潔さは同じ機種を使い続けたい撮り手には嬉しいことです。
短い間でしたがX-T3を使ってみて、スペック表に書かれた数字の変化が、ただ数値としてよくなっているのではなく、撮影でのストレスを無くす為に絶妙のバランスで考えられている事が理解できました。上手くチューンナップされた車のように、見た目は変わらないのに細部の性能が少しずつアップされ、無駄なく、バランスよくまとめられ全く別の車のように走る。作例に登場するカニ目も、足回りを少し硬くし、エンジンシリンダーを丁寧に研磨し直すだけで、全く別の走りを見せてくれます。

X-T3も全てがチューンナップされているわけではありません。一番の変化はEVFの見え方。有機ELファインダーの画素数を236万画素から369万画素へ、フレームレイトを60fpsから100fpsへ変えることで、ファインダーの見え方がくっきりとなり、ギクシャクすることが無くなりました。背面液晶の画素数を変えないことからも、ファインダー完成度の自信の表れを感じます。次に、AFのポイントがファインダー全面になったこと。ファインダーの端でピントが合わせられないため、合焦点後もう一度フレーミングをやり直すというストレスがなくなりました。ファインダーがチューンナップされたことで、まるで別のカメラのように使いやすく感じました。ファインダーが良くないといいい画は撮れないという考えは、大きなセンサーサイズのミラーレスカメラを作っているFUJIFILMらしいですね。

使い勝手の面で記すことが多くて、、画質の話についてはページ下のパートで。しかしカメラの使い勝手とは、ややもすると画質より仕上がりに響くものです。気持ちよく扱えなければ、撮れないのですから。ともかく、使っていて気持ちのよいカメラになっています。


FUJIFILM X-T3, XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, Photo by A.Inden

質感表現力

FUJIFILM X-T3, XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, Photo by A.Inden

FUJIFILM X-T3, XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, Photo by A.Inden

FUJIFILM X-T3, XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, Photo by A.Inden

FUJIFILM X-T3, XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS, Photo by A.Inden

硬いものから柔らかいものまで、ハイキーからローキーまで幅広い作例を撮ってみました。今回テスト撮影のような作例を並べたのは、新しく開発された裏面照射型構造のイメージセンサーの写りを感じてみたかったからです。X-T3は画素数を2610万画素にアップし(X-T2は2430万画素)APS-C最高レベルの画素数になりました。ただ、画素数のアップがそのまま写真の良さに関係しないことは、PYの読者であればなんとなくわかって頂けると思います。画素数と階調の関係はFUJIFILM GFX 50Sのレビューの中の「画素と画素ピッチの話」で簡単に説明せていただきました。それは、画素数が上がってもイメージセンサーのサイズが変わらない場合、一つのマスが受ける光の量が減り、ダイナミックレンジが狭くなり諧調が滑らかでなくなるとういことです。

裏面照射型イメージセンサーはその構造上従来の表面型より多くの光を受けることができます。イメージとしては、ひとマスのサイズが変わらないのに面積が少し大きくなったということでしょうか。まるで魔法のような話ですが、技術の進歩で実現してしまうのですね。作例を選んでいて感じたのは、描写に手触りを感じるということです。水の表面張力まで作り出す豆苗のシャキッと感、洗いざらしのコットンシャツの少し柔らかくなった手触り、建物の廊下に貼られたタイルからは冷やっとした温度を。撮影から帰ってきてPCで確認しながら、被写体の温度、手触りまではっきりと思い出すことができました。

センサーサイズが小さければ、当然カメラも小さく作ることができます。FUJIFILMがAPS-Cというサイズを進化させていく理由は、「日常の生活を自然な雰囲気で残して欲しい。」という、フィルムを作り続けてきたメーカーらしい願いなのでしょうか。


  • PHOTO YODOBASHI日の出に合わせて西湘バイパスを快適にドライブ。朝日と車の撮影では太陽を円に見せるまで露出をアンダーにすると車はシルエットになります。全くのシルエットだと画面が暗く感じすぎるため、少し車の質感を見せるように車のサイドに空のグラデーションを写し込んでいます。
  • PHOTO YODOBASHIEVFの性能がアップしたので、ブラックアウトすることなく被写体を確認することができます。目の前をバイク、自転車と通り過ぎるため、どちらも狙ってみようと挑戦してみましたが、両者にスピードの差がありすぎるため、流し撮りのシャッタースピードが違いすぎ、最終的には自転車一本に絞ってシャッタースピード1/40に固定して撮影しました。二兎を追う者は一兎をも得ずですね。
  • PHOTO YODOBASHIフィルムシュミレーションのアクロスモードで撮影。フィルターによるコントラストの調整だけでなく新機能「モノクロ調整」で、従来は暗室で作業していた温黒調・冷黒調ができるようになりました。
  • PHOTO YODOBASHI街中をAF-C 顔検出ON/瞳AF AUTO設定で撮影していたら、レコードジャケットの瞳を見事に捕捉。新しくAF-Cでも使えるようになったためアングルを微妙に変えても瞳を追従し続けました。撮影とは関係ないですが、必死に瞳を追い続けるAFポイントの動きがかなり可愛かったです。

(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)


PHOTO YODOBASHI

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「FUJIFILMの画」「それを活かせるボディ」。あとは撮影に没頭するのみ。

どうもこの10年ほどメーカーを問わずインパクトのあるモデルチェンジばかり見てきて、少々の変更では驚きもしなくなった感がありますが、それだけカメラの根本的な性能が上がってきたということです。これまで我々ユーザーもメーカーもある種大変でした。X-T3もセンサーと映像エンジンが置き換わり、フルモデルチェンジなわけです。車で言えばコアを成すエンジンと駆動部が変わったようなものですから、確実によくなっています。しかしそれでも、その"手の入れ方"が実に熟成を感じさせるもので、よいシステムそしてカメラに育ったなあとしみじみ感じます。従来機ユーザーのみなさんも手にしてみれば、やはり欲しくなる進化具合でしょう。なにより、これまでよりあと一歩撮影を後押ししてくれることは間違いないと感じます。そして、前々からFUJIFILMのカメラに、そして紡ぐ画に興味をお持ちの皆さんにとって、最初の一歩にX-T3というのも実におすすめ。ミラーレスカメラ黎明期からFUJIFILMが目指してきた姿に到達したカメラではないかと思うのです。小さくまとまったコンパクトなシステムに、趣味性も高く、タフな撮影シーンにおいても勿論確実に応えてくれます。手にすると、写真やカメラがもっと楽しくそして好きになる。そんなカメラです。

( 2018.09.20 )

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4K/60Pの撮影にも対応し、スチルだけでなくムービーにおいてもトップクラスの性能を手に入れました。APS-Cフォーマットのフラッグシップともいえる「X-T3」、どうぞ手にしてみてください。

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X-T2から2年、見た目はそのままに内部は大幅なバージョンアップが施されました。X-T1、X-T2ユーザーに捧げる最新ボディ。こちらはクラシカルな印象のシルバーボディ。

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こちらはXF18-55mmF2.8-4 R LM OISがセットになったブラックのキット。標準ズームレンズとしても、他メーカーに比べ明るいレンズを採用した「使える」レンズです。

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こちらはキットモデルのシルバーボディ。レンズはブラックと同じものとなります。

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縦位置バッテリーグリップもバージョンアップ。本体内蔵のバッテリーに加え、グリップ内に追加で2本のバッテリーを装着できます。長時間の撮影だけでなく、低温時の安定動作にも寄与します。

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コンパクトなボディですから、手の大きな方には少々小さく感じられるかもしれません。そんなときはこのグリップ。しっかりホールドして安定した撮影が行えます。

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着けておきたいけどなくしてしまいがちな外部インターフェイスの蓋。こちらはそれらをセットにした商品となります。

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シルバーボディーと合わせたいレザー製のボトムケース。装着したままでもバッテリー交換可能な優れもの。バッグ収納時に使えるラッピングクロスつきです。

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純正バッテリー。こちらはX-Pro2、X-T2と同じモデルとなります。スペア、持っておきましょう。

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三脚を用いた撮影で必須となるリモートレリーズ。カメラバッグに忍ばせておきましょう。意外と出番は多いのです。

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