PHOTO YODOBASHI

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FUJIFILM GFX 50R, GF63mmF2.8 R WR, Photo by K

FUJIFILM GFX 50R / SHOOTING REPORT

中判センサーを搭載するGFXシリーズ第2弾、「FUJIFILM GFX 50R」の登場です。心臓部は先に発売済みの「GFX 50S」とおおよそ同様で、大きなセンサーを搭載するカメラが持つ魅力を、より手軽に味わえるように仕立てられたモデルとなっています。APS-Cサイズセンサーを搭載するXシリーズの、X-E(1,2,3)に相当するモデルなのでしょう。センサーサイズこそ35mmフルサイズ比で1.7倍であり、中判デジタルバックのような645サイズに近づこうかというセンサーほど広大ではありませんが、それこそかつての中判レンジファインダー機程度のサイズにまとめ、手持ちで35mmカメラのように扱えるというのは本当に隔世の感があります。レポートをお届けする前に結論を申しあげるようで大変恐縮ですが、つまりそんなカメラです。かつて中判フィルムの描写に触れてもうそれなしには・・という方には大変気になる存在でしょう。早速レポートいってみたいと思います。

( Photography & Text : K )

FUJIFILM GFX 50R, GF63mmF2.8 R WR, Photo by K

35mm以上のセンサーを搭載するカメラを、"見かけ通り"普段使い的に試してみる。

35mmフルサイズセンサーに対して1.7倍。殆ど645サイズといえる大きさのセンサー(約2.7倍)のように圧倒的に何かが違うというほど画が変わるわけではありません。この”圧倒的”と表現せざるを得ないものは一体何か。それは階調の連なり、つまり豊かさと表現できるものだろうと思います。では、FUJIFILMが提供するGFXシリーズの存在意義とはどんなものなのでしょう。それはおそらく、35mmフルサイズセンサーの画に下駄を履かせるということだろうと思います。現実的なシステムのサイズ感、ハンドリング、プライス、そして画に確実にコシが入ること。まずそのあたりを試してみたいと思いました。上のカットも「どうかな?」と試してみたもの。フレーム内の輝度差が激しく、シャドーはしっかり潰してもそこに表情は残り、ハイライトも倒れていくように飛ぶのではなく、しっかりと光が受け止められてメリハリの良さと包容力のようなものが同居しています。センサーサイズがもたらす余力のようなものを、中判フィルムを使用するレンジファインダー機のようにハンドリング良く活かせる。まさにそんなカメラなんだなと感じます。

FUJIFILM GFX 50R, GF63mmF2.8 R WR, Photo by K

解像力そのものは35mmフルサイズセンサー機でも相当な領域に達していますが、GFX50Rは表面的な解像力の高さに加えて、そこに"奥行き"が感じられます。このあたりは階調特性やその再現性が大きく関わってくるのでしょう。PCでこのページをご覧の皆さんで、もしよければマウスを右クリックして画像だけを表示してみてください。長辺1920pxでもその片鱗が感じられます。

FUJIFILM GFX 50R, GF63mmF2.8 R WR, Photo by K

少し硬いものを撮ってみます。エッジの手触り、パネル部分についた人の手による脂まで感じられそう。

FUJIFILM GFX 50R, GF63mmF2.8 R WR, Photo by K

ISO 2000で撮影。中判デジタルバックの経験からは驚くような結果です。ほぼ35mmフルサイズ機と同様な使い方ができるといってよいでしょう。35mmフィルムから中判フィルムに移って一番感心したのは実はこんなシーンです。低照度下で、なめらかな階調にメリハリが同居する包容力。まさにそれと同じようなものを感じます。

FUJIFILM GFX 50R, GF63mmF2.8 R WR, Photo by K

少し軟調な画を。

FUJIFILM GFX 50R, GF63mmF2.8 R WR, Photo by K

拡散した光で、きっちり影が出るわけでもない。こんな状況は、目で見るよりも画に曖昧さが出て、露出選択でなんとかしようと考えますが、カメラの出た目に沿ってそのままシャッターを切ればOKといった感じです。

FUJIFILM GFX 50R, GF63mmF2.8 R WR, Photo by K

テストで撮影していて感じるのは、やはり色のよさ。フィルムシミュレーションをプロネガモードで。少し濁りがあって独特のくぐもった雰囲気がよく出ています。このシーンで空にピンを置くのは私ぐらいだろうと思いますが、当時のこのフィルムの存在を知らなかったらこんな撮り方はしなかったかも。

FUJIFILM GFX 50R, GF63mmF2.8 R WR, Photo by K

こちらはアクロスモード。確かにアクロスだ! デジタルカメラのモノクロームモードは、総じてかなりハイコントラストだと感じますが、さすがにフィルムの名前を冠するだけあって、リアルに感じます。

FUJIFILM GFX 50R, GF63mmF2.8 R WR, Photo by K

しかしレンズがセンサーの上を行っていて、実にキレのある写り。

FUJIFILM GFX 50R, GF63mmF2.8 R WR, Photo by K

砂を投げて遊ぶ子供達。20mは離れていたと思いますが、その砂まで描き切る解像力。素晴らしい。


  • PHOTO YODOBASHI寝起きにお茶を。湯気は撮るのに散々苦労してきた被写体ですが・・・なんですかこれは。ぜひクリックして原寸表示してみてください。
  • PHOTO YODOBASHIFUJIFILMのカメラはホワイトバランスも驚かされることが多く、右はタングステン、左は自然光。どちらかにひきずられるのではなく、自然光がきっちり青色で同居しています。外から差し込む光は実は青いのです。
  • PHOTO YODOBASHI「買うべきですかねえ」「何事も答えは貴方の中に何時もあります。自灯明・法灯明であります。」・・最短付近での描写。35mmフルサイズに比べると、やはり一絞り二絞りは絞った方が深度的に画をまとめやすい印象です。

(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)


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中判を日常に持ち込むならば、このうえないカメラ

GFX 50Sであれば、これを普段使いするとなると少々億劫。しかしGFX 50Rならばそれも全く問題ないといった印象です。つまりGFX 50Sの撮影領域を拡げてくれる存在だといえるでしょう。もちろん、35mmフルサイズ機(ミラーレス)のような俊敏さや利便性の高さからは見劣りするところもあります。ボーダーを超えてきたカメラにはどうしてもワガママを言いたくなりますが、求めるのは酷な話。したがって、35mmフルサイズ機以上の画が見たい、それが必要、そんな方にはぜひ手に入れていただきたい。カメラを握り、何気なくシャッターを切る。記録される像は、明らかにコシのある画。そのことに魅力を感じる方へおすすめしたい一台です。


(本体のほか付属品を含む開封動画をご覧いただけます)

( 2018.11.29 )

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センサーサイズは、35mmフルサイズ機の約1.7倍。中判ミラーレスデジタルカメラGFXシリーズから、レンジファインダースタイルの最新モデルが登場です。携行しやすいスタイルでスナップ撮影にも活躍します。

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35mm判換算で約50mmの画角となる標準単焦点レンズ。405gと軽量で、775gとこちらも軽量のGFX 50Rとの相性もバツグンです。前群繰り出し式のフォーカスで、撮影距離による収差の変動を抑制。ワンランク上の感動を味わえる高い描写性能を持っています。

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