PHOTO YODOBASHI

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SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

AP0-LANTHERとは、アポクロマート設計を採用したフォクトレンダーのレンズで、超高性能を意味する称号でもあります。開放でも軸上色収差(色にじみの一種)が出にくいのが特長で、Eマウント用レンズとしては、2019年に発売された「APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical」が記憶に新しいところです。その35mmが登場するということで、PY編集部でもレポートを心待ちにしていました。ずっしりした金属製の鏡胴には、異常部分分散レンズや非球面レンズを駆使した9群11枚の光学系がぎっしり。前玉は凹レンズということで、いかにも写りそうな雰囲気です。強豪ひしめく35mmEマウントの中で、この特別な最新型マニュアルフォーカスレンズがどのような存在感を見せてくれるのか。メーカー自ら「50mm F2と双璧をなす」「フォクトレンダー史上最高の準広角レンズ」と言い切っているとなると、期待は高まるばかりです。

( Photography : KIMURAX / Text : TAK )

SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

まずはアポクロマート設計の実力を確かめるべく、開放で軸上色収差を狙ってみました。ところが電線はどこまでいってもくっきりと黒。これだけ長ければ、どこかに紫や緑の輪郭があってもおかしくはないとレリーズしたわけですがね。PCで拡大しても一向に見当たらずの肩透かし、いやお見事。

SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

いやいや軸上色収差の如何を見るならこういう場面だろと、悪あがきでグイっと見上げてフレームしましたがやはり出てくる気配すらありません。絞ってしまえば解消する類の収差ではありますが、後処理のことも考えると開放から出ないに越したことはないわけです。


SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

最短撮影距離35cmまで寄れるかなとその差を詰めていくのですが、60cmを切ったあたりでスーッと羽根が閉じるという超高感度センサーに阻まれました(笑)。開放かつ近接での撮影ですがピント面のキレは素晴らしく、ボケ味も滑らか。距離の違いによるボケ具合のスムーズな変化もお解りただけると思います。

SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

ではもうちょっと距離を置いて、開放でのボケを確認してみましょう。単純にふわっと溶けてしまうというよりは僅かにグルグル傾向が認められますが、悪目立ちするようなものではないのでノープロブレムですね。

SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

本レンズは開放時の他にF2.8、F5.6、F16でも円形ボケが得られるとのこと。こちらはF2.8での撮影ですが、なるほどカクカクしていませんね。描写のオイシイところで丸みのあるボケが得られるのは有利です。

SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

F5.6でのカットもご覧いただきましょう。玉ボケのサイズはやや小ぶりになってしまうものの、すっきりと整っていますね。それにしても、相変わらず色収差は皆無です。


SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

開放で逆光という酷な条件ですが、色転びもなく描き切っているという印象。

SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

ソニーのαボディはカメラ側の歪曲補正機能が使用できるので、補正ON/OFFで撮り比べてみましたが正直肉眼でその違いは判らず。光学レベルでの徹底した歪曲補正がなされているようです。

SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

若干オーバー気味の露出ですが、階調の粘りもいいですね。ま、アンダーに振って撮れば当然のごとくコントラストは出るものですが、本レンズはオーバーでもしっかりコントラストが出るのですから感心しきり。もちろん絞り込めば超シャープ。高画素機にも余裕で対応することが容易に推察できますし、兎にも角にも、直線が真っすぐに通るというのは実に気持ちが良いものです。

SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX


SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

なかなかの高コントラストなシーンですが、ストンと落ちてしまうことなくディープシャドーへの連なりがなんともセクシー。被写体のフォルムを寸分狂いなく浮かび上がらせるその緻密な描き込みはさすが。

SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

艶めくボディの質感が情緒たっぷりに再現されています。じわっとシャドーへ落ち込んでいく様は、コントラスト表現がしっかりとしていることの証左でしょう。広角らしい伸びやかさが楽しめる一方で、余計な誇張が無い分使いやすい画角。そして真っすぐに描かれる線は痛快そのものです。

SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX

周辺の情報を描き込むには好適な35mmの画角は、いわゆる標準と呼ばれる50mmよりも何かと重宝する場面が多いように感じます。光学レベルで諸収差をしっかり抑え込んだレンズは実に頼もしく、写真生活をより楽しくしてくれる存在となることでしょう。

SONY α7 III, Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 AsphericalPhoto by KIMURAX


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正真正銘の「史上最高」。

さすがはフォクトレンダーのアポランター。軸上色収差の出なさ加減にKOされてしまいました。口上通り、どの項目においてもトップクラスの結果をもたらしてくれる本レンズは、Eマウントの35mmの中でも間違いなくベストの部類に入るでしょう。35mmは50mmと並んで主力となるポジションですから、そこに本レンズを据えておくのが最上の策であると心得ます。マニュアルフォーカスではありますが、ピントを拡大表示できるミラーレスでのMFは思ったよりはるかに簡単確実です。また、ピントリングのトルクも当然ながら絶妙で、ストレスなく高精度のフォーカシングができます。例えば瞳や水面を撮る際も、合わせるのは表面なのか、写り込みなのか。撮影意図を明確にし、時間をかけて追い込む。MFの醍醐味を、今こそ味わってみませんか。とにかくファインダーを覗くだけで、モノが違うのがお分かりいただける1本。35mmが初めてという方も、あれこれ試して周も3周もしてしまった方も、きっとご満足いただけるでしょう。

( 2021.06.14 )

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