PHOTO YODOBASHI

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SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

2019年。SIGMA fpと共に少し毛色の違うレンズがデビューしました。「45mm F2.8 DG DN | Contemporary」です。ラインアップではContemporaryに位置付けられているものの、クラフツマンシップ溢れる造りの良さ、コンパクトなサイズ、味わい深い描写力が特徴で、ある意味「artistic」でもあり「contemporary」でもあったわけです。それがこの度3本の新しい仲間と共に、「Iシリーズ」を名乗るというではありませんか。位置付け上はContemporaryラインにありますが、Contemporaryという居間にIシリーズというテントを張ったようなものでしょうか。45mmはその先住民というわけですね。くだんの3本ですが、「24mm F3.5 DG DN | Contemporary」、「35mm F2 DG DN|Contemporary」、「65mm F2 DG DN | Contemporary」と、ほどよい広角からほどよい望遠まで揃う体制になっています。いずれも使い分けのしやすそうなスペックでコンプリート欲をそそられますが、今回は準広角の35mm F2の単焦点レンズ(フルサイズEマウント対応)をご紹介します。

( Photography & Text : TAK )

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Iシリーズ最大の特徴とも言えるのが、この造りの良さです。眺めるだけでもうっとりしてしまいますが、山木社長ご自身が「正直、やりすぎました」と公言するほどの高いビルドクオリティで、所有欲をくすぐるデザインです。切削アルミニウムのソリッドでひんやりした感触。エッジの手触り一つとっても適度な鋭さと滑らかさが同居していて、操作しているだけでも癒されます。フォーカスリングと絞りリングの間には45mmには無かった「指かかり」が新設され、レンズの着脱もスムーズになっています。自ずと写欲が湧き上がるレンズですね。では肝心の写りの方をご覧いただきましょう。

SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

暗がりでの黄葉の鮮やかさはもちろん、ひっそりとした存在感まで忠実に再現してくれました。最新型のレンズですから基本性能が高いことは想像がつきますが、予想通り開放から隅々まで素晴らしい解像力です。色再現はニュートラルな印象。コントラストが高いにもかかわらずトーンには余裕があり、いかようにも料理できそうな素材感の高さも感じられます。背景にはちょっとクラシカルなボケが顔を覗かせていますね。

SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

開放でのボケを見てみます。距離は50cmほどまで寄ってみましたが、後ボケは被写体によって若干渦巻いており、これがクラシカルな雰囲気を醸し出しているのでしょう。ストンとボケるというよりは賑やかな部類ですが、うるさいという印象はなく自然と脳裏に残るボケ方をしてくれるように思います。ピントの分離力もこの距離と被写体の位置では優秀です。AFはこの距離でも音もなくクイックに動作。ステッピングモーターが効いています。

SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

引き続き、開放です。被写体までは1mほど。文句なしの切れ味で、背景も美しくボケています。前ボケも良い塩梅ですね。

SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

同じシーンで最短撮影距離の27cm付近まで寄ってみました。中央から離れるとピントがふんわりとしてくる傾向があり、絞ってもこの傾向は劇的には変わらないようです。ただし、あくまでド近接に限っての話であり、最短+周辺で柔らかくなるのがレンズの性というものです。最短をもっと長く設定することも容易だったはずですが、それをあえてしなかったのはソフトに仕上げる楽しみも味わってもらうため?あくまで邪推ですが、クリーミーさを増したボケも手伝ってただただ美しく、これは正解だと納得してしまう雰囲気です。まあスナップでここまで寄ることは少ないと思いますが、表現のチャンネルが多いレンズは得した気分になります。

SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK


SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

35mmの画角は63.4度。ボーッとしている時の視野に近いとも言われます。本当かな?と構えてみましたが、私などはカメラを持った時点でボーッとすらできません(笑)。とはいえ、確かに眺めているような雰囲気はありますね。35mmが標準という方もいれば、50mmあたりが標準と感じる方もおられるでしょう。捉え方は人それぞれで、何が正解かは被写体のサイズや距離によっても変わってきます。そして何をどの距離からどういうアングルで見るかには、生き方そのものまで滲み出たりします。そんなことをああでもないこうでもないと考えるのも、単焦点の愉しみなのかもしれません。

SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

縦位置に切り替えると想像以上に高さが稼げたりもして、割と芸達者な画角だなと感じます。それにしても開放から凄まじい解像力ですね。被写界深度を稼ぐ時以外、絞る必要性を感じません。

SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

カメラ側補正なしでは歪曲収差が出ますが、軽度です。無論、カメラ側補正を生かした設計なので通常は「オート」にしておけば、ご覧の通りディストーションフリーとなります。

SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

斜めからの逆光下ではご覧のような雰囲気になる傾向がありますが、ゴーストは出てもフレアでコントラストが下がるなんてことはありません。このあたりは45mmにも共通するものがありますが、Iシリーズ共通のチューニングもされているのでしょう。最近はMVなど後からゴーストを加えたような映像もちらほら見かけるのですが、だったら最初から天然モノを入れられるレンズがあっても良いと思うのですよね。映像の世界では「sweet!」と歓迎されるのではないでしょうか。


SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK

サジタルコマフレアにも配慮したということで、星空写真にもチャレンジしてみました。確かに、周辺の星までも粒が粒のままにキリッと捉えられていますね。クリックで原寸をご覧いただけますので、ぜひお確かめください。

SONY α7C, SIGMA 35mm F2 DG DN | Contemporary, Photo by TAK


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目にも手にも喜びを。癖になりそうなIシリーズの35mm。

操作性と洗練を両立させたアナログ感漂うデザイン。映像専用業務用レンズ「SIGMA CINE LENS」はもちろん、往年のコダックのレンズ「エクター」も彷彿とさせますが、2020年も暮れようとしている今、ここまでデザインにこだわったレンズがあることは奇跡です。写りも同じ哲学を貫いており、数値上の高性能だけで終わるものではありません。サジタルコマフレアの抑制など高性能を有しながらも、量感を伴った美しいボケ、距離によって変化する描写特性といった人間の感情に訴えてくる表現力は中々癖になりそうです。ご存知の通り35mmは大激戦区であり、EマウントにおいてもSONY純正を含め個性豊かなモデルが多数展開していますが、本レンズのパーソナリティーは唯一無二であり、それだけで所有する価値があります。身内にも35mm F1.2 DG DN | Artというキングが君臨していますが、用途が異なりますし、趣味での撮影では1kg超の重量が足かせになるシーンもあるかもしれません。その点こちらはたったの325gですから、日常使いに打ってつけ。35mmは初めてという方も、何本もお持ちの方も、きっと愉しんでいただけるでしょう。

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通常のプラスチック製に加えて、マグネット式のメタルキャップが付属。磁力でピタッとくっついてくれます(フィルターを装着した状態では装着できません)。これは新鮮ですね。しかも、操作部品も無いので耐久性も高そうで理にかなっております。仕上げも凝りに凝っていまして、装着面には丁寧に生地が貼られております。

( 2020.12.18 )

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従来のArtともContemporaryとも一味違った芸術性。シグマの飽くなき審美的探求が、馴染みのあるフレームに新たな風景を写し出します。

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メタルキャップ併用時は使えませんが、フードを装着していればフィルターだけでも十分な保護になります。埃の付きにくい帯電防止仕様です。

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