PHOTO YODOBASHI

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SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

なぜ人は大口径に魅かれてしまうのか。美しくボリュームのあるボケは、いとも簡単に日常を非日常に変える魔力を持っています。被写界深度を生かした画作り、なんてフォトグラファー的に格好をつけた言い方をしてみたところで、結局のところ、絞りを開けるだけでこの“非日常”感の演出ができるという魅力に、人は抗えないのです。さて、本レンズは、その名称に「DG DN」を冠したミラーレス専用設計のレンズです。ミラーレス専用設計とはいえ、全長136.2mm、重量は1090gとお世辞にもコンパクトとは言えないレンズですが、このハイスペックぶりを見ればそのサイズにも納得がいきます。レンズ構成は12群17枚。ズームレンズかと思ってしまうほどのレンズ枚数です。特殊低分散ガラスのひとつであるSLDガラスを3枚採用。特に色収差の除去を図り、非球面レンズも3枚採用。こちらは球面のレンズだけでは補正の難しい球面収差やディストーションの補正に活用されています。デジタル時代になっても、撮影後に処理するのが難しい収差については光学設計によって補正されているというわけです。もちろんこれが解像感を高めることに大きく貢献していることはご存知の通り。歪曲収差や周辺の減光に関しては、カメラ内での補正機能を利用する必要があるかもしれませんが、その実態はいかに……。シグマが5000万画素オーバーにも耐えうる解像感と謳う本レンズ。その実力を作例にてじっくりとご堪能ください。

( Photography : TAK / Text : TAK & Rica )

SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

35mmでF1.2となると、背景を広く入れながらボカすことができます。京都鴨川のこの距離にピントを合わせると、対岸の背景がここまでボケます。この現場で35mmでここまでのボケの量は未体験。まさにF1.2マジックです。背景の建物には若干の樽型収差が認められますが、これほどの大口径であることを考えれば、よくやった!と褒めてあげたいです。

SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

植物園の「昼夜逆転展示」コーナーにて。ほぼ真っ暗で花に弱い光が当たっている状況で、最短付近まで寄ってみました。保険で感度をISO 400まで上げていますが、天晴な描写です。

SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

あえて引き気味にセミの抜け殻を狙いましたが、それでもかなりボケます。このF1.2ならではの力技をどう使うか、想像するだけでも楽しいですよ。玉ボケも美しく、セミが飛び出した世界をイメージさせてくれます。ピント面の解像度も非常に高いものがあります。やっぱり、「Art」は違いますね。

SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

まさか35mmの最短付近で、トンボが撮れるとは思いませんでした。AFもスムーズそのもの。F1.2でこの結果を得られたという事実が何よりの証拠です(※クリックで原寸画像をご覧いただけます)。


SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

こちらも最短付近です。前後のボケ、いかがでしょうか。

SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

逆光気味でもヌケきってます。合焦部の解像度やコントラストも申し分ありません。ハイライトからハイエストライトまでの繋がりにも気品があります。このレンズを経た光は、品行方正なのです。

SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

水の描写もとにかく美しい。ツヤがあります。コントラストを保ちながらも、シャドウの階調も実に豊かです。

SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

ロケで何度も訪れている清水寺ですが、こんなに艶かしく撮れたのは初めてです。

SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

重厚な被写体の質感描写を見てみました。いかがでしょうか。


SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

SONY α7 III, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art, Photo by TAK

F値の割に、周辺の落ち込みは少ないほうだと思います。


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撮って驚く信じがたい描写性能

開放F1.2のレンズがシグマ初のラインナップということ自体、意外だと感じる方も少なくないと思います。Artラインの圧倒的な描写力は、先鋭さと共にその開放値以上のボリュームのあるボケ感が得られるため「F1.2」という数字をあらためて見ても、既にシグマのラインナップにとってはノーマルな感覚があります。何の違和感もないですよね。でもこれが実現できたのもミラーレスのショートフランジバックを生かした光学設計の賜物なのでしょう。最短撮影距離も30cmと非常に短く、大口径であることもあってちょっとしたマクロレンズ的な感覚で被写体に寄っていくことができます。こうして作例を見ると、やはりF1.2という開放値のボケは圧倒的。35mmという焦点距離としては考えられないボリューム感ですし、品のあるボケですね。前後ともに透明感がありナチュラルであることにも魅力を感じます。F1.2という開放値にばかりフォーカスしてしまいがちですが、シグマの謳う「5000万画素以上にも耐えうる解像感」はまさに真実。カメラの解像力を優に超えてきているのが拡大画像からもお分かりになると思います。周辺の減光も節度あるもので、想像よりも落ちない印象。むしろこの減光を生かしてドラマティックな画作りをすることもできるでしょう。ヌケの良さも伴った、クリアでみずみずしい描写からは、捉えたシーンの温度や匂いまで伝わってくるかのようですし、こういう言い方が合っているのかわかりませんが、なんとも“セクシー”な写りです。AFは爆速というわけにはいきませんが必要十分。被写体にしっかりじっくりと向き合って撮るレンズという認識で、焦らずに撮影しましょう。ともあれ、さまざまに御託を並べるより、実際に撮っていただきたい。じっくりと、開放F1.2で。開放で撮らなければ意味がないと言い切りたいほど「F1.2」というアイデンティティは大きなものであり、本レンズの存在価値なのだと思います。

( 2019.08.06 )

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「F1.2」という魅惑の開放値を持つArtラインの最新レンズです。開放から圧倒的な解像感、ボリュームのある美しいボケで見る者を圧倒します。「最高画質の追求」を謳うArtラインの最高傑作とも言うべき一本です。

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82mmという大きなフィルター径からもわかるように、鏡のような美しい前玉を抱えるSIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art。ぜひ保護フィルターをご利用ください。シグマからはクリアガラスセラミックを採用した信頼性の高いフィルターがリリースされています。

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