PHOTO YODOBASHI

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SONY α7R III, TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071, Photo by TA

TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

タムロンによる、ソニーEマウント(フルサイズ)用レンズ拡充の勢いが止まりません。つい先日、大三元レンズがきっちりコンプリートされたと思ったら、いきなりその1ヶ月後には高倍率ズームレンズを繰り出してくるではありませんか。今回レビューをお届けする「28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071」は、ワイド端28mmでの開放値がF2.8の明るさを実現したという特長をもたせた一本。全長117mm、最大径74mm、重量575gという軽量かつコンパクトなシルエットに仕立て上げてきました。AFにはステッピングモーターユニットをビルトインしながら、Eマウントボディ側の手ブレ補正やレンズ補正(周辺光量、倍率色収差、歪曲収差)をうまく活用することで可能にしたこのサイズ感。ユーザーにとっては諸手を挙げての大歓迎であります。シリーズで統一され、評判を得ているデザインも申し分なし。あと残すはどんな描写を見せてくれるかが大変気になるところ。7.1倍の高倍率ズームレンズですからね、多少は目をつぶって、というエクスキューズが要るのか要らないのか。撮りためてきた作例写真で、しっかりご確認いただきましょう。

( Photography : TA / Text : KIMURAX )

SONY α7R III, TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071, Photo by TA

SONY α7R III, TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071, Photo by TA

SONY α7R III, TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071, Photo by TA

上から順に、28mm、200mm、100mm付近でのカットです。28mmと200mmは同じ立ち位置から撮影しています。特に屋外でよく使う広角域と望遠の画角が得られるので本当に便利でした。必要十分なシャープネスを得ながら、ボケは柔らかく綺麗ですね。以前より、タムロンはレンズコーティングやバランス感覚に秀でているなと思っていたのですが、それがさらに熟成されている印象です。しっかりと逆光耐性があり、色再現性に優れている。おまけに、抜けが良くクリアな描写ではありませんか。


SONY α7R III, TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071, Photo by TA

ボディ側の周辺減光補正および歪曲補正はONの状態で使用しています。ソフトでの補正は行っていません。高倍率ズームレンズながら四隅の光量落ちはよく補正されていると思います。歪曲は特に広角側で若干ありますが、これくらいなら気にならないという方も多いのでは?もし気になるようでしたら、後作業で補正できてしまう単純なもので微々たるものですからまったく問題ないでしょう。

SONY α7R III, TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071, Photo by TA

75mm付近での撮影です。ご覧ください、このピント面の解像力を。正直なところ、ここまでの描き込みを当初想定していませんでした。良い意味で裏切られた感じですが、巧緻を極めた細工を見事に再現しています。ボディ側の性能もあるかと思いますが、全体を通して「大雑把な」という印象は皆無。この立体感とリアルな質感は、1画素レベルで丁寧に丁寧に光を救い上げられる性能があるからでしょう。トーンの連なりも自然で良いですね。

SONY α7R III, TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071, Photo by TA

ワイド端28mmのカットです。屋内では28mm、40mm前後、80mmくらいまでの焦点距離をよく使いました。特にこのような屋内のシチュエーションでは、開放F値2.8が使えるのはやはり便利でした。50mmでF3.5、100mmでF4.5、135mmでF5と、各焦点距離の開放値は明るめで、また描写はとても高倍率ズームとは思えない写りをしますから、今までの高倍率ズームレンズに対する概念が覆りました。


SONY α7R III, TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071, Photo by TA

こちらのカットは100mm付近です。ズームリングを回して、ちょうど気持ちのよい画角に落とし込めるのがズームレンズの醍醐味ですね。

SONY α7R III, TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071, Photo by TA

28mmでの最短撮影距離はなんと19cm。レンズ前面がぶつかりそうなほど寄れます。こちらのカットはフードがぶつかってしまうので、フードを外しての撮影です。28-200mmという点と、この寄れる性能を考えると、そのワーキングディスタンスは驚異的なものです。

SONY α7R III, TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071, Photo by TA

テレ端の寄りでも一枚。昨今のレンズは、ズームレンズなどでも、一定のラインを超えよく写る時代になりましたが、ニュアンスのあるアンニュイな描写というのは、なかなかそう簡単には得られません。ところがどうでしょう、本当に高倍率ズームレンズなの?と、終始、本レンズを使いながら感じていました。

SONY α7R III, TAMRON 28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD Model A071, Photo by TA

ボディ側の設定は、AFはシングルフレキシブルスポットS、顔認証、追従をONの状態で使用していました。顔を認識するとAF枠が顔を追従し始めるので、動いている人や動物もAFがすんなりと対応してくれます。


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説得力のあるアウトプットに、これ一本だけでいいと実感させられる。

近ごろの高倍率ズームレンズの写りは一昔前のそれとは違う、という声を聞くようになってから久しいですが、本レンズはさらにそのステージを上げてきた印象です。ワイド端からテレ端まで、絞り開放からきっちりと解像するではありませんか。タムロンらしい繊細な柔らかさもある描写、そして優しく包み込むようなボケ味をズーム全域に渡ってコンスタントに体感することができました。スムーズなAFも適度に呼応してくれるので、自ら動かずして幅広い焦点域で思うがままに狙うことができるのは気持ちがいいものです。それでこれだけの表現力のあるアウトプットが得られるのですから、正直これ一本さえマウントしておけばよいのでは?という気にもなってしまいます。高倍率ズームレンズといえば、旅行や遠出の時に身軽にするための選択肢と捉えられがちですが、作例カットをご覧になって「これ、日常使いでもいいかも」と思われた方、それ正解だと思います。いつも使う焦点域が決まっているなら話は別ですが、気の向くままに、被写体との距離をものともせずにスイスイアプローチしたい方には相当重宝するはず。機動性とデザイン性、そしてこれだけの描写力と表現力を備えながらもお手頃なプライスというのも魅力。これから写真を始めてみようかなと思っている方にもやさしい、背中をそっと押してくれる存在のレンズの登場です。

( 2020.06.25 )

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絞り開放から全ズーム域に渡って確かな描写力で応えてくれる。ならばこれ一本さえ持っていればいい、と本気で思わせる利便性とデザイン性。旅行や遠出に備えて、いえいえ日常使いにも。これは買いです。

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「フローティングフレームシステム」を採用し、特殊弾性緩衝剤によってフィルターガラスへの負荷を限りなくゼロに近づけ、レンズ本来の描写力を存分に引き出す保護フィルターです。

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