PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden

TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

2018年に標準ズームの「28-75mm F/2.8 Di III RXD」、続く2019年に超広角ズームの「17-28mm F/2.8 Di III RXD」を投入してきた意欲的なタムロン。そして遂に2020年5月、待ちに待った望遠ズームの「70-180mm F/2.8 Di III VXD」がリリースされました。これにてタムロン製のフルサイズ対応ソニーEマウント向けとなる、大三元がコンプリートされたわけです。既発の2本のズームレンズに関しては、PHOTO YODOBASHIにおいても実写レポートを都度お届けしており、その描写力のすばらしさに舌を巻いたほどです。なぜなら、圧倒的な描写性を追求するほどに本体は肥大化の方向へ進みがちなものですが、本シリーズは携帯性に重きを置き、軽量かつコンパクトにキッチリとまとめられていたからです。もちろん、今回試写させていただいた望遠ズームも同様。長さは149mm(70mm時)、重量810g、最大径も81mmですからね、焦点距離からすれば随分とコンパクトでスリムないで立ちに仕上げられています。ぱっと見、フルサイズ用の標準ズームと見紛うサイズ感。フィルター径は67mmと他2本と共通サイズになっており、フィルターの共用が可能です。さて、執筆時点の5月も今だ状況が状況なだけに、ガッツリとロケに出かけることは叶わず。都会を離れ田舎で山暮らしをしているカメラマンが自宅周りで撮影してきました。雨粒が垂れる枝に寄ったり、遠景の山の端の木々のシルエットを狙うなど、撮りためてきたカットをご覧いただきながら、その写りや使い勝手などをレポートしたいと思います。

( Photography : A.Inden / Text : KIMURAX )

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden

撮影中にフォーカスをAFからMFに切り替えようと、日頃からの癖みたいなもので鏡胴の切り替えスイッチを手探りしたものの、在りません(笑)。手ブレ補正も非搭載でカメラ側にアウトソーシング。軽量化のためここまで割り切った仕様にしたのが本レンズの凄いところでしょう。そういえば、ポルシェ911RSも…。車重を徹底に軽量化するため、エアコン、パワステ、パワーウインドゥはもちろん、ドアポケットも無く、アンダーコートも吹いていない。速さのために余計なものを排除した車です。撮影の軽快さって、写真の表現にも何かしら影響してくると常々感じているものですから、軽量化のために機能をシンプルに絞った本レンズは、きっと好影響をもたらす予感がします。

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden

テレ端、最短撮影距離付近での撮影です。夕暮れの柔らかい逆光ですが、微妙なラベンダー色がきれいに再現されています。使うたびに思うのですが、タムロンの描写は、被写体を誇張することなくありのままに写し止めてくれる印象。背景のボケも素直ですね。さすがに開放ですから口径食が見られますが、もし気になるようであれば一段絞ればきれいな玉状に整ってきます。

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden

パエリアを作ってみたので、出来立ての熱々をパチリ。焦点距離100mmで、こちらもほぼ最短です。撮影倍率はテレ端ほど大きくありませんが、料理写真を撮るには使いやすい倍率ではないでしょうか。レンズには手ブレ補正がついていませんが、ボディ内手ブレ補正でほとんど困ることはありませんでした。

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden

背表紙の質感の違いを描写してみました。文字の質感がわかるようにかなりアンダーな露出ですが、背景の暗部に微妙なトーンと色がちゃんと感じられます。まさに谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」の世界です。豊かなトーンがあって初めて、この素直な描写がもたらされるのでしょう。

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden

カリカリでシャープな描写です。しかし、エッジを立てただけのシャープさではなく、立体感と質感を全く犠牲にしていない高解像な描写は、マクロの世界で定評があるタムロンならではでないでしょうか。猫の毛のさわり心地まで感じさせる写りはステキです。

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden

強い逆光の描写も確認してみました。暗部に露出を合わせたため白飛びしている部分も感じられますが、全体としてきちんとクリアに描写されています。芽吹いたばかりの葉の柔らかな質感、まだ緑になりきっていない優しい色が生命の息吹を感じさせます。

SONY α7 III, TAMRON 70-180mm F2.8 DiIII VXD Model A056SF, Photo by A.Inden


PHOTO YODOBASHI

2年越しの期待を裏切らない、ヘビロテ必至の真打登場。

さあ、いかがでしたでしょうか。撮影できる範囲が至極限られてはいたものの、ズーム全域に渡って大変良好な描写性能を発揮してくれることを確認することができました。しかも、絞り開放で最短撮影距離から解像感たっぷり。テレ端は実用的にも十分な180mmとし、切りのいい200mmまで欲張らなかったのがよかったのかなと。150~200mmあたりの焦点距離は動ける所なら足で十分補えるし、望遠効果もさほど大きくは変わりませんからね、いい落としどころだと思います。光学系には特殊低分散レンズ、異常低分散レンズ、ガラスモールド非球面レンズなど、特殊硝材を惜しみなくふんだんに盛り込んだことこで、これだけの高い描写性能を担保できているのでしょう。AFも静かで応答性もよく、フレームしてからズームリングを操ってもしっかりとピントをキープしてくれるではありませんか。鏡胴にAF/MF切り替えスイッチが無いことを懸念される方もいるかもしれませんが、AFの速さと確度の高さからいっても不便を強いられる場面はそう多くはないと感じます。じっくりMFで楽しみたいときはカメラ側で設定すれば済みますしね。また、手ブレ補正もカメラ側に任せたことで、これだけスッキリとスリムな望遠ズームに仕立て、快適な機動力を手に入れたのです。撮り手のことを考え抜いたタムロンの選択と集中。それを完全なプロダクトに落とし込み、2年を要したF2.8通し大口径ズームの3部作がここに完成したわけです。すでに広角、標準ズームを手にされている方や、そうでない方も、一日も早く本レンズを買い揃えたほうがよろしいかと。遠くに出かけにくい今だからこそ、遠くのものを引き寄せられる、そして周辺の余計なものが写り込まない望遠系なら何かと遊べそうですしね。とにかく写りがよくて、軽くて小さい。言わば、大口径望遠ズームの理想形みたいな一本ですから、この先も持ち出す機会が多くなることは必至。さあ、善は急ぎましょう。

( 2020.05.15 )

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コンパクトなソニーEマウントボディの機動力を活かすには、うってつけのサイズ感を実現した大口径望遠ズームレンズです。ボケよし、解像力よし、これぞタムロン。サードパーティの面目躍如を象徴する一本。

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ソニーEマウントフルサイズ対応の大三元レンズの長男坊。えっ!まだお持ちでない?それはいろんな意味で損をされていますよ、きっと。まずは、手堅く標準ズームから買い揃えてハッピーになりましょう。

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こちらは次男坊の広角ズームレンズです。広角系は苦手ですか?寄れる大口径ですから表現の幅がかなり広いので、気負うことなくブンブン振り回すと結構楽しめますよ。そう、使いだした人から上達するのです。

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フローティングシステムを採用し、特殊弾性緩衝材によりフィルターガラスへの負荷も限りなくゼロに軽減。レンズ本来の描写をしっかりと引き出し、4Kや8Kなど高解像度のカメラにも対応する保護フィルター。

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