SIGMA 23mm F1.4 DC DN | Contemporary

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

本レンズはAPS-Cミラーレスカメラに対応し、フルサイズ判換算での画角は35mm相当となります。特殊低分散タイプのSLDガラスや非球面レンズをおごった10群13枚からなる構成で、F1.4の大口径タイプです。それでいて重さは330g、長さ78.9mm、フィルター径52mmとコンパクトに仕上がっています。α6000系などのAPS-C型センサー搭載機で使える35mm相当の選択肢は限られていました。フルサイズ用も候補に入れれば24mm F2 DG DN | Contemporaryや24mm F3.5 DG DN | Contemporaryなども考えられるのですが、こちらはAPS-C専用でF1.4の明るさです。早速ご覧ください。全カット開放です。

( Photography & Text : TAK )

35mm相当の画角は「広角」に属しますが、あくまで程よい広さであることが最大の特徴です。コンテクストを広めに捉えることで、主役が立つ舞台を付かず離れず眺めるような表現が可能です。スナップやルポルタージュなどで多用される画角で、奥の深い画角でもあります。

近距離でも、主役を大きく捉えながら背景を十分に広く取ることができます。周辺のデフォルメ感も感じられないので、アングルにさほど神経質になる必要もなく、扱いやすく感じます。

開放からシャープ＝シグマのお家芸なので驚くということはなかったのですが、感心したのはヌケの良さ、透明感、ハイライトの粘りです。白を多少飛ばす露出にしても、嫌な飛び方をしないのは心強いですね。

優しい間接光もまさに目で見たままです。収差でフワッと雰囲気を被せてくるのではなく、あくまでシーンに忠実に。高性能ガラスの採用も効いています。

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しっとりしたシーンも捉えてみましたが、シャドウの再現もこれまた美しく、現場の湿度を見事に捉えています。ボケの量もF1.4ならでは。玉ボケは輪郭が僅かながら出ますが、非球面としてはうまく抑えられているようです。ピントピークは流石の鋭さですね。そこからのボケ方はストンとボケていく傾向で、主役を分かりやすく強調してくれます。

ピント位置まで1.5mくらいだったでしょうか。見事に分離されています。ボケ味は前後ともすっきりしていて、騒々しさは感じられません。

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人工光の玉ボケも綺麗ですね。アクリルボードの透明度の捉え方もリアルです。

この透明度の再現が素晴らしくて、ついついこういう被写体を狙ってしまいます。歪曲はRAWデータでは出ますが、ご覧の通りJPEGではカメラがまっすぐに補正してくれます。

何気ないものを何気なく。35mm相当を手にすると、そんな気分になります。

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コンパクトな万能選手

開放の時点で隅々までシャープで、コントラストも申し分なく、特にヌケの良さが際立つレンズです。F1.4の明るさでアウトフォーカスはストンと綺麗にボケてくれますので、主役を際立たせる表現も自由自在。長らく空いていた35mm相当のポジションですが、万能プレイヤーが来てくれました。16mm、30mm、56mmと合わせて4本のF1.4カルテット、ここに集結です。フルサイズもある中でのAPS-Cセンサー搭載機というカテゴリーは、携帯性や実用性といった観点で選ぶこともあるでしょう。しかし、だからと言ってズームレンズだけで割り切れない、趣味の撮影もしたいというのも、カメラ人類の愛すべき性です。画質とサイズのバランスを取りつつ、単焦点ならではの表現を追求できるシステムが組める、しかも納得価格とあっては手を伸ばさないわけにはいきませんよね。ガンガン使い倒して、グッと来る瞬間をものにしてください。

( 2023.04.14 )